ホーム・計量計測データバンク2005年度計量法改正情報BOX第3WG第5回 議事要旨

 計量行政審議会計量制度検討小委員会第3WG(平成17年度第5回)
 議事要旨



1.日時:平成17年11月2日(水)
      13:30〜16:00

2.場所:経済産業省別館10階1028会議室

3.出席者:今井座長、伊藤委員、久保田委員、桑委員、齋藤委員、芝田委員、杉山委員、瀬田委員、中野委員、畠山委員、本多委員、松本委員(四角目代理)、三浦委員、望月委員、山領委員

4.議題:1 関係者ヒアリング
     (日産自動車株式会社、株式会社三菱化学ビーシー
     エル、横浜市水道局、東京都健康安全研究センター)
     2 その他

5.議事要旨:
 事務局から委員の出欠について報告の後、座長から、今回開催の趣旨及びWGの公開についての説明がなされた。

議題1 関係者ヒアリング
○標準ユーザーとして、日産自動車株式会社計測技術部計量計測グループ主担 望月 知弘 委員から、標準ユーザーとしての期待について、プレゼンテーションがなされた。
主な質疑等は以下のとおり。
・ 暫定対応の定着ということで、QS9000等に対応する国内標準供給が足りないということだが、まだ暫定対応というのは続いているのか。その場合、日本国内でのJCSS標準供給は欧米と比較してまだまだ不足しているということか。
→暫定対応は続いている。自動車の法規制上でも標準が供給されていないものがある。品質マネージメントシステム全体で捉える業務について、ほとんどが国家標準へのトレーサビリティをメーカーが出すトレーサビリティ体系図で説明せざるを得ない状況。
・ 欧米では校正事業者が一括して全ての量目を取り扱うといった、規模の大きい校正事業者が存在しているのか。
→規模が大きいし、また、自社で対応出来ない場合は、校正事業者のネットワークを通じて対応する仕組みが出来あがっている。これらは下請け、孫請けの形ではなく、横の連携で対応している。
・ 独PTB、米NISTにトレーサブルをとっているとの話しであるが、社内標準器を校正に出す周期の点から見て、海外に出しても生産工程に影響がない程度のものなのか。また、これは日本における標準の供給体制が早急に整わなくても良いということか。
→海外に校正に出しているのは社内のプライマリーの標準器であり、これは年に数回しか使用しないので問題ない。また、国内の供給体制が整わない限り、海外といった定期的に校正依頼が出来るところに出すことになる。国内に標準がある方が良い。
・ 欧米拠点では社内校正が多いとのことであるが、欧米の自動車メーカーも同様ということか。この場合、トータルコストを比較すると社外に出した方が有利なのか。
→ビッグ3は多少違うかもしれないが、少なくとも日本の車メーカーは大半は外に出している。全数検査に使用するものなので校正に時間が掛かるものは社内でやる。欧米の校正事業者は日本よりもかなり安い場合が多い。全体のコストとしては、欧米の価格のレベルの場合は、社外に出した方が低コストである。海外のメーカーも状況は同じであり、一般的には外に出した方が安い。
・ 車の場合リコールが生じるが、校正システムの不備が原因であったような事例はあるのか。
→非常に難しいが、今まで調べた中ではない。直接製品の不具合に繋がっているかの証明が難しい。
・ 社内で人の育成が大変とのことであったが、何か特別なカリキュラムを持っているのか。
→特別なカリキュラムはないが、いわゆるオンザジョブトレーニングで対応している。

