日本計量新報 2013年2月17日 (2953号)2-3面掲載
海外展開に力入れる(2)
タイに合弁会社設立
タイは、大きな水害がありましたが復興して、現在は好調です。周辺のアセアン諸国は今後の市場拡大が期待されます。各国とも人口が爆発的に増えており、しかも、経済のレベルがある程度に達しているからです。労働力の供給源としてだけではなく、市場としても期待できるようになりますから、よい循環になります。
ですから、2012年10月に、当社はタイに合弁会社を設立しました。CHINO Corporation (Thailand) Ltd.です。アセアン地区における計測制御機器やセンサおよび関連機器の販売・サービスを担当します。タイを足がかりにして、アセアン地区に力を入れていきます。
韓国はハイエンドの会社に
韓国の韓国CHINO(株)は、少し韓国経済の影響を受けましたが、計量のトレーサビリティの確立など、今後もう一段レベルアップした技術力をつけ、ハイエンドの業務を遂行していきます。
アメリカも動き出した
アメリカも苦労しましたが、再構築の結果やっと動き出しました。CHINO WORKS AMERICA INC.はアメリカの拠点として、北米、中南米を対象に、全製品の販売をしていきます。
トレーサビリティを確立して
海外展開においても、基本は計測の信頼性が原点ですから、各国の国家標準機関とつながる計量のトレーサビリティをきちんと確立してやっていきます。これは絶対に守っていきます。チノー製品の世界における信頼の原点です。
この、安かろう悪かろうの粗悪品はつくらないというチノーの姿勢は、世界でだんだん理解されてきています。
海外の標準機関に多くの温度標準を供給
当社は、(独)産業技術総合研究所との共同開発を行い、海外の国家標準機関に多くの温度標準を供給してきました。計量に関する日本のステータスの向上に寄与できていると思います。
海外研修の仕組みつくった
先に企業は人であるというお話をしましたが、海外展開をしていくなかでも人材の育成がカギになります。そこで、2年間の海外研修の仕組みをつくりました。
シカゴへ2年間、仕事を研修内容として若手を派遣しています。英語学校に通いながら、実務についてがんばっています。
究極の目標は地産地消
いずれの地域でも、究極の目標は、現地で、現地の需要にあわせた製品を生産し、現地の市場で販売をするということです。
そのかわり日本では絶えず新しいことにチャレンジして技術は空洞化させません。考え方としては全世界で一つの会社として、人も機器も自由に行き来できるようにしていこうとしています。
水事業は新興国で需要
ーー4社協業の海外ビジネス展開についてお話ください。
新興国には大きな需要が
初めての協同事業ですから、なかなか大変ですが、しっかり進めていきます。
2011年7月20日に、東京計器(株)、長野計器(株)、(株)オーバルと当社の4社で、伸張する海外水市場の開拓を主な目的として包括的な業務提携をすることを発表いたしました。これまで各社はあまり関係がなかったのですが、水をキーワードに集まりました。
長野計器は圧力計における国内トップシェアのメーカーです。東京計器は超音波流量計や電波レベル計等を中心に国内の上下水道市場で高いシェアを持っています。オーバルは流体計測市場の国内最大手であると同時に海外市場や石油市場に豊富な経験と実績があります。そして当社は記録計・センサ・ロガー等の計測・制御機器メーカーとして国内外で高い実績を残しています。
これらの独自の強みを持っている4社が包括的な業務提携をすることにより、2025年までに大きく膨らむものと予想される世界の水市場で、商品ラインナップを充実させ、各社が保有する販売・技術・生産・サービス・物流等の経営資源を相互活用することなどによって相乗効果を発揮し、顧客満足に結びつく新たな付加価値を迅速に創出し、ビジネスチャンスの拡大をめざしていこうというものです。
4社の協業により、大規模プロジェクトには適さない、新興国のローカルな町や村の中小の水システムを、大きなコストをかけないで構築することができるようにします。新興国にはたくさん需要があると考えています。
プロジェクトチームで構築・整備進める
2012年5月にはブランドネームを「BLUEDGE(ブルーエッジ)」とすることを決め、2012年秋に開かれた「INTERMEASURE2012」では、4社が協同ブースを設置するなど、関係強化を図っています。
このブランドネームを象徴するような、汎用的でコンパクトなシステム製品を商品化して、具体的に事業を前進させていきます。
現在、専門プロジェクトチームで協業体制の構築・整備を進めているところです。
初めての試みで難しい面も多いですが、よいチャンスですし、着実に進めていきたいと思います。中小のお客さまにとっても利便性が高いですから。
中小企業の海外進出のよい形
中小企業が海外展開をする際に個別に進出するのは大変ですから、こういう共同での展開が伸展することには大いに期待しています。
さあこれからだ
ーーこれからの方針をまとめてください。
大競争時代に勝ち抜く
現在は、体制の整備が終わって、さあこれからだという段階です。
国内では、これから大競争時代になりますから、これにきちんと対応し、勝ち抜いていく必要があります。数年先を見て、得意分野でアイデンティティを構築していきます。そのなかで、先ほども申しましたが東日本大震災からの復興に貢献していきたいと願っています。
キーワードは、安全・安心、新エネルギー、環境などです。当社はこの分野でずっとやってきています。
チノーの計測器は信頼を売っています。誰が計測しても安定して、同じ結果を得ることができるという、信頼できる計測器をつくっています。それを忘れてはいけません。
CHANGE & CHALLENGE
チノーは今、「CHANGE & CHALLENGE」を掲げています。これも当たり前のことですが、意識しないとなかなかできません。
現在の状況を乗り切っていくためには、自らが変わらなければいけませんし、環境や仕事のしかたも変えなくてはなりません。状況が変化しているのに、5年前と同じことを同じやり方でやっているとしたら、それは後退ですね。そして、先ほどから言っていますように、原点に帰ってあらゆる事にチャレンジ精神を持って取り組んでいこうということです。
本社機能も見直し
これまで基盤整備をやってきましたが、本社機能の見直しもしています。改善は現場も本社も基本は同じです。私はまず現場では当たり前になっている整理整頓の5Sからやりなさいと言っています。
本社は仕事が専門機能で分かれていますから、お互いの仕事が見えにくいですね。風通しをよくしてそれを互いにわかるようにしていくことが重要です。本社の機能は、本来は会社の業務を円滑に推進するためのサポートですので、風通しがよくないとダメですから。
グローバル化を推進するには、本社も国内の本社ではなくグローバル化しなければなりません。2012年7月に、従来の生産本部を「グローバル生産管理本部」にしたのもその一環です。グローバルに全体を見て生産管理しないと、個々の地域や工場ごとの生産管理では、そこの固有事情が優先されて分業が活きてきませんから。俯瞰して全体の観点から生産を管理していく必要があります。
採用も国際的に
日本での外国人、勿論女性の採用も増やしていきます。まだ中国、オーストラリアなど少数の人材の採用に留まっていますので。
現地法人も、現地の出身者が日本で研修をしてチノーマインドをきちんと理解してもらって、経営をしていくというのが目標です。日本から人を派遣して長期に駐在させるにはやはり限界があります。韓国ではすでに現地化が実現しています。
−−ありがとうございました。
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