東京都計量協会は新型コロナウィルス感染症拡大防止対策により、毎年11月の計量強調月間の行事として恒例の「計量記念日の集い」を中止し、「東京都計量協会会長賞表彰式」を開催した。
【日時】2020年(令和2年)11月6日(金)、16時から 【会場】東京都計量検定所2階会議室A
【プログラム】 ①開会 ②会長挨拶
③東京都計量検定所荒木所長あいさつ ④(一社)東京都計量協会会長表彰 ⑤(一社)東京都計量協会特別功労者表彰 ⑥受賞者謝辞 ⑦東京都計量協会計量管理研究部会
計量管理強調月間標語優秀作品表彰 ⑧記念撮影
■東京都計量協会会長表彰
【個人の部】▽高柳庸一郎(メトラー・トレドキャリブレーションセンター長)▽相田幸夫(横浜市消費者協会計量士)▽児玉正人(タニタLS事業部長)▽増山隆一(東京都計量協会計量士)
【特別功労者の部】▽大森健次(共栄衡器会長)
東京都計量協会計量管理研究部会は、検定所管理指導課との協力のもと、適正計量管理主任者養成講習会(流通関係)の開催を予定している。(但し、新型コロナウィルス感染症防止対策の状況によっては三密回避のため開催を中止とする。)
【日時】2021年(令和3年)2月5日(金)、9時30分~16時30分
【会場】東京都計量検定所2階(会議室A、B) 【募集人員】10名以下
【内容】(1)講義(計量法のあらましと適正計量管理事業所制度について)(2)筆記試験(講義内容について)(3)年末期商品量目立入検査結果および食品表示について(4)実習(商品量目の検査方法について)(5)筆記試験の解説および講評(筆記試験合格者へ東京都計量検定所より認定書授与)
【申し込み・問い合わせ先】東京都計量協会(竹添)=電話03―6666―8960、電子メールm-takezoe@tokeikyo.or.jp
東京都計量検定所では、東京計量士会、東京都計量協会、計量器コンサルタント協会、日本硝子計量器工業協同組合と協定を結び、計量関係の学習支援をする事を目的とした「出前計量教室」(小学4年生から6年生対象)を実施している。
今年度は、新型コロナウイルス感染防止対応で、12月末までは開催を自粛し、年明け1月以降の再開を目指して、関係部署と調整をおこなっている。
再開に際しては、3密防止を考慮して実施内容の見直しを図る予定。あわせて、教室を実施する小学校の指導に従い、参加人員の制限、ソーシャルディスタンスの確保、マスクやフェースガード装着の徹底、機材等のアルコール消毒など万全の対策を講じて実施する。
来年度以降もこの状況は引き続き継続すると考えられるので、安全にこの事業が実施できるよう、実施内容の見直しや安全確保のための対策を検討し、必要な機材等の準備等をおこなっていく。
東京都計量検定所では消費者への計量制度の普及啓発を図るため、都内の区市町村等の自治体が実施する消費生活展などのイベントに出展している。 今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、各地の消費生活展などのイベントが中止若しくは規模を縮小しての開催。11月末までに、羽村の1市と葛飾、中央の2区の消費生活展にパネル展示のみの出展形態で参加。 昨年までは、来場者が手の感覚だけで100グラム分の豆を量る計量感覚ゲームを実施するなど体験型の展示を主に実施してきたが、3密防止の観点から見直しが必要なため、来年度に向けて実施内容の見直しを検討中。
例年11月1日の計量記念日に、都内の計量関係団体、企業および計量検定所で組織する実行委員会主催の「都民計量のひろば」を新宿駅西口広場で開催してきたが、今年度は第275号で既報のとおり新型コロナウイルス感染拡大防止のため、計量展示室の特別展示と共に開催を自粛し、11月1日から30日まで特別ページ「web版都民計量のひろば2020」をweb上に開設し実施した。
都民に楽しみながら計量制度を身近に感じてもらうという記念日イベントのコンセプトを守り、「くらしと計量」をメインテーマに「コロナに負けるな!くらしを守る正しい計量」をサブテーマとして、①メインページ、②健康と計量のコーナー、③ライフラインと計量のコーナー、④環境と計量のコーナー、⑤食品と計量のコーナー、⑥計量資料展示のコーナー、⑦計量マジックのコーナー、⑧くらしの中の計量コーナー、⑨計量クイズのコーナーを設けた。
■健康と計量コーナー
▽家庭用計量器の正しい使い方▽体重計の不思議▽パンダの身体測定▽体温計と血圧計▽電子体温計の正しい使い方は?▽血圧計の正しい使い方は?
