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先進技術で世界ビジネスを展開

(株)島津製作所 分析計測事業部向山達也天びんビジネスユニット長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

vol.1

日本計量新報 2012年9月16日 (2933号)2面掲載

島津の技術を結集した天びん(1)

−−島津製作所は多くの天びんをラインナップしていますが、特長的な製品をご紹介ください。

Amidiaシリーズが好評

島津製作所は天びんAmidia(アミディア)シリーズとして、TW−N、TX−N、TXBというシリーズを出して好評を得ています。

スマートセッティング

このAmidiaシリーズは操作性を重視した製品です。操作パネルの右側に丸い形の「Smart+(スマートプラス)」という 操作キーがあります。このキーで、測定の途中で、天びんの計量における応答速度を変えることができるようにしました。この機能を私たちは 「Smart Setting(スマートセッティング)」と名付けました。
■測定途中に反応スピードを変えられる
 スマートセッティングは、測定途中に、「もう少し表示を安定させたい」と感じたとき、または逆に「反応スピードをアップさせたい」と感じたときに、測定を中断することなく簡単に調整ができる機能です。そして、調整状態がすぐわかる専用インディケータがついています。
 電子天びんの測定値表示は、何秒間かの平均を取って表示しています。天びんの応答速度はこの平均を取る時間の長さで決まります。長い時間の平均を取ると表示は安定します。そのかわり、微量な測定値の変化を表示することができません。
逆に、短い時間で平均すると微細な変化を表示することができます。しかし、環境があまりよくない場所、つまり振動が多い場所などでの測定では、表示値が安定しないということになります。
 ですから、微量の被計量物、たとえば薬の粉末などの計量においては、敏感に反応する方がよいのです。逆に、工場の現場などで製造した部品の質量を計って、それが既定値内に入っているかどうかを調べたいときなどでは、測定環境が良くないケースも多いので、反応スピードを遅くした方がよい場合があります。
 天びんの反応スピードを変える機能は各社の天びんに備わっていますが、当社の従来製品および他社の天びんではこの変更作業が面倒です。一度計量のメニューから外れて、各社独特のメニューの深い階層で変更設定する仕様になっています。それにたいして、Amidiaシリーズのスマートセッティングは、計量途中にボタン一つの操作(RとSのキー)で、反応スピードを調節できます。Rはレスポンス(応答、反応)、Sはスタビリティ(安定性)という意味で、応答性を重視するか、安定性を重視するかで、5段階の調整ができます。
 この機能はお客さまの間で評判になりました。従来品も、取扱説明書を見れば変更方法が書いてあるのですが、取扱説明書はあまり読まれないので、お客さまのなかには反応スピードの変更はできないと思っていらっしゃる方もいます。また、実際に変更するにしても変更操作が面倒だったのです。
 それをスマートセッティング機能を表に出すことで、変更できることをお客さまに理解していただく、加えて、計量途中に、専用キーによる簡単な操作で、インディケータを見ながら、リアルタイムですばやく調節できるのですから、使い勝手が格段に向上しています。お客さまのご不満を聞き、その答えを製品に反映した結果です。

使いやすさを追求したAmidiaシリーズ

それで、使いやすさを追求したシリーズにニックネームを付けました。それが「Amidia(アミディア)」です。アミとはラテン語でフレンドリー、優しい、とか使いやすいという意味です。ディアというのは、メディアすなわち媒体という言葉の一部です。つまり、島津製作所とお客さまを繋ぐ媒体という意味を込めました。それを繋げて「Amidia(アミディア)」としました。
 使いやすいエントリーモデルの天びんということで、ボディーの色も従来品と異なった白色を採用しました。
■Amidiaシリーズ初の分析天びんATX/ATYシリーズ
 これに続いてAmidiaシリーズ初の電子分析天びんである「Amidia ATX/ATYシリーズ」を投入しました。このシリーズには丸いボタンはついていませんが、ワンボタン操作でスマートセッティングが起動するようになっています。
 「ATX/ATYシリーズ」は発売して約2年になりますが、おかげさまで、当社の従来製品とも競合せずに、好評を得ています。
 AUシリーズのボディーはアルミダイキャストですが、廉価版のATX/ATYシリーズのボディーは樹脂成形品です。高級機に匹敵する性能を実現しながらも、機能を見直して価格を抑え、質感の高さを実現しました。ATX/ATYシリーズの投入により、使用環境や用途に合わせて最適な製品を選択できるようになりました。

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