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世界をリードする製品で躍進はかる

鎌長製衡(株)鎌田長明社長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

vol.1

日本計量新報 2014年7月20日 (3018号)2面掲載

重心位置測定機器の校正の標準化めざす

−−三次元重心測定機能付きトラックスケールが注目されていますね。

三次元重心測定機能付きトラックスケールを高松港に設置

三次元重心測定機能付きトラックスケールsatrs(サトルス)を、昨年(2013年)、香川県の物流の拠点である高松港コンテナターミナルに設置しました。
 設置場所はターミナルのゲート部分です。これが評判がよくて、香川県から感謝状もいただきました。これまでサトルスは、横浜港に2台設置させていただいていますが、計量所に設置されていますので、偏重心の疑いがあるトラックだけを測定しています。

通過するトラックを全部測定

これに対して、高松港ではゲートに設置しましたので、ゲートを通過するトラックを全台数、測定しています。
 香川県からは、運行を阻害しないようにという条件がついていました。港内は国際条約で管理されていますので、ゲートの出口でロックを確認することと、何を運び出すかを申告する作業があります。ロックというのは、コンテナと車台がきちんと固定されているということで、これはドライバーが下車して確認します。
 つまり、ゲートでトラックは必ずいったん停車しますので、ここにトラックスケールを設置しました。
 これにより、トラックの流れを阻害せずに重心位置をチェックできるので、コンテナの搬送時の安全確保に大きく貢献できることになりました。

安全性の基準づくり進める

ただ、現状では、これだけ重心位置がずれていると危ないという指標はありません。これではいけないので、多数の測定を実施するなかで、あまりに標準偏差から外れたコンテナは危険と判断するという検討が進んでおり、管理者(県)と共同で進めています。
 これは、計測機器の指標を定めることにとどまらず、作業の流れ(フロー)も含めた、安全性を担保するためのしくみをつくっていこうという取り組みです。

第3者がチェックできる校正方法の構築めざす

さらに、計測器としては、検査・校正が重要です。現状では、個々のセンサの性能を検査することで校正しています。それにより、正確さを担保できます。しかし、システム全体として重心の位置が正しく測定できているかどうかに関しては、非常にコストがかかる方法でしか検査できません。
 そのため、はかりの検査をするときに標準分銅を載せて検査するように、重心位置がわかっている標準器を載せて検査するというようなシステムを構築していかなければならないと考えています。第3者にもわかりやすいものにしていかなくてなりません。
 今は、正しく測定できているかどうかの保証はメーカーがしているわけですが、重心位置を測定できるトラックスケールのさらなる普及を考えると、第3者がチェックするしくみが必要になります。

校正方法を世界標準に

現在、香川県から補助金も出していただいて、校正方法の検討を進めています。重心位置の測定は、まだ世界的にも珍しいですから、重心位置を計測する計測器の校正方法を世界の標準にしていく必要がある、つまり国際標準化をめざしたいと考えています。
 三次元重心測定機能付きトラックスケールを普及させるためには、検査・校正に関する標準はどうしても必要になります。これを国際標準化することにより、日本の計測に関する地位も向上します。日本で世界初で生まれた計測機器ですから、これを世界標準にしていくことが重要です。
 よい計測器をつくるというだけではダメで、誰がその計測機器をチェックしても正しい計測値を示すことを標準化によって担保していかないと、単なる価格競争に陥ってしまいます。単なる価格競争になれば粗悪な計測機器が市場に出回ることになりますから、結局は、正確な計測機器を使えなくなってしまうユーザーが困るわけです。
 このようにジャパン・スタンダードをつくっていかないと、単なるよいものづくりだけでは勝てない時代になっていると思います。

さまざまな粉体の事前テストが可能に(1)

−−他にも意欲的な取り組みをされていますね。

粉体のテスト工場を建設

粉体のテスト工場を本社内に建設しています。
 粉体計量をするときに、これまでテストが十分にできないというのが悩みでした。わたしどもが製造している粉体を計量する機器は非常に大型で、扱う粉体の量も多いので、簡単にテストができなかったのです。

事前テストで使用環境に適応した製品を

これではお客様に迷惑をかけることもあるということで、本社内にテスト工場を増設しました。これにより、この工場で事前にテストした機器をお客様に納入できるようになります。
 テスト工場は、現在テストランをしており、本年度前半には完成させたいと思っています。
 たとえば、当社にはHAP500という高速自動包装システムがあります。1時間あたり約500体の充填能力がありますが、このような高スピードになると、オープンタイプですので粉が舞うということが起こります。そうすると現場環境が悪化してしまいます。
 そこで、縦スクリューを使ったボトム充填式の、舞粉が非常に少ない機器を開発し、昨年、1号機を納入しています。このような高能力機器を引き続き開発していきたいと考えています。
 当社で粉体を扱う機器を事前テストできることで、お客様の動作環境や使用粉体の特性に合った機器を開発・製造することができ、納入後のトラブルを格段に減らすことができます。

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