日本計量新報 2010年10月17日 (2842号)2面掲載
新製品の開発を進める
「コンテナ車両偏荷重計量システム」を開発
−−京浜地区で、港湾関係で使うコンテナ関連の質量計の開発をされていますね。
トラックスケールも性能が向上しています。『日本計量新報』で報道していただきましたが、国際海上コンテナの横転事故防止のための「コンテナ車両偏荷重計量システム」を開発しています。
コンテナ内の偏加重値を検出して、軸ごとの軸重・輪重と左右のバランスを記載した偏荷重計量値をドライバーに発行するシステムです。
偏荷重測定の精度向上と平行して、走りながら測定しても、停めて測ったのと同じ精度を実現しています。1年近くデータ取りをしていますが、びっくりするような結果が出ています。作業効率が画期的に向上します。国土交通省の担当官も視察に来られ、十分ご理解を戴きました。
ソフト開発を加速
トラックスケールは測定方式がアナログからデジタルになり、完全にソフトウェアの開発競争になりました。いかにソフトを開発して新しいシステムを構築していくかです。
発想が大事ですね。たとえば、私ならトラックスケールは停まって測るものだという固定観念がありますね。ところが、走りながら測定しても、停まって測るのと同じ精度を実現しました。私が「これは無理だな」と思うようなことも、若い社員に聞くと「できないことはない」と言います。できないという発想をしないのですね。産学協同開発も進めています。鎌田副社長を責任者に、ソフト開発を加速しています。安心で使いやすく精度がよい計量器をどんどん開発していきます。
蛍光灯破砕機は好調
−−環境関連の製品にも力を入れていますね。
石膏ボードはものすごい勢いで使われる量が増えていますので、今の廃棄物の処理設備では処理しきれなくなります。
しかし、石膏ボードを粉砕・分別処理しても、これをどう再利用していくのかということで問題が多少残っています。再生の方向が多岐にわたっており明確になっていないのです。処理施設も100カ所程度に留まっていて、少しずつしか増えていません。
それに対して、蛍光灯は後処理の方向性が明確になっています。私どもの「蛍光灯破砕機」で処理した蛍光灯はすべて、日本を代表する水銀の生産者である野村興産(株)に送り、同社が独自の方法で処理し、水銀を抽出し、ガラスはグラスウール原料としてリサイクルをして、廃棄物の再資源化を推進しています。
蛍光灯が使われている限り、需要があります。
ビジネスチャンスはある
ビジネスチャンスはいくらでもあります。たとえば、EV(電気自動車)に使われている電池の処理、再生、再利用の問題などはこれからの問題だと思います。
こういった新しい問題を見過ごさずにどんどん追求し、ビジネスチャンスに結びつけていくことが必要だと思っていますし、皆様方からのご意見を真摯に受け止めて新製品を造り上げていきたいと考えています。
足元を固める
−−今後の方針の重点は何ですか。
一つは海外進出です。今更何を言っているのかと笑われますが、進めていかなくてはなりません。もう一つは、そのためにも足元をしっかりと固めておかなくてはなりません。営業的にも、従来からのお客様をもっともっと大事にし、お客様の声をよく聞いて、細かく対応していかないといけません。
どちらも中途半端ではダメだと思います。
環境ビジネスを追求
環境ビジネスも引き続き追求していきます。まだ、当社の売上の27、28%を占めるにすぎません。これが売上の35〜40%を占めるようになれば、会社の売上がぐっと上がります。官公庁需要がきちんとあった頃には、売上高の55%くらいを環境ビジネスが占めたこともあります。官公庁需要は以前のようには戻りませんが、その中でもきっちりと仕事をしていきたいと考えています。
従来のビジネスモデルは崩れています。これまではプラントメーカーと提携した仕事が多かったのですが、プラントメーカーが、種々の要因で撤退しています。したがって、直接営業や鎌長製衡が直接入札する形が増えてきています。こうした形で6月の増収を果たしたと思います。
ビジネスに楽はない
これまでは、いわばプラントメーカーにおんぶした、楽な営業をしていたわけです。これからはそうはいきません。ビジネスに楽はありません。皆様のご支援の下、自分たちの力を信じて前へ進むほかはありません。
−−ありがとうございました。
会社概要
【会社名】鎌長製衡株式会社
【創業】1880(明治13)年10月1日
【設立】1947(昭和22)年1月17日
【代表者】代表取締役金本重孝
【事業内容】産業用はかり、計量システム、計測制御、リサイクル用処理機器の製造及び販売
【本社】〒761−0121、香川県高松市牟礼町牟礼2246番地
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