日本計量新報 2009年9月13日 (2789号)2-3面掲載
計測分野で世界のトップ企業
科学機器・産業機器分野での計測に注力
−−世界企業であるメトラー・トレドグループについてご説明ください。
グローバルな視点から、メトラー・トレドの概要をお話しします。
当社が力を入れている分野は計測分野です。科学機器分野や産業機器分野での計測です。これらの分野で幅広い製品群と、広範囲のサービスを全世界に提供しています。
ヨーロッパとアメリカの長所を取り入れた会社
メトラー・トレドは全世界でグループ企業が活動していますが、本社はスイスにあります。株式はニューヨークの証券取引所に上場しています。したがって、ヨーロッパとアメリカの要素をミックスしたものになっています。つまり、アメリカの企業によく見られる非常にアグレッシブな社風と、ヨーロッパの企業に多い控えめな社風のいずれかに偏るのではなく、両者のよいところをバランスよくミックスした企業です。
売り上げは20億米ドル
従業員は世界で1万1000名ほどいます。売り上げ金額は2008年度で約20億米ドルです。
我々はグローバルに見ると中規模の企業と言うことができます。そしてそのなかで計測という分野に焦点を絞って事業を展開している会社です。
買収ではなく、 内部成長で伸展
売り上げ金額は2007年度は18億米ドルでしたから、毎年伸びています。このように業績が伸びている背景としてあげられるのは、内部成長をベースにしているということです。他の多くの成長企業のように大型の企業買収を繰り返して業績を伸ばしたのではありません。
メトラー・トレドは、組織や人材育成などで日々改善を続け、顧客の役に立つソリューションを提供することにより、業績を伸ばしてきました。
大型企業買収ではなく内部成長による伸展のメリットは、財務基盤が安定しており、負債も多くないということです。
アジア・太平洋地域の戦略
アジア・太平洋地域の売り上げは25%
メトラー・トレドグループの売り上げのうち、アジア・太平洋地域の売り上げが25%を占めています。
メトラー・トレドグループの全世界での売り上げの割合は、変動がありますがアメリカとヨーロッパ市場はそれぞれ40〜43%ぐらいでしたが、アジア市場の売り上げが伸びてきているので、現在はそれぞれ35〜38%ぐらいです。
2008年はヨーロッパが43%、アメリカが35%、アジアが22%でした。アジア・太平洋地域の売り上げは、2009年は25%ぐらいになります。ただし、2009年は金融危機の影響などがありますから、この割合は少し変わってくるかもしれません。
2009年は金融危機の影響があり予測しがたいので2009年を除くと、アジア・太平洋地域は年間で約25〜30%の伸びを示しています。アジア・太平洋地域で最も売り上げが伸びたのは中国市場ですが、それ以外の国も大きな伸びを示しています。
アジア・太平洋地域に強力に投資する
このように、アジア・太平洋地域での売り上げはここ数年、急速に伸びており、大きなビジネス領域になってきています。
アジア・太平洋地域に関しては今後も強力に投資をしていきます。
アジア太平洋地域の伸びを考えると、近い将来には、ヨーロッパ、アメリカ、アジア・太平洋地域での売り上げの割合が3分の1ずつになるのではないかと思っています。
2つの戦略
メトラー・トレドはアジア・太平洋地域に関しては二つの異なる戦略をとっています。
一つは中国やインドなど、急速に経済成長し,貿易や投資先として有望な新興市場向けの戦略です。
もう一つのアプローチは、それ以外のアジア・太平洋地域の国々での戦略、つまり、より成熟した市場での戦略です。
長期ビジョンで活動する
メトラー・トレドは20年前から長期ビジョンを掲げて活動しています。1989年には中国に製造のための合弁会社を設立しています。その頃ヨーロッパでは、中国は投資するにはまだリスクが大きい国と見られていました。しかし、メトラー・トレドは中国へ投資をしたのです。そしてサービスのネットワークも構築してきました。
日本市場にも伸びる余地がある
日本は後者の市場でトップの位置にあります。従って、日本についても強い意志を持って活動していきます。メトラー・トレドはより強力な会社になり、日本のお客様に革新的なソリューションを提供していきたいと考えています。
日本市場は大幅な伸びは示していませんが、私は日本でもまだ成長できるチャンスはあると見ています。なぜなら、まだまだメトラー・トレドが進出できていない分野が多いと思っているからです。そういう分野でわたしたちのソリューションは、お客様の製品の品質の向上や生産性の向上に必ず役立つと思います。
韓国市場も伸びる
今後成長が期待できる国として韓国が挙げられます。日本と中国の間で過小評価されがちですが、韓国市場も大きく成長する可能性があります。
私は韓国市場とオーストラリア市場に関しても責任を負っています。オーストラリアは、日本や韓国とは少し事情が異なり、トラックスケールなどの産業機器がメインの商品になります。
インドでも我々は積極的な活動を展開しています。製薬業界、とくにジェネリック医薬品の分野です。インド市場も成長しています。
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