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日本計量新報 2008年12月21日 (2754号)

地方公共団体の節度のない計量行政の放逐は許されない

東北と北海道地域の計量協会の集まりである青森県での08年東北・北海道計量大会で、主催者代表の(社)青森県計量協会会長の西秀記氏は、国民生活と地域住民の福祉向上に貢献する計量活動とそのための計量制度の確かなあり方を強調した。青森地域の地元新聞にその言葉が取り上げられ、同大会の様子と共に報道された。
 計量という行為は、国民の生活という身近な場面でもさまざまに行われており、生活物資は計量制度があってこそ安心感と確かさが実現されている。工業や農漁業、その他の商業などあらゆる産業活動に、計量の行為は巧みに組み込まれている。それは品質管理や計量管理、工程管理とさまざまな呼ばれ方をしている。どれも計量の行為が基本要素をなしている。
 08年東北・北海道計量大会で主催者代表の西秀記氏が計量の夢を語り、それを地元の新聞が取り上げたように、組織の代表が大きな夢を心に抱き夢を語るところから物事が始まり、その夢はどんな形であるにせよ、実現する。計量行為という技術的な要素に関係して、科学や産業や生活の場面での夢を語る、西秀記氏など多くの地方計量協会の会長の心意気に励まされるのは、生活者である国民ばかりではない。計量に関係する事業を営む者、計量制度の実施運営者もまた然りである。
 かつては、経済産業省(旧通産省)や旧計量研究所の人々が、個人と組織を挙げて計量技術の開発や応用と計量制度の運営に大いなる夢を持ち、夢を真剣に語っていた。国が運営する計量のもろもろの事柄が発展して、その関連の経費が増大するほどに国の経済と生活と文化が発展するという法則が明らかであるにもかかわらず、国と地方公共団体は計量制度運営の費用を著しく削減している。
 この国は、見せかけばかりの福祉にお金を費やしたり、振舞い酒のようにお金をばら撒いて組織の存立意義を強調するようなことであってはならない。普遍的で重要な社会基盤である計量制度は、技術発展の過程で一部を修正をすることはあっても、地方公共団体からその運営組織そのものを抹消するようなことは論外である。
 ドイツをはじめとする国々のきちんとした計量制度の運営にこそ国の安定と文化の向上がもたらされる。日本の地方公共団体に見られるような、節度のない哀れで見苦しい計量行政の放逐は、許されない。


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