日本計量新報 2014年7月27日 (3019号)2面掲載
さまざまな粉体の事前テストが可能に(2)
事前の十分なテストが必要に
鎌長製衡は、今までの実績やノウハウをベースに、安心・安全のものづくりを進めていきます。そして、お客様がやりたいことに適確に応えられる製品を開発していきます。
そのためにも、十分に事前にテストしたものを納入することが重要です。従来ですと、お客様の工務部などには詳しい方がいて、その方に話を聞けば、お客様のニーズに最適な機器を開発・製造することができましたが、現在は難しくなっています。また、扱う粉の性質も多種多様になってきており、従前の設計のままでは、粉の性質によっては、つまりが発生したり、流れが悪くなったり、機器に粉が付着するなどの問題が起こってきます。そういう幅広い種類の粉にきちんと対応するためには、実際に使用する粉を使用して、事前に十分なテストが必要になります。
輸出製品などでは、現場での対応が限られてきますので、事前のテストで問題を解決しておくことが、より重要になってきます。
お客様のニーズに確実に応える機器を開発・製造するために、テスト工場を建設しているわけです。
信頼性の向上につながる
計量機器メーカーにとっては計量計測機器に対する信頼性が一番重要ですから、製品をお客様に安心して長くお使いいただくということは重要な課題になります。
実機をテスト工場で十分にテストして、信頼性がある製品を納入していくことは、長期的には当社製品に対する信頼性の向上につながり、拡販にもつながっていくと考えています。
リサイクル機器にも力入れる
リサイクル施設の更新需要や小規模プラント
リサイクル設備の設置は1990年代から始まっています。初期に設置された設備は老朽化が進んでいます。これの更新需要があります。
また、ここ数年、小規模なプラントを手がけています。この市場で中小メーカーならではの仕事をするということに力を入れています。処理対象物・処理方法ごとに最適なリサイクルシステムを提案し、施設全体をトータルでエンジニアリングすることで、高効率な再資源化を可能とするリサイクルプラントを納入しています。
遠隔地や人口が少ない地域であってもリサイクルは必要ですから、循環型社会を形成していく上で、これらの廃棄物を効率的に選別・回収し、有効利用していくことが重要な課題となります。
木材チップ化装置
限りある資源の木材を再利用するリサイクル・テクノロジーである木材チップ化装置を手がけています。廃木材を高効率で確実に処理し、さらに粉砕して、再利用可能な燃料や二次製品に変えます。廃木材再生のビジネス化と環境保全を両立する、これからのリサイクル・システムです。
リサイクルが課題となっている間伐材や建築廃材等の「木くず」は、異物分別・破砕等の処理をすることによりボイラーやガス化発電の代替燃料として大量に活用できるので、いま最も注目を浴びています。
石膏ボード分別機
石膏ボードの排出量が年々増えていますので、石膏ボード分別機のニーズが出てきています。
石膏ボードを単に分別するだけではなくて、利用方法も確立するということで、昨年、香川県のため池の補修に廃石膏ボードを使う実験を実施しました。河川の補修にも利用できます。
このように、これまでは捨てていた石膏ボードの利用法が確立されれば、ニーズが広がっていきます。
日本スタンダードを打ち出す
石膏ボード分別機は海外でも売れています。石膏ボードの需要は世界的に伸びていますね。火災や地震に強いすぐれた建材ですから。
国内でのリサイクルを推進していくことで、世界でもリードできると思います。逆に言うと、世界でリードできる製品をつくらないと国内の競争にも勝てません。
アジア市場を見てみても、これからは、単に安くてよい製品だ、というだけでは競争に勝てません。日本がスタンダードを打ち出していけると、今後も繁栄が期待できると思います。
海外での販売増をめざす
−−はかりの市場はどのような状況でしょうか。
国内市場は横ばい
国内市場はほぼ横ばいですね。設備投資が若干増えてきていますので、微増というところです。機器の更新、改良などの需要が多く、増設というのは少ないです。改善はしてくるでしょうが大きな需要にはつながらないですね。
東南アジア市場が伸びる
やはり、海外市場での売上を伸ばしていく必要があります。
今後伸びてくる市場は東南アジアですね。当社は、韓国とタイに拠点があります。
タイなどは購買力が旺盛ですし、周辺諸国の経済も伸張しています。
−−タイの政情不安の影響はどうですか。
国家プロジェクトなどは止まっていますが、自動車の生産などは好調ですし、現状では、それほどの影響はないと考えています。
TPP交渉は、早く決まってほしいですね。農業政策がどうなるかわからないので、投資を控えている状況がありますので。
きちんとした計量システムが重要(1)
きちんとした計量システムがないと社会が混乱
気になっているのは、計量業界自体が行き詰まっている状況にあることです。計量法自体も前回の改正からかなり経過しており、時代に合わなくなっている部分も出ています。
先ほどの話と重なる部分があるのですが、やはり、きちんとした計量システムが構築されていないと、とんでもない計量器が市場に出回ったりして、社会の混乱を招くことになります。正確に計量できない、ただ価格が安いだけの計量器が市場に出回ることになって、結局は消費者が困ることになってしまうからです。
世界の信用を失う
そうなると日本のものづくりそのものの技術が落ちてきますから、当然、日本の競争力も弱くなってきます。ドイツでは国内のルールが厳しいですから、ドイツの計量器は世界で信用されています。日本でも日本の計量システムが崩れてしまったら、世界の信用を失うことになってしまいます。
そう考えると、きちんとした計量システムが存在することがどれほど重要であるかが理解できると思います。
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