大和製衡は
これから何をするのか
トラックスケールはじり貧ビジネスだった
−−大和製衡の今後の方針をお聞かせください。
では、大和製衡はこれまで何をしてきて、これから何をやろうとしているのか。
一つは、トラックスケールです。
トラックスケールというのは何を目的とする計量器であったかというと、特に検定品(特定計量器)は、取引および証明用の計量器ですから、既成概念の世界では、物品の売買などのために使う計量器であると理解されておりました。
トラックスケールは、今や、ロードセルと指示計があれば誰でも作れる計量器です。したがって、価格も下がる一方です。じり貧ビジネスの典型でした。
メカの時代にはセイコー、オメガにあるように企業ブランドが厳然と存在していましたが、エレクトロニクス化により、時計や電卓に典型的にみられるように急激に製品価格が下落しました。
エレクトロニクスは職人芸をなくしていき、誰でもつくれるという恐ろしいことなのです。計量メーカーもメカ技術やシステム技術にノウハウを持っていないと、企業生命はダメになっていきます。
トラックスケールは何のために必要か
革新技術の創造が企業を守るので、我々もトラックスケールに新たな視点で取り組んでいます。トラックスケールは取引および証明用という観念がありますが、しかし、積載量のオーバーを防止するために、きわめて有効な計量器です。過積載は、荷崩れやトラックの横転事故を引き起こし、道路を傷め、国民の安心・安全にとって極めて憂慮すべきものです。だからこそ、道交法などで罰則規定も厳しく決められているわけです。過積載防止は、国民の安心・安全の確保のために重要な目的です。
偏荷重と重心高を計量
目的が世の安全を守ることとなれば、過積載防止のためには質量測定以外の計量も求められてきます。大和製衡は積載量測定だけでなく、荷物が運行中に危険であるかどうかの示唆、つまり偏荷重と重心の高さを計量して荷物の安全性を示しています。その結果、この3年間でシェアが数倍に伸びました。「荷物の落下、転倒を防ぐのがトラックスケールの目的である」と視点を変えることで、価格競争のじり貧ビジネスがここまで変わるのです。これも新たな文化を創りあげたと言えます。
目安計量器を作る
実生活では、計量器を使わないで計ることがよくあります。それは目安計量で、人間が感覚的にアナログで測定していたのです。人の目安計量に変わる簡易な計量器として当社は、ジャッキースケールを発案しました。
はかりは載せ台に載せてこそ計ることができるというのも既成概念です。ジャッキを使って3点計れば目安重量も重心位置も計測可能になり、対象物は工作機械、自動車、庭石、コンテナ、重量運搬物等の目安で重量を推定しているあらゆるものに対応できます。これも新しい計量文化です。用途はたくさんあります。
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