1.日時:平成17年9月5日(月) 14:00〜16:00
2.場所:経済産業省別館9階944会議室
3.出席者:飯塚座長、石川委員、岩崎委員、柿沼委員、加島委員、河村委員、小島委員(代理出席根本委員)、杉山委員、武田委員、中野委員、三浦委員、三木委員、山崎委員、山本委員、横尾委員
4.議題:1 第一ワーキンググループの審議の進め方について
2 新しい計量行政の方向について
3 その他
5.議事要旨:
・第1回委員会開催にあたり、座長から第一ワーキンググループ(以下「第1WG」)の公開について説明があり了承された。
(1)議題1 第一ワーキンググループの審議の進め方について
事務局から、資料2に基づき、第1WGの審議の進め方について説明があり、了承された。
(2)議題2 新しい計量行政の方向について
事務局から、資料3「正確な計量器を供給するための規制」、資料4「新しい計量行政の方向について」、資料5「平成17年度第1回計量行政審議会における議題2「新しい計量行政の方向について」についての主な御発言(第1ワーキンググループ関連)」、資料6「平成17年度第1回計量制度検討小委員会における議題2「新しい計量行政の方向について」についての主な御発言(第1ワーキンググループ関連)」について説明が行われた。委員からの主な意見は次のとおり。
○小委員会及び第1から第3ワーキンググループのすべてに参加させて頂いており、責任を感じている。資料6に計工連の委員会で審議された事項を取り上げていただき、感謝。取引に使われている機器をどのように検査・検定していくかが重要だと思う。現在においても、国家計量標準が整備されていないものがあり、メーカーが独自に計量標準を作らなければならないものがある。これらについて国家計量標準の整備が必要。対象となる企業は、中小・零細企業もあり、意見をとりまとめるのが簡単ではないが、是非このワーキンググループでも審議してもらえたらと思う。
○自治体での執行体制のバランスが崩れているという話があったが、2年前と比べてもだいぶ弱体化している。指定製造事業者制度、指定定期検査機関制度などにより、ハード面の業務は縮小してきた。地方分権の中で、ソフト面での計量行政をどう活かしていくか。平成5年の改正以降、立ち入り検査を含め、フォローしようとしているが、法律で「やることができる」とされたことから、少人数となり予算は減ってきている。計量検定所がなくなる都道府県もでてきている。
消費者に直接関わるものの検定は残すべきだが、技術革新があって自治体では対応できないものについては、JIS等の基準適合でいくべき。
指定定期検査機関と計量士との関わりについては、計量士がどれだけできるのかなと思う。指定定期検査機関に移行しはじめているが、補完する計量士をどう育てていくのか。大型や中型のはかりの定期検査はすんなりと移行できたが、小売店等に多数置かれている小型はかりは難しい。計量士の代検査の手数料と行政委託手数料がかけ離れており、調整をどうするか。また、動ける計量士がどのくらいいるか把握できていない。東京都における定期検査と代検査のパーセンテージは、約8割が東京都直営で、指定機関が1%、代検査が16%。器物数では、都直営が65%、代検査34%、指定機関1.2%。このへんをどういうようにしていくか。単純に行政が縮小してきたからといって、なかなか民間に移行はできない。計量士の制度をどう見直していくか。
もう一つ、基準器の問題。基準器制度は、従来から検定・検査に使われる計量器であり、国家標準、トレーサビリティが普及していなかったために基準器が肩代わりしてきた歴史があり、定期検査でも使われている。、一概に基準器制度をなくすというのは疑問。
○総論で2点。計量制度の検討について、平成4年の改正を振り返ると、今の計量制度の中には、規制緩和への対応で、指定製造事業者制度、指定定期検査機関制度を導入してきた。また、検定について、有効期間の延長と規制緩和への対応をしてきたと認識。国際整合化や技術革新への対応という観点からは、技術基準のJIS化の作業も進んでいる。今の計量制度は、柔軟に対応してきたのではないか。行政の規制が技術の進歩を妨げるというが、指定製造事業者は自主検査により基準適合証印を付けてユーザーに提供している。一方、検定は、中小・零細の製造事業者や製造数の少ない事業者を支える側面がある。今回の検討では、現行の制度のどこに問題があるのかを踏まえて検討してもらいたい。