○標準ユーザーとして、株式会社三菱ビーシーエル品質保証部 木村 一夫 副参事から、臨床検査と標準物質(トレーサビリティ)に関しプレゼンテーションがなされた。
主な質疑等は以下のとおり。
・ トレーサビリティ項目の例の中で、標準供給が国内で賄われていないとの話しがあったが、他の認証機関では国内、国外どれくらいの比率になっているのか。
→比率は不明であるが、HECTEF(福祉医療技術振興会)でかなり標準物質を国内供給している。
・ トレーサビリティ項目の例に掲げられているものについては、少なくとも標準物質があるので、国内の病院において同じ値が今現在確保されていると思って良いのか。
→残念ながらそこまではいっていない。全員が同じ標準を使用しているわけではない。厚生労働省で検査方法が認められているので、コストの問題等があるため、今後はこうした標準の方向に移行していくと思う。なお、JABが新たにこの分野の認定を始めているが、JABの姿勢としては、本リストにトレーサブルでないものについては、認定しないとの方針。
・ 標準物質がきちっと認証されたものがないとのことであるが、分析方法等については、例えばJISで相当整備されているとの考えで良いのか。また、短時間で国家標準につながるものを作るのは非常に難しいと思うが、これに準ずる程度の信頼できる物質があるのではないかと思うので、これを共同実験で値付けするようなことは可能か。
→それで良い。また、JCCLSが活動しているが費用的な問題があると聞いている。

○標準ユーザーとして、横浜市水道局浄水部 畑澤 智 部次長兼水質課長から、水道事業体から見た今後の標準供給、国際整合性及び国内トレーサビリティ体制に期待することについて、プレゼンテーションがなされた。
主な質疑等は以下のとおり。
・ 標準液の中で自社調製をしているものがあるとのことだが、その場合人材育成はどのような形で行っているのか。
→ISO17025を取得する際に、社内研修制度と技能の認定制度を有しており、職員の技能をランク付けしている。
・ 地方自治体関連の技術的な評価のようなものはどのくらいまで行われているのか。
→水道事業者については、厚生労働省がコンテストを主催しており、また、各県レベルでは共通試料を配付して、Z値を出しているところ。ただ技量に幅があり、かなりZ値の幅があるところ。
・ 法規制の所管省庁毎に測定方法が多少異なるということであるが、同じ分析をしても数値が異なることはあるのか。
→あまりないと思うが、例えば環境省は河川の検査を行っており、自分たちは水道の公定法で行っていることから、必ず一致するとは言い切れない。省庁間であってもある程度手法の統一は重要と思う。また、手法の違いを補正する方法として、校正する標準を統一することも考えられる。
・ 混合標準液について、トレーサビリティが国家標準に達していないケースがほとんどと思うが、ISO17025ではトレーサビリティが要求条件となっており、審査員が来たときに何かしらコメントはあったのか。
→手法自体が一斉分析法でISO17025を取得しており、スタンダードの作り方もそこで規定している。元々認証標準物質は高濃度であり、希釈しないとスタンダードにならないことから、化学反応や安定性をチェックして混合標準にしている。単成分系のトレーサビリティがとれていれば良い。
・ 地方自治体レベルでの共同実験といった連携はあるのか。
→神奈川県内で相模川の水質監視に関する業務提携や標準物質、分析法の検討等を行っている。今後は水源を共有している部分では、こうした話しが進むと思う。

○標準ユーザーとして、東京都健康安全研究センター 矢口 久美子 水質研究科長から、標準ユーザーから見た今後の標準供給、国際整合性及び国内トレーサビリティ制度に期待することについて、プレゼンテーションがなされた。
主な質疑等は以下のとおり。
・ どういったものを考慮して標準物質を優先整備して欲しいと考えているのか。
→優先物質の中では国民の命に関わるものや、水道水等から多く検出される化合物も重要と考えられる。
・ ある一つの物質について市販の標準溶液が複数ある場合、どれを選択するかといった指針はあるのか。また、この分野において、国際整合性も必要ではあろうが、それよりも国内的に値を統一する方が重要と考えて良いか。
→市販の標準溶液全てを調べて似たような値をとるメーカーをその後も使用するといった方法を用いている。また、水道水については、国際的というより、やはり国内で値を統一する事の方が重要。ただ食品分析については輸入食品が多いので、国際間の整合性が必要と思う。
・ 前回と同様、横並びを確認する観点から、簡単な質問を後ほどさせていただきたい。

議題3 その他
 事務局から、第3WGの今後の開催スケジュール(次回11月15日等)について説明を行った。

                           以上

 
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