■ライフラインと計量のコーナー ▽水道・ガス・電気メーターの検定の有効期間▽子メーターについて▽水道と計量▽ガスと計量▽電気と計量:電気メーターの検定制度水道
■環境と計量コーナー ▽計量証明と計量証明事業者制度▽環境と計量について▽地球温暖化防止(脱炭素社会に向けて)
■食品と計量コーナー
▽栄養成分表示の測定▽自動はかりの紹介▽お米の検査
■計量資料展示のコーナー ▽1メートルのはじまり▽1キログラムのはじまり▽東京都の計量行政の歴史
■計量マジックのコーナー ▽2020年度(令和2年度)計量記念日の「計量マジック」紹介
■くらしの中の計量のコーナー
▽日本最初のガラス製寒暖計の製作▽ビールびんも計量器って本当?▽容量線入り(目盛付き正量)グラスの紹介▽適正計量管理事業所の紹介▽船積み荷物の計量
■計量クイズのコーナー ▽飛行機のオウム▽崖からの落石▽膨張する50円玉▽地底探検
この特別ページのPDF版は、東京都計量協会のホームページ(http://www.tokeikyo.or.jp/topics/1063/)からしばらくの期間ダウンロード可能。
また、東京都計量検定所ホームページ(https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/keiryo/policy/)では、2020年度(令和2年度)計量記念日(11月1日)特別版「探検!計量の世界」がダウンロードできる。
来年度の都民計量のひろば開催は、新型コロナウイルスの感染状況により判断することになるが、開催に向けて安全対策などの準備を進めていく予定。
【主催】都民計量のひろば実行委員会
【構成団体】イシダ、計量器コンサルタント協会、タニタ、寺岡精工、東京科学機器協会、東京都環境計量協議会、東京計量士会、東京都計量証明事業協会、東京都水道局、日本海事検定協会、日本ガスメーター工業会関東支部、日本硝子計量器工業協同組合、日本計量振興協会、日本穀物検定協会関東支部、日本電気計器検定所、松屋、東京都計量協会、東京都計量検定所(以上18団体)
■「Web都民計量のひろば2020」(くらしと計量)―コロナに負けるな!くらしを守る正しい計量― 毎年、新宿駅西口広場イベントコーナーで開催していた、「都民計量のひろば」については、今年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、特製Web上での開催になった。 当東京計量士会では、7つのコーナーのうち、「環境と計量のコーナー」の「地球温暖化防止(脱炭素社会に向けて)」と、「くらしの中の計量のコーナー」の「容量線入り(目盛付正量)グラスの紹介」について担当した。 「地球温暖化防止(脱炭素社会に向けて)」では、地球温暖化の元凶と言われている二酸化炭素濃度が、200年前の2倍以上にもなっており、自然環境等に多大な影響をおよぼしている現状や対策等についての理解を深めてもらうため、次の2団体とリンクし、情報提供に努めた。 *全国地球温暖化防止活動推進センター *地中熱利用促進協会 「容量線入り(目盛付正量)グラスについては、ヨーロッパ等において、ビールやワインを注文すると、その際に使用される「容器線入りグラス」について紹介した。 ドイツの計量法では、「面前計量販売容器(計量線入り)計量グラス」が定義されており、罰則規定もあるそうだ。 わが国でも、「関東甲信越地区計量関係協議会」で「容量線入りグラス推進委員会」が結成され、当東京計量士会においても、制度化に向けて活動し普及啓発に努めている。
日本硝子計量器工業協同組合 ▽10月7日(水)=水俣条約専門家会合に出席 ▽10月14日(水)=理事会開催。水俣条約(水銀規制)計量器関連専門家会合の報告、月次会計報告 ▽10月23日(金)=計量機器事業振興功労者表彰式。組合員横田賢亮氏(横田計器製作所)が計量機器事業振興功労者の表彰を受けた ▽11月9日(月)=経済産業省を訪問 ▽11月27日(金)=理事会開催。10月理事会の議事録確認、月次会計報告、経産省の産業機械課を訪問の件、水銀廃棄の件、その他
