旭計器工業(株)(楠 輝雄 社長)は、2013(平成25)年5月23日に、約6年の月日をかけて圧力区分のJCSS校正事業者として登録された。認定登録番号は0301。旭計器工業は、1916(大正5)年6月に大市港区に圧力計およびガス調節機器の製造販売を目的として創業した。
たゆまぬ研究と努力を重ね、圧力計総合メーカとして事業を展開している。
近年、産業をとりまく環境の変化はめざましく、圧力計は装置産業を始め、あらゆる産業におけるシステム化、高度化、無人化、デジタル化となり、その用途が広がり重要性もますます高くなってきている。近年広く浸透してきているのが測定の不確かさであり、顧客からの問い合わせも増加したことから、2007(平成19)年からJCSS登録へ向け準備を始め、約6年かかって、2013(平成25)年5月23日付けで同社校正事業部はJCSS校正事業者として登録された。
従来より圧力計の設計、製造および校正を中心に業務をおこなってきているが、近年、計測器管理に対応するためのトレーサビリティ証明の要求が圧力計においても増えているなかでJCSS制度が必要不可欠となり、今後もニーズが増えることを見込み、圧力計メーカーとしてJCSS登録へ向けて、全社を挙げて取り組んだ。従来からISO9001を取得していたがISO/IEC17025で要求されている技術的要求事項についての知識が少し不足していたために、要求事項および不確かさについて理解することから始めた。またISO/IEC17025は組織の独立性を求められることから、校正事業部として本社の組織から独立させることで対応した。校正事業部の要員は同社での業務を兼任していることから、外部および内部からの圧力を受けない体制を整えることに大変苦慮した。
機械式圧力計の校正については従来から実施していた校正方法を基に手順書を作成し、運用することができた。重錘形圧力天びんの校正においては従来、計量法基準器検査規則に沿った校正方法の知識しかなかったが、圧力比較の連鎖を実現するためにクロスフロート法を採用した。不慣れな手法であったことから、クロスフロート法での校正手順の確立、手願書の作成、さらに校正における不確かさ要因を特定し、算出するまでに多くの労力を費やした。
旭計工業の今後の展開として、圧力のJCSS登録事業者は、17事業者(2013年10月現在)と他の量に比べると少なく、その中でも機械式圧力計(液体ゲージ圧力)の校正を250MPaまで対応しているのは3事業者のみであることから、今後は圧力計メーカーである特長を活かして、校正証明書付き圧力計の販売や迅速な修理、調整、校正サービスを展開することで、幅広い顧客ニーズに対応していく。
また、関西方面の圧力計メーカーからの校正依頼を中心に業務を進め、関西圏でのJCSS校正事業者としての代名詞となるよう業界へのJCSS校正の普及活動を展開することで市場の拡大をおこない、社会に貢献したいと考えている。
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