「ちはやぶる神代(かみよ)も聞かず竜田川
から紅(くれなゐ)に水くくるとは」
──神代にもこんな美しさがあったとは聞いたことがない
竜田川で紅色のくくり染め(しぼり染め)をするとは
誰もが耳にしたことがあるこの有名な和歌は、平安時代に六歌仙の在原業平が屏風絵に着想を得て詠んだものです。川に散り敷かれた紅葉を染め物にたとえたことによって、情景を一瞬にして想起させることに成功しています。
また、「秋の夕日に」で始まる童謡「紅葉」では、着物のすそや錦の織物に例えられています。
このように染め物・織物に例えられることの多い日本の紅葉。
紅葉(もみじ)といえば、真っ先にカエデ科の植物を思い浮かべますが、広い意味では紅葉・黄葉する植物全般を指す言葉でもあります。
その「もみじ」の語源にはいくつかあるようですが、
紅花から染料を揉み出すという意味の「もみづ(揉出)」に由来する
とする説があります。
黄や紅に変化する様子が、紅花を揉んで染料を抽出する際の色の変化に似ているところから、木々の葉が色づく様子を示す動詞になったそうです。
語源からして既に染料に関係していたなんて驚きですね。
このように、古来から染料の色や染め物・織物に例えられる日本の紅葉は、世界でも指折りの美しさとされますが、これも寒暖の差のある気候や豊かな落葉樹林といった気候風土のおかげ。
この秋は、紅葉狩りに出かけて、日本の秋──野山を彩る天然の錦を心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょうか。
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