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100周年は200周年への100年の計

大和製衡(株) 川西勝三社長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

vol.3

日本計量新報 2015年10月25日 (3078号)2面掲載

大和の歴史とルネッサンス川西機械(2)

すぐれた振動解析技術

特に川西機械製作所時代から培った振動解析技術は、その後、高速自動車道路で使用されている高速通過(時速100km/h)・高精度軸重計の開発に応用されて、現在では全国の高速道路のゲートに設置されています。

航空機用風洞実験技術と高速・高精度軸重計測技術の継承と展開データウェイ「αアドバンス」シリーズ

そして、今やこの航空機用風洞実験技術と高速道路用高速・高精度軸重計測技術が、当社の主力製品である食品用定量計量機器の高速高精度ロードセル処理技術として継承され、世界的に低速計量、低精度計量が常識と認知されている定量計量機器の現状を打破し、相矛盾するといわれる高速計量と高精度計量の両立を確立しようとしています。

エクセレントカンパニーよりエキサイトカンパニー

当社の主力商品である定量計量機器の超高速化、超高精度化という「技術革新」による「ユーザーメリットの革新」が、100周年に向かって「エクセレントカンパニーよりエキサイトカンパニー」としている大和製衡の姿です。また、この200周年に向かっての当社の発展根拠を仕上げることが、経営者としてのわたしの最後の責務と考えています。

温故知新

今、大和製衡は川西機械創業からの約100年の歴史に誇りを持ちながらも、歴史的高度技術の再導入つまり「温故知新」を地でいく風土を確立しようとしているのです。

川西家の家訓

川西家には先祖からの家訓があります。とくに二代目当主川西清司からの家訓は、@「本業以外に手を出すな。その時代の高度技術で本業の中味だけを常に変化させろ」、A「事業は先祖からの授かりものではない。事業は先祖からの預かりものである。常に次の世代にグレードアップして渡せ」ということです。
 わたしは正にこの家訓通りに経営をしてきました。バブル全盛時にも本業以外には手を出さず、健全経営を貫けました。また、当社のほとんどの事業が現在も世に必要な事業として継続していることに経営者として幸せを感じています。

事業家としてエキサイト

わたしは、創業100周年に向かってあと5年、事業家としての人生の総仕上げにエキサイトしています。

経営者としてめざしているものは

わたしが経営者としてめざしているのは、松下幸之助や本田宗一郎のような「常に研究者の心を忘れない経営者」で、また、国際企業の経営者として求められる資質が、金儲けだけではない、技術だけでもない、「常に文化人たる経営者」で、そしてわたしの座右の銘は、「狙った獲物(目標)ははずさない」です。

わたしは72歳!

真のシルバー対策とは、国がシルバーの人達におこなう保護策ではありません。対策に期待し乗っかることは、墓場行きの待合場所に入っていることであり、それは間違いです。真のシルバー対策は自己にあり、死ぬまでが人生であり、生きていることであり、人生の引退はしたくありません。自己努力で死ぬまで生きていること、つまり死ぬまでアップグレードの現役をしたい。シルバー対策のお手本になりたいわたしです。

メカ技術の高度化と事業の継続が大事

ーー昨今の政治や経済状況に関してお考えをうかがえれば。

節目の時期クリーンパッカー

国会で安保法案が可決されました。戦後の日本は、早や終戦から70年を経過し、「世界のなかの日本」として、国際的なポジションの考え方の節目にきているように思います。
 「日本が侵略されたら他国の皆さん命をはって守って下さい。しかし、他国が侵略されたら日本国民は命をはって守れません」という考えは、そろそろ変えなければならない時代ですね。

エレクトロニクス比率の高い事業が窮地に

冒頭にも「技術革新」の話のなかで少し述べましたが、この10年、世界経済を誘導する世界的企業に大きな変化が起きています。
 とくに日本の戦後から世界企業に成り得たパナソニック、ソニー、シャープ、トヨタ等が歴史的国際企業として長らく君臨していました。しかし、自動車産業であるトヨタを始め、工作機械等メカ技術をノウハウとする事業は、今も世界企業として事業展開されているものの、電卓、ゲーム、液晶テレビ等エレクトロニクス比率の高い事業は、世界企業といえどもわずか2〜3年で価格のみが競争力という窮地に陥る状況となっています。

メカ技術の高度化に軸足を

わが計量計測業界においても上記事例を反面教師とし、まずメカ技術の高度化に軸足をおき、その上で電気制御技術の高度化に注力しなければなりません。わが業界の永遠の目的である「単位を守る」ことは、事業の永遠の継続によって初めて実現することができ、経済産業省の今後の日本の工業に関する日本版「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」政策、あらゆる分野のロボット政策は、わたしの考えと同じで、正に前述のとおりです。
  「ガンバレ 宮大工 日本のものづくり!」

国際化の推進と計量制度の充実を

ーー(一社)日本計量機器工業連合会(計工連)の副会長として業界活動にも力を入れておられますね。

マーケットを海外に求める努力をさらに拡大

計量計測業界がメカ技術の高度化に軸足をおくべきこと、「単位を守る」ことは事業の継続によって初めて実現できることと、さきほどお話ししました。
 今後、計工連会員企業内の努力による生産性アップと少子化により、供給過剰が増幅されることは避けられません。この国内過当競争を避けるためにもインターメジャー展示会(intermeasure、インターメジャー2016は来年開催)を中心としての業界国際化は、「業界リストラの回避が狙いであること」を工業会は明確にしなければならないと思います。また、各会員企業も輸出比率を高め、マーケットを海外に求める努力をさらに拡大していきたい。

今後の制度のあり方を検討

日本経済の発展をインフラとして支えてきた計量制度もそのあり方が問われています。計量法は、前回の大改正から20年以上経ち、大きな社会変化の起こるなか、今後の制度のあり方について、計工連はかり部会・田中委員長のもとで非常に有意義な、かつ高度な議論とまとめがなされつつあります。
 この委員会も、国民消費者の立場、行政の立場、計工連の立場、という公正中立的な立場において、今後の国のため、国民のための計量制度の充実に大きく貢献することとなります。

ーーありがとうございました。

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