日本計量新報 2015年1月1日 (3039号)第2部4-5面掲載
受注が増加
−−景気に関しては、難しい状況になっていますが。
自動車産業が好調で受注増える
そうですね、景気はすこし足踏み状態ですね。わたしが景気のバロメーターとして見ているのが、いわゆる今月受注して今月出荷する当用買いです。これが一番景気に影響されるとみていまして、今年の4〜7月は対前年度比で下がりましたが、8〜9月あたりから持ち直し、いずれも前年同月比を上回っていました。全体に言えることは、自動車産業が景気がいいので、その影響で受注が増えています。
富士重工業さんが調子がよいようで、注文が最近増えてきました。マツダさんも復活してきて、設備投資が増えているそうです。
新しい分野を伸ばす
−−力を入れているのはどの分野でしょうか。
医療に注目
今述べました自動車産業関連には力を入れています。成長分野として注目しているのが医療の関係です。短期的な話ですが、アメリカのドラッグストアチェーン店に2015年4月までに8000台の天びんを納入します。これで5億円以上の売上になります。
理化学市場への展開を推進
当社はマイクロ天びんや粘度をはかるレオメーターなどを取り揃えていますが、理化学市場にはまだ参入しきれていません。やはり先行メーカーが圧倒的に強く、どうしたら入れるのか模索しているところです。高精度なマクロピペットを投入し、理化学拡販プロジェクトを社内で立ち上げ、その成果に注目しています。
マイクロ天びんは立ち向かえる
マイクロ天びん関連は、うまくデビューできました。一番大きな理由は、かなりシビアなマイクロ天びんの設置環境を意識し、マクロ天びんに「環境アナライザ」を内蔵し、また外付けの環境アナライザも用意したことです。それで置かれた環境が悪いのか、天びんが悪いのかの識別をします。
当初、代理店からは、マイクロ天びんを取り扱いたくないと言われました。納入したマイクロ天びんがまともな値が出ない場合に、機械が悪いのか環境が悪いのか検証できなかったからです。
いまでは環境アナライザを取り揃えて、先行メーカーに十分立ち向かえる体制ができました。売り上げで50億円ぐらい寄与できるかなとみています。
食品加工の検査装置に期待
次に「はかり」に関係することですが、食品加工の検査装置に期待しています。流れのなかでパック詰め食品の重さを計ってチェックする装置や、金属検査装置(異物検査装置)ですが、2013年に発売しました。大いに期待しているところです。
販売は国内から始めまして、いまでは当社のオーストラリアの子会社でも多く扱っています。この市場でも当社、当面2〜300億円の売上を目標にしています。5〜10年かけて継続的に伸びていくと期待しています。
アルミ包装製品の金属検査装置はA&Dのみの技術
最近、食品の包装にアルミパックが増えていまして、アルミパック中の異物検査は当社は20数年前にやっていましたが、その後止めていました。2014年の春にお客様から当社にアルミパック中の金属異物検査をしたいという要求がありました。最初は対応できないと答えたところ、20数年前に納入してもらっていると言われてしまいました。それがきっかけで現在、また新アプリケーションとして進めています。
食品加工は、個別包装に酸化防止剤を入れます。これは、食品は酸化すると味が変わってしまうからです。酸化防止剤使用の包装でも、金属異物の有無が判定可能なアプリケーションがあります。この精密計測が当社では可能です。
検査装置のアナログ分解能が高いので、そういうことができるわけです。これは他社にはない技術で特許出願中です。他社製品の分解能は12ビットで、当社は16ビットで計測しており6万分の1の分解能があります。
食料品や薬品など活躍の場は広く
アルミパックの商品は酒や焼酎などを入れるアルミ箔パック、鍋焼きうどんなどのアルミ製容器、コーヒーなどのアルミ缶飲料、アルミ包装の薬などいろいろとありますので、当社の「アルミ箔・缶包材用金属検出器」が活躍する場は広いですね。
自動車関連は1.5倍の売上
先ほど述べましたが自動車産業関連が好調です。2014年度の上期の受注が30億円を超えました。昨年度の売上が20億円ですから、約1.5培に伸びています。
自動車の試験は大きく分けて2つあります。1つはパワートレイン系で、エンジンからトランスミッションにいく系統です。2つめが車両の運動性能です。
ある車メーカーの例ですが、同社は燃費の向上よりも乗心地の向上、安全性の向上を全面に打ち出しています。同社はこの2つめを重視しているということです。当社はこれに応える試験装置を開発しています。
タイヤの試験機
乗心地の向上は、タイヤと一体ですが、当社のタイヤの試験機は、日本の主な自動車メーカーに納入されています。とくにエコタイヤに関しては当社の製品が採用されています。韓国や中国にはタイヤメーカーが多いですから、そこにも積極的に働きかけていきます。ヨーロッパでは大手タイヤメーカーが当社を非常に評価してくれています。
車両計測は得意分野
エンジンの燃焼は化学現象です。それに対して、車両の挙動(まがる、止まる)は物理現象です。ですから、エー・アンド・デイは車両の挙動に関しては得意分野になります。
エー・アンド・デイは、1つめのエンジン関係の試験装置も一所懸命に取り組んでいまして、技術の開発に努めています。
大型試験機試作工場を新築
当社は近年の自動車およびタイヤメーカーを中心とするお客様からの大型試験機の受注増加に対応するため、埼玉県鴻巣市に延床面積1394m2の試作組立工場を新築しました。
エー・アンド・デイが長年培ってきたセンサー技術とDSP技術(高速デジタル信号処理技術)を融合した、大型タイヤベルト試験機・タイヤドラム試験機等、高性能でユニークな試験機の製作を開始しています。
壊れない高感度な計測器で需要増
トルク計、これは当社の基盤技術である「はかり」の応用ですので、技術的に非常にプラスになっています。当社のホイール分力計は感度がよいということで、ヨーロッパの大手タイヤメーカーや大学で認められて、採用されています。
力の感度は、機械的な変位と電気的な感度の積です。当社は電気的な感度は0.2μV(200nV)をベースにしています。他社では10μVぐらいがベースになっています。つまり、エー・アンド・デイの製品ほうが他社より50倍も感度がよいのです。ですから機械的変位も50分の1にできます。機械的な変位が多いということは、これは疲労試験をやっているようなものですから、他社製品に比べ当社の製品は壊れません。そこで当社製品に置き換えたいというご要望をたくさんいただいています。 |