店舗で商品を販売するごとに商品の販売情報を記録し、集計結果を在庫管理やマーケティング材料として用いるシステムで「販売時点管理」などとも訳されるPOSシステム(ポスシステム、Point Of Sales system)は、企業情報システムあるいは業務システムとして、普及し発展している。 POSシステムは、緻密な在庫・受発注管理ができるようになるほか、複数の店舗の販売動向を比較したり、天候と売り上げを重ね合わせて傾向をつかむなど、他のデータと連携した分析・活用が容易になるというメリットがあり、このため特にフランチャイズチェーンなどでマーケティング材料を収集するシステムとして利用されている。POSシステムと経理システムなどを連携させ、クレジット決済や税額の自動算出なども一元的に管理するなど機能を拡張したシステムもあり、また店舗で販売している商品の情報をあらかじめホストコンピュータに記録しておくと、販売時にバーコード情報を元に商品情報を検索し、レシートに購入商品を正確に記録できるのもPOSシステムの副次的な利点となっている。最近では商品に電子的な棚札を付けて管理する仕組みが普及しており、POSシステムは全体としてコンピュータ(パソコン)が「何時でも何処でも」機能しているというの意味のユビキタス状況を実現する有力な手段になっている。 店舗のコンピュータ管理システムとしてのPOSシステムに比べると一般事務部門や営業管理などで総合的で統一的な仕組みをつくりあげることが遅れている。 マイクロソフトのビル・ゲイツ氏は、社内の全分野への連絡がスムーズに行なえる情報システムとして「デジタル・ナーバス・システム」を『思考スピードの経営』の著書で1999年に示した。ここでは企業内のあらゆる情報へのアクセスがどのような部門からもできるようにする仕組みも提唱されている。ナーバスとは企業情報を人間の神経になぞらえており、事実の力で経営しようとも述べているように企業内情報の完全利用の必要を述べている。 ビル・ゲイツ氏の「デジタル・ナーバス・システム」理論は企業経営の在り方の基本になっており、その実施が中小規模の企業にも必須になっている。「デジタル・ナーバス・システム」理論を感覚的に理解しやすくする場合には、この理論にPOSシステムを重ね合わせて考えるとよい。POSシステムの端末にはハカリなど計量器がセンサーなどとして組み込まれている。またハカリシステムがPOS機能をかなりの部分、はたしている事例もあり、この場合ハカリは単なるセンサーとして機能しているのではない。 アルビン・トフラー氏は現代が情報社会であり情報経済の時代であると説き、2006年6月に著した『富の未来』で「知識経済」概念を提起した。情報社会、情報経済、知識経済とデジタル・ナーバス・システムやPOSシステムといった言葉を並べてみると、さまざまな事象の状態を情報に変換する計量計測機器がここに連結することで社会の仕合わせが実現する。現在もその状況が事実としてあり、この先はさらにこの状況が発展する。