また、都道府県の執行体制の弱体化がクローズアップされているが、原因の1つは機関委任事務が自治事務化されたこと。職員は研修を受けたものでなければいけないという必置規制も廃止された。計量行政事務の実施水準について、平成10年の審議会の時に、実施水準の確保・強化が言われていたが、自治事務という理念が先行した。都道府県の役割を法律に明記するなど業務を明確化してこなかったことが原因の一つ。各自治体は、検査機関を活用し、業務のアウトソーシング化もしてきているが、アウトソーシングしたことのメリットを立ち入り検査の充実に向けられなかったことが検定所の人員削減に結びついた。これが弱体化の一つの問題。計量行政は、ある程度全国的に統一性・整合性を担保して実施していくもの。各自治体が自治事務の中でどのように計量行政を実施していくのか、どの程度の水準で都道府県が仕事をしていくのか踏み込んでもらえたらよいのではと思う。自治事務だから、国が言いにくい側面もあろうが、地方計量行政の役割を果たしていくためには、つっこんで考え方を整理し、オーソライズされればと考える。
○現在、計量法での特定市の数は113市あり、人口350万人規模の大都市もあれば5〜6万人程度の市もあり、その規模は様々。また、予算や職員数においても大きな開きがある。特定市は、はかりの定期検査や商品量目の立入検査等が主な業務。特定市に指定されると様々な行政権限がおりてくるということで、今後も特定市は増えていくと思われる。
定期検査では民営化が進んでおり、指定定期検査機関の活用や代検査が進んでいる。特に、千葉市や日立市では民間企業を指定定期検査機関として指定し、定期検査の業務を委託。これにより、人員が削減されたが、立入検査の強化や普及啓発(商品モニター、子供達の勉強会等)に力を入れている。今後も、ハード面の規制から市場監視的な業務や普及啓発業務にシフトしていくと思われる。大都市は計量士も多く委託もできるが、小規模の市では計量士も少ないことから、国としてこれをどう担保していくのか検討してもらいたい。
定期検査による手数料収入よりも、指定定期検査機関への委託費支出の方が大幅に上回るため、現在は不足分を行政コストで賄っているのが現状。今後、手数料については受益者負担とするのか、あるいは税負担とするのか、コストをどのように負担するのか検討すべきではないか。
○産総研は、型式承認と基準器検査を実施している。
法定計量の分野では、国際整合化の動きが進んでおり、何をどこまで規制するかは、国際整合性を念頭に置いて考えるべき。欧米との比較において、横並びがよいかどうかは別にして、日本の特定計量器が18機種というのは多い方。一方、自動はかりを規制対象としていない国は少なく検討してもらいたい。
型式承認は法定計量の世界のスタンダード。ヨーロッパは、設計図面のみで認可する制度もあるが、実際には動いていない。今後10年みてもスタンダードとして残るだろう。なお、適合性の判断は、実施機関に裁量権限を与える流れ。技術的判断に係る権限を実施機関に与えるべき。
基準器制度は、確かに標準供給としての役割を果たしてきており、一概にJCSS制度に移行できないことは理解できる。基準器制度とJCSS制度では技術基準と手数料体系がまったく異なる。制度見直しにおいては、行政サービスとして、どう手数料を設定するのかという点は産総研として気になる。決めたことに従うというのが従来の日本のやり方だが、ヨーロッパでは、規制する側と規制される側、消費者等を含めたすべての利害関係者がいっしょになって議論する場がある。我が国においても消費者も入った議論の場を作ることが重要では。
○規制対象機器の見直しは重要な課題。「規制対象を減らすことと消費者保護に重点を置くことは矛盾する考え方」、「従来と同じやり方では現在の技術革新に追いつかないのではないか」、という意見(資料6)は重要である。
従来、特定計量器の分類にあたっては、外観的に区別しやすいもの(構造基準)で分類してきたが、欧米においては、使用分野又は用途によって分類している。例えば、日本では、水道メーター、ガスメーター、燃料油メーター等は、まとめて「積算体積計」として分類されているが、欧米諸国では用途別に、水道メーター、ガスメーター、燃料油メーターと別々に分類されている。また、温度計(寒暖計と体温計)や圧力計(血圧計と工業用圧力計)についても同様。原理や構造別で分類すると分かりにくいのでは。まず、どのような分野を特定計量器として規制対象とすべきかを明確にしていくべき。
○電気計器の分野でも技術革新や国際整合化など環境が変化しており、持続可能な制度設計が極めて重要。電気計器の検定実態を踏まえて2点問題提起をしたい。
まずは、ソフトウェア認証の問題についてであるが、組み込まれているソフトウェアをどう認定していくか。公益メーターでは、遠隔検針の需要が高まっている中で、外部からの不正アクセスへの対応や適切な封印方法等、信頼性を確保するための検討が必要。
二つ目は、国際整合化について。OIMLやIECなどの国際基準を国内基準に取り入れていく場合、国際基準そのものを国内で適用可能な形にしていく努力がこれまで以上に必要になるのではないか。全国で8000万個近い電気計器をどのように国際整合化していくか、というのは大きな問題。我が国の実情に合致しない国際基準に対し、どう整合化を図っていくのか、という点についてもこの会議で考えてほしい。