『先端技術の認証』―その2:生活支援ロボット 前回から、新しい技術が市場で認知され、安心して広く使われるために認証を利用する例を紹介している。
今回は生活支援ロボットを取りあげる。生活支援ロボットは介護、福祉、流通をはじめとした様々な局面において人の日常生活を支援するロボットである。
産業用ロボットの場合と異なり生活支援ロボットでは人とロボットは空間的に分離されていないため、安全への配慮が重要になる。
最近では腰に装着して、重い荷物を持ち上げる肉体作業を補助してくれるロボットがテレビで放映されている。少子高齢化による労働人口の減少、要介護人口の増加による介護従事者の不足、昨今のコロナ禍における流通業界における人手不足、あるいは腰痛による離職など、ロボットの活用が社会的な課題の解決につながりそうではあるが、実際にそのような製品を導入・選択する立場となれば、簡単には安全に関するリスクは取れず導入をためらうに違いない。
また、たとえば農業などで労災に対して保険を掛ける立場、あるいは介護の分野なら介護報酬へ組み込む仕組みの検討をする立場等からすれば、その安全性や性能が信頼できるロボット製品を対象にしたルール作りをおこないたいであろう。
特に実際の使用者にとり最優先となる安全性の評価が、製品の供給者自身により供給者独自の基準でおこなわれるのでは、安心して使うことは難しい。信頼できる基準に基づき第三者が評価して、その結果を公表してくれれば使用者は安心することができる。
また、人手不足が深刻な日本国内でコンセンサスを得て生活支援ロボットの導入をすすめ、その実績に基づいて国際マーケットに展開するという展望も描けるだろう。その場合、図1のようにいち早く安全要求事項や評価・試験方法の標準化を国際的な舞台でおこない、安全や品質・性能の保証を認証により行い国内実績を積み国際展開を加速するというシナリオを描くことができる。
この問題意識から、日本が主導した生活支援ロボットの安全要求事項の標準化ISO(国際標準化機構)において進められ、2014年にISO 13482「ロボット及びロボティックデバイス―生活支援ロボットの安全要求事項」が発行された。この規格では生活支援ロボット,特に移動作業型ロボット、身体アシストロボット及び搭乗型ロボットの三つのタイプの生活支援ロボットの安全の要求事項について定めている。この国際規格はJIS B8445として2016年にJIS化された。
国際規格の発行は今の所ここまでであるが、その後は図2にあるように標準化を日本産業規格JISに移して、三種のロボットそれぞれのタイプに対して特有な安全要求事項等を付け加えたり、該当しないものを省いた、JIS B8446―1~8446―3の3本のJISが制定された。特に、図2にあるようにJIS B8446―2「生活支援ロボットの安全要求事項―第2部:低出力装着型身体アシストロボット」に対しては、もっと踏み込んだ規格であるJIS B8456―1:2017「生活支援ロボット―第1部:腰補助用装着型身体アシストロボット」が策定された。その規格では対象をより絞り、要求事項である JIS B8446―2を引用しつつ、追加の安全要求事項を規定するに加え、ロボットの構造に対して規格で取り上げ、形状、構造、質量、最大突出半径を規定し、性能要求として最大アシスト力およびその指標、腰部圧縮力低減指標を与えただけでなく、試験方法、表示方法を規定した。この規格ではJIS B8446―2を引用しており、適合する前提として,JIS B8446―2に規定するリスクアセスメントの実施が必須となっている。
この腰補助用装着型身体アシストロボットは、重労働の身体への負担を大きく軽減することが期待され、介護、建築、物流、農作業分野での使用が想定されている。もし指標あるいはその試験方法が規定されていなければメーカー独自のカタログスペックが独り