日本計量新報 2014年1月26日 (2996号)2-3面掲載
健康総合企業へ
ーータニタは、レシピ本『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房刊)がベストセラーになり、企業としての知名度が上がりました。
レシピ本はベストセラーに
おかげさまでレシピ本は『体脂肪計タニタの社員食堂』『続・体脂肪計タニタの社員食堂』『丸の内タニタ食堂』とシリーズ化され、累計発行部数が532万部となるベストセラーになりました。レシピ本としては異例の発行部数です。
タニタはかつて「シガレットケース」などを製造・販売する金属加工メーカーでした。その後、「健康をはかる」を事業ドメインに据えここまで成長することができました。
事業を固定しない
私も、自分を固定されたルールで縛るのはやめようということで意識改革をし、さまざまな事業活動をしています。
丸の内タニタ食堂
レストラン経営というこれまでまったくやったことがなかったことにも挑戦しています。「丸の内タニタ食堂」を東京の丸の内にオープンしました。また、NTT東日本関東病院のレストラン棟にも2号店となる「NTT東日本関東病院タニタ食堂」を展開しています。
健康計測機器メーカーから健康総合企業へ
タニタは健康計測機器メーカーですが、これを固定化するのではなく、食事・運動・休養の健康サイクルのバランスを保つことが健康づくりの基ですので、例えば「丸の内タニタ食堂」での食事の提供などタニタが健康に関するソリューションを総合的に提供する企業へ発展するチャンスの一つとして位置づけています。
社員が自由な発想で仕事をすることへの刺激にもなります。製造メーカーが飲食業をやるのですから。
これで弊社の企業イメージは一気にアップしました。それまでの健康計測機器メーカーから健康総合企業というイメージが確立したのです。
それにともなって事業の幅も広がりました。これまでおつきあいがなかったさまざまな分野の企業から業務提携の声がかかるようになりました。
シャープのヘルシオがタニタ食堂のレシピ搭載
ャープのヘルシオがタニタ食堂のレシピ搭載
いくつか例をあげます。まずはシャープとの提携です。シャープが、同社の人気オーブンレンジ「ウォーターオーブン HEALSIO(ヘルシオ)」にタニタの社員食堂のメニューを自動メニューとして搭載したのです。
シャープは自社サイトに「Healsio&タニタ食堂」という「ヘルシオ」と「タニタ食堂」のコラボレシピサイトをつくって、タニタ食堂の「500kcalまんぷく定食」レシピを掲載しています(http://healsio.jp/pr/)。
現在、コラボの提案はほとんどが相手企業からいただいていますが、弊社から提案する場合もあります。シャープの場合は、当時の片山幹雄社長に私からプッシュしたものです。
ローソンとの提携
ローソンとの提携は、最初はタニタ社員食堂のレシピコンセプトに基づいた弁当の販売です。当初はナチュラルローソンでの販売でしたが、多くのお客様から「もっと手軽に食べたい!」という要望も多く寄せられ、ローソン店舗でも販売しています。
私はローソンの新浪剛史社長にお目にかかりたいと思っていました。弁当事業のコラボでは、なにも社長に直接お目にかかる必要はないのですが、私は会ってお話したいと思っていました。
たまたま、ある雑誌から就職活動をされている方へのアドバイスを依頼されたのですが、掲載紙を見ると、私と新浪社長のアドバイスが並んで掲載されているではないですか。これはチャンスだと思ってローソンのご担当者に「疑似対談ですね」というようなお話をしたら、お目にかかる機会に恵まれました。
そこで、歩数計などもコンビニで販売したいというお話をしたら、新浪社長も健康ほっとステーションを目指しているとのことで、話がトップダウンですぐに決まりました。
現在、ローソンとは、タニタ食堂のレシピを簡単につくることができる食材セット「丸の内タニタ食堂定食キット」の共同開発や、会員制のヘルスケアエンタテインメントコミュニティ「タニタ健康くらぶ」など、さまざまな提携事業を進めています。
可能性を排除しない
丸の内タニタ食堂で使われているご飯は金芽米です。東洋ライスがこの金芽米を「タニタ食堂の金芽米」として販売しておられますが、象印マホービンは、IH炊飯ジャー「極め炊き」に、栄養価が高いとされる「金芽米」をおいしく炊ける専用メニューを設けた機種を発売されました。これはタニタが接着剤になったコラボです。
丸の内タニタ食堂とサンドイッチハウスのメルヘンがコラボレーションして生まれた「ブランサワーのヘルシーサンド」というのがあります。女性に人気の低カロリーヘルシーサンドですが、この商品も人のつながりのなかから生まれたコラボです。本当においしいサンドイッチです。
このように、いろいろな機会にいろいろな方にお目にかかることができ、その際にいろいろなアドバイスをいただきました。それを無視したり、頭から排除したりしないで、やってみようかということで進めてきたのが、現在の結果につながっていると思います。 |