○ISOにCASCOという適合性評価委員会があるが、計量法は製品認証(全数検査)から校正、試験、品質管理、人の認証まで非常に多岐に渡る適合性評価の制度があり、興味深いところ。これらが制度疲労を起こしていないかのチェックすることが大事。国際整合化は、難しく厳しい話しもある。MLAPですらISO/IEC17025に整合していないというのは驚いたが、やらないと認証機関の国際競争力がでてこない。
技術革新への対応としては性能規定化を進めるべき。性能基準を明確化して、を評価を適合性評価機関がやることとし、中小企業の便益になるように参照規格を整備していくべき。家庭用計量器に対するJISマーク活用については、自己宣言をやめてJISマークだけにしてマークによる判断とするのは合理的。他方、自己適合宣言、認証制度、事後規制はそれぞれわけて議論した方がよいのでは。
○消費者保護に重点を置くということなので信じているが、具体的なアイデアが出てきた段階で意見を申し上げたい。消費者の立場としては、計量制度の結果について不備があるとは思っていない。できれば制度見直しにあたっては、制度のプロセスの合理化を図っても、消費者に対するアウトプットは現状のレベルと変わらないようにするべき。運用過程で無駄がないようにしてほしい。
○民活等の方向性が出されているが、資源は限られており、効果的に活用することがポイントではないか。製品認証制度や試験所認定制度の活用がその1つであり、重複規制を避け、現行の制度をうまく活用していくことが大切な方法ではないか。
例えば、試験所認定制度とMLAP制度、ISO9000に基づくJISマーク制度と指定製造事業者制度等、似たような制度であるにも関わらず基準が異なっており、無駄。基準認証のワンストップ・テスティングの実現を図るべき。JCSS制度の普及度合いについては意見もあるが、現在18区分で185事業所あり、毎年約40事業所を認定している。校正証明書の発行実績は平成16年度末までの累計数で33万4000枚であり、ある程度、着実に普及しているものと考えている。また、4年の更新制度が導入され、制度自体の信頼度も高まってきている。
○自動はかりについては、自動計量システム中に組み込まれたりして、大量生産に係わっていることが多く、我々の生活にも大きく係わっているので、是非規制対象に加えてほしい。その場合、技術基準としては、静的な特性と動的な特性を両方考えるべきであり、時間の経過とともに変化する動的な量をどうとらえていくかの検討を深めてもらいたい。それは自動はかりの問題だけではなく、例えば電力量計について、従来は正弦波と考えればよかったが、最近使用の多いインバータ機器が使われている場合は正弦波とは違うシャープな波形になるので、その場合電力はどうなるのか等についても考える必要がある。
○環境計量器の検定については、消費者と直接結びつかず、B to
Bの事業形態であることや、JCSS制度の普及実態を鑑みると、見直すべき時期に来ているものと考えている。また、環境計量器の検定有効期間は、騒音計5年、振動計6年と有効期間が長く、これは国際的にみても非常に長い。JCSSのトレーサビリティ体系の中で担保していくことが適切と考えている。
○電力量計と流量計は、主にB to Bの事業形態で使用されるかと思うが、最終的には消費者に関連する機器として使用される。したがって、消費者に提供するシステムがきちんとしていないと、提供者と消費者との間で納得感にズレが生ずるため、国がどの程度関与していくのかが重要となる。また、今後輸入品も増えていくと思うが、そのような状況で規制緩和や経済性が重視されるあまり、品質の低い製品が国内に流入し、不信感が醸成されることがないようにしてほしい。
○型式承認における技術基準は、日々進歩しているが、こうした新技術を評価できる試験設備をすぐに産総研に導入することは容易ではない。そのような新しい基準にも対応できるような代替方法を検討の場に加えてもらえるとありがたい。
○型式承認の国際整合化については、個々の計量器毎に事情が違うのではないか。うまく整理しないと産総研がパンクするのではないか。NMIJ等、型式承認の実施機関に裁量権等の権限を付与するべき。計量士については新たな分類を考えた方がよいのでは。現在のように代検査しかできないのではもったいないので、効果的な活用方法について考えたい。
(3)議題3 その他
次回開催については、10月中を目処に検討を進め、日程については後日改めて調整する。
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