No.06  八ヶ岳連峰
硫黄岳の大爆裂火口は火山活動の凄さを物語る
ポンペイ遺跡とキラウエア火山が私の火山の大きな思い出
 
 

 写真は硫黄岳(2,760メートル)の爆裂火口。 八ヶ岳連峰は山梨県と長野県にまたがって連なっていて、その主峰は赤岳(2,899メートル)。ここから北に2時間進むと硫黄岳がある。

 硫黄岳は遠くからみるとボールを伏せた形状の山で、そのなだらかさは、切り立った赤岳やそれにつづく横岳のノコギリ尾根とは対照的である。お月さまのように穏やかな硫黄岳に登ると、北側は大爆裂火口でざっくりとえぐられていて、南側にも同じように爆発後の火口となっている。二つの火口にはさまれて上部は丸く大きく広がっているため、霧が晴れて北の大爆裂火口がその姿を現すと、この山の穏やかさと厳しさを目の当たりにして大いに戸惑う。火山活動としては、平地に山が出現した昭和新山が記憶に新しい。富士山の火口もその爆発のすごさを物語る。加賀の白山は火口に水がたまって火山湖を形成している。浅間山は火山活動が止んでいないために溶岩地帯に樹木が生えず、縦に流れた溶岩の筋は雪が積もると縦縞の幾何学模様の造形美をみせるので、写真愛好家の格好の撮影対象となっている。浅間山は2009年2月2日に浅間山が小規模噴火し、関東地方南部でも灰をもたらしている。

 私の火山に関する一番の思い出は、紀元後79年8月24日、イタリアのベスビオ火山の爆発によって古代ローマの都市と人々の生活ぶりをタイムカプセルとして閉じ込めてしまったポンペイ遺跡である。ポンペイの町は、人口1万人以上と推定され整然と区画されていて、劇場や公衆浴場、下水道があり、壁画やモザイク画などもあって、ローマ帝国の市民たちの暮らしぶりを鮮やかに物語っている。奴隷制度を土台にして市民生活は贅沢かつ享楽的であった。私が驚いたのは井戸の石が水を飲む人の手によって削られて凹んでいたことだ。また、別の火山の思い出はハワイ島のキラウエア火山。キラウエア火山は活火山であるが、大抵は爆発的な噴火ではなく溶岩を流出するタイプの噴火を行う。火山の状況によっては、立入禁止となるが、観光を楽しむことができる。ポンペイ遺跡とキラウエア火山を観光した遠い昔のことなので、日本の火山をみることによって昔を思い出す縁(よすが)にしている。