日本計量新報 2014年1月26日 (2996号)2-3面掲載
ツイッターから新商品が誕生
−−谷田社長は、就任当初からインターネットの活用に力を入れられてきましたね。
ツイッターやFacebookを活用
就任当初からPR活動に力を入れてきました。その一つとしてインターネットも積極的に活用しています。当初はツイッターやFacebookも社員が非公式で運営していましたが、だんだん軌道に乗ってきましたので、現在は公式ツイッター、公式Facebookとして運用しています。
ツイッターがきっかけで商品開発
実は、ツイッターでのお客様のつぶやきから新商品が生まれました。
体組成計のコラボレーション商品です。ツイッターで「アニメのキャラクターの声で、健康管理のアドバイスをしてくれたら、ダイエットもうまくいくかも」というような趣旨のつぶやきがあり、この発言がきっかけとなったツイッターでのやりとりにサンライズも参加されまして、実際に商品をつくって販売しましょうということになりました。
アニメヒーローの声で管理できる体組成計開発
平和を守るヒーローが主人公のアニメーション『TIGER & BUNNY』の劇場版第2弾である『劇場版TIGER & BUNNY −The Rising−』が2014(平成26)年2月8日に公開されます。開発したのはこれとタイアップした体組成計です。
開発した体組成計は「インナースキャンボイスBC−202−TB」です。劇中の主人公である鏑木・T・虎徹(ワイルドタイガー)を演じる平田広明さんと、バーナビー・ブルックスJr.を演じる森田成一さんによる音声ナビゲーション機能を備えたプレミアムモデルで、両氏の絶妙な掛け合いなど劇中の世界を再現しています。また、本体やボックスも映画に合わせたスペシャル仕様になっています。
2013(平成25)年11月13日からTSUTAYAオンラインショッピング(http://shop.tsutaya.co.jp/goods/tokusyu/tanitataibani/)やTSUTAYAの店頭で販売しています。
『ニュータイプ』というアニメ関連の雑誌でもプロモーションをしています。
おかげさまで、好調な売れゆきを示しています。販売網の整備などには私も少し助力しましたが、若い社員が、お客様のツイッターでのつぶやきから刺激を受けて、自由な発想で開発しました。
ヒーローのスポンサーに
『劇場版TIGER & BUNNY −The Rising−』では、タニタは新たに主人公のバーナビー・ブルックスJr.とコンビを組む新ヒーローであるゴールデンライアンのスポンサーにもなっています。
ヒーローの腕にタニタのロゴマークが表示されます。ぜひ、映画もご覧いただきたいと思います。
社員の活性化にも
弊社のWEB関連の活動の現時点での集大成といえるおもしろい事例です。これは社内でも刺激になっています。こんな感じで自由な発想で仕事をしていいんだ、チャレンジできるんだということで、社員の活性化にもなっています。
電子尿糖計で日本を健康に
−−電子尿糖計にも力を入れていますね。
糖尿病は、国民病
私が社長に就任した当時は、電子尿糖計の認知度は低かったのですが、私はこれはやるべきだと思いました。
糖尿病は、国民病ともいわれる生活習慣病です。厚生労働省が実施した「2011(平成23)年国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる人とその可能性が強く否定できない「予備軍」を合わせると成人の27.1%と推計され、国民の4人に1人が糖尿病かその予備軍であることが明らかになりました。糖尿病の発症は、腎症、網膜症、神経障害などの合併症を引き起こし多くの患者を苦しめています。人工透析が必要になると生活の質を著しく下げてしまいます。
こうした糖尿病患者と予備軍の増加を背景に、2013年4月1日にスタートした政府の国民の健康増進へ向けた基本方針が「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」第2次計画です。
この計画では、2022(平成34)年度までの10年間で糖尿病有病者の増加抑制、糖尿病合併症の減少、糖尿病の発症リスクを高めるメタボリックシンドローム該当者および予備軍の減少などについて具体的な数値目標を掲げています。
血糖値の測定は大変
そのためには血糖値をはからなくてはなりませんが、この血糖値をはかるということがなかなかやっかいです。血糖計(血糖値測定器)を使うか、診療を受診したときにはかるということになりますが、診療時の測定では、診療時と次の診療の間の血糖値はわかりません。また、血糖計は自分で血糖値を測定できるという点ではよいのですが、専用の針を使って指先を刺して血液を出し、採取した血液を測定器のセンサー部分につけて測定します。肉体を傷つけるので苦痛をともないますので、毎日の測定となると大変です。チップと針は使い捨てです。
電子尿糖計なら手軽に
電子尿糖計は、直接血糖値を測定するものではありませんが、血糖値と相関のある尿糖値を測定することで糖尿病予防に役立てることができます。
採血せずにセンサーに直接尿をかけるだけで、血糖値の状態が把握できるのが特徴です。健康診断での空腹時血液採取による血糖値測定ではわからない「食後高血糖」をチェックでき、しかも採血のない無痛測定なので、血糖計に比べ無理なく手軽に毎日の測定をすることが可能です。
健康診断だけでは見つけにくい糖尿病予備軍のスクリーニングが容易にできるほか、糖尿病予防における食事や運動の効果を簡単に確認することで、日常生活のなかで血糖値をコントロールし、生活習慣を改善して糖尿病の発症を未然に防ぐ有効な支援手法の一つとなります。
これまでは普及が難しかった
ところが、電子尿糖計は、これまではどこででも販売できる商品ではありませんでした。自己検査用尿糖計は高度管理医療機器(クラスV)に分類されており、限られたチャンネルでしか販売できませんでした。
普及環境が整った
これが薬事法が改正され、電子尿糖計は新たに管理医療機器(クラスU)になりました。血圧計と同等の扱いができるようになることで、電子尿糖計を広く知っていただけることになりましたし、販売できるところが増え、お客様が手軽に購入・扱える環境が整いました。
この新カテゴリーによる第1弾が、電子尿糖計「UG-120」です。世界糖尿病デーの2013(平成25)年11月14日に発売しました。普及促進のために、3150円(消費税込み)で本器を1週間使用できる「お試しレンタル」も実施しています。
今回発売した「UG-120」は、これまで培ってきた高精度の尿糖測定ノウハウを集積しただけでなく、使いやすさにもこだわり、血圧計と同様により多くのお客様が認知・利用しやすい商品になると期待しています。
医療費削減に役立つ
糖尿病は患者を身体的に苦しめるだけでなく、医療費を押し上げています。糖尿病ネットワーク調べによる「糖尿病の医療費」によると、医療費の年間自己負担額は4.5万円〜13.2万円、総額は15万円〜500万円になるなど、経済的損失も小さくありません。
電子尿糖計による測定は、先ほど述べた、国が推進する「健康日本21(第2次)」の目標達成へ向けた有力な測定ツールにもなり得ると考えています。
厚生労働省は2013年5月16日の経済財政諮問会議で、糖尿病患者の増加を抑制することで、2022年度の医療費が1兆4000億円削減できるという試算を明らかにしました。タニタでは、電子尿糖計を普及させることで、今後、個人のお客様の糖尿病予防に役立つのはもちろん、日本全体の医療費を削減する一助になると考えています。
日本を健康にする
「日本を健康にする」というのがタニタの考えですので、この電子尿糖計をぜひ普及させたいと思っています。 |