Vol.06 果物界の真っ赤な宝石──いちごア・ラ・カルト


 
 ハウス栽培や品種改良のおかげで一年中出回るようになった「いちご」ですが、今でも春を感じさせる食べ物の代表格なのは変わらないようです。

 皆さんがいちごと聞いて想像する今日の栽培種の元は、北米のバージニアいちごと南米のチリいちごがオランダで交配されたものです。そして、それを江戸時代後期に日本に持ち込んだのもオランダ人。
 だから、いちごの和名も「オランダイチゴ」といいます。

 それ以前に日本でいちごと呼ばれていたのは、野生のキイチゴでした。いちごという名の由来は、一説によると、キイチゴがイクラやすじこに似て
「魚(イお)の血(チ)のある子のご(ゴ)とし」
に見えることからだとか。
 そう言われると確かにそう見えなくもないですが、あまり美しい連想じゃないな、とがっかりされた方もいるのでは?
 でも、かの有名な清少納言は「枕草子」(第42段)で「あてなるもの(上品なもの)」として、このいちごを登場させています。
「いみじううつくしきちごの、いちごなど食ひたる」
 (たいそう可愛い幼子がいちごなどを食べている様子)
とあって、想像するだにほほえましい情景ですね。

 ところで、いちごは果物でしょうか?野菜でしょうか?
 しばしば論議されるこの問題、答えは「分類の仕方によって異なる」です。
 農林水産省では、「一年生草本類から収穫される果実を野菜、永年生作物などの樹木から収穫される果実を果物」と分けています。これによると、いちごは野菜ということになります。生産者側の視点から捉えた分類ですね。
 ところが、文部科学省編纂の日本食品標準成分表や財務省の日本貿易統計などでは「果物」とされています。こちらは、主に消費者側の視点で捉えているのだそうです。
 私たちからしてみれば、いちごはやっぱりフルーツですものね。 



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  いちごな雑学(ひがしゃんのいちごなページ)
  食のQ&A「いちごについて(種類・旬)」(農林水産消費技術センター)
  古典と植物(7)いちご(スズメ♂のnamida & ゴマメのhagishiri)