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安全・安心と持続可能な社会づくりに貢献

鎌長製衡(株) 鎌田長明社長インタビュー

聞き手は高松宏之編集部長

vol.1

日本計量新報 2012年7月29日 (2927号)2面掲載

6代目の社長

−−新社長ご就任おめでとうございます。

ありがとうございます。私は香川県の高松市の出身です。鎌長製衡は今年で創業132年目になりますが、私で6代目のオーナー社長ということになります。
 2002年に東京大学経済学部を卒業しまして、2003年に東京大学大学院経済学研究科修士課程を修了しました。2004年に東京大学大学院工学系研究科博士課程に入りまして、2007年に満期で退学しました。
 その間、2004年に大学のなかで「株式会社情報基盤開発」というベンチャー企業を立ち上げました。現在も代表取締役をしています。

3次元計測のトラックスケールなど開発

2008年に鎌長製衡に入社して、副社長として財務、総務、開発部門を担当してきました。偏荷重や3次元の重心位置を計測できるトラックスケールなどを開発しました。

経済学から工学系まで

−−経済学を専攻しておられたのが、博士課程は工学系に転じられていますね。

私は昔からプログラムをつくるのは得意でした。大学院でも金融関係、具体的には統計学を専攻しており、日々数学を扱っていたので、問題はありませんでした。
 ベンチャー企業の立ち上げとも関連があります。工学系に移ったときに、東大の社会基盤学、要は土木工学で「橋梁」に関する研究をしていました。そもそも金融関連でアセットマネージメント(投資用資産の管理を実際の所有者・投資家に代行しておこなう業務)を研究していましたので、橋に関しても、これを証券化して管理する研究をしたわけです。
 ここで大事なのは「橋の評価」です。これは、一つは交通量、もう一つはメンテナンス料です。これにはデータの蓄積が必要ですが、そのデータを蓄積するシステムをJRと共同開発しました。このシステムのプロトタイプをJRが使用することになり、会社を設立したわけです。

最先端技術で顧客ニーズに応える

老舗は常に新しい

−−鎌長製衡は歴史ある企業ですが、同時に最先端技術を誇る企業でもありますね。

たまたま和菓子の老舗である(株)虎屋の黒川光博社長の話を聞く機会があったのですが、そのときに黒川さんが「老舗は常に新しい」ということをおっしゃいました。私も老舗だからこそ新しくあらねばならないと考えています。歴史と伝統を踏まえながら、時代にあった新しさを常に生み出していかなければなりません。

トラックスケール、自動包装、環境リサイクル機器が柱

鎌長製衡の製品および構成を紹介します。主要な製品はトラックスケール、ホッパースケール・パッカースケールなどの自動包装システム、環境リサイクル機器、それらを含めたプラントエンジニアリングです。
 現在は、トラックスケール、自動包装システム、環境リサイクル事業が、ほぼ三分の一ずつの割合で構成されています。

最先端技術のトラックスケール

トラックスケールは、ほぼ100%デジタルロードセルを使用した製品になっています。タッチパネルを採用した指示計「DI−1500」など、最先端技術でトラックスケールを製造しています。先ほど申しました、偏荷重に加えて、三次元の重心位置を測定できるトラックスケールも開発しており、これが普及すれば自動車貨物輸送の安心・安全に大きく寄与できると考えています。
 トラックスケールのトップメーカーとして、今後も市場を引っ張っていく製品を出していかなくてはならないと思っています。

耐圧防爆型液体充填機などに注目

私どもで一番強いのが餌やサイロ関連のホッパースケールです。これはかなりのシェアを占めています。また、パッカースケール、フレコン充填機やフィーダーなどの製品があります。
 とくに最近は、超高速タイプのパッカースケールや、オーガー式の全自動計量充填装置、耐圧防爆型液体充填機などが注目されています。

高い対応力が強み

日本の大型はかりの歴史には、だいたい鎌長製衡が関わっていると自負しています。
 鎌長製衡がお客さまから評価していただいているのは、高い対応力です。顧客のニーズに応えられる最適な商品を企画・提案し、実際に開発して提供できるということです。これが当社の強みです。

システムとして開発

そして、その範囲ははかりだけに留まりません。前後の搬送機器まで含めたシステムとして開発・提供することが増えてきています。海外に進出した日本企業の自動ラインなどを構築しています。今後も東アジアを中心に展開していきます。

環境リサイクル機器にも早くから取り組む

環境リサイクル機器に関しても、私どもには歴史があり、1960年代から取り組んでいます。
 これはトラックスケールを使用している廃棄物事業者などを対象に開発したのがきっかけです。1990年代に容器リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)が制定されたことにより、ペットボトルやプラスチック製品の回収がおこなわれるようになり、それにともなって、鎌長製衡の圧縮機械や破砕機械などが中間処理施設に納入されるようになりました。

プラントエンジニアリングに注力

それに加えて、それらの機械だけではなく、その周辺を含めたプラントエンジニアリングに力を入れています。現在、岩手県などでプラントを構築しています。今後、これらはもっと増えてくると考えています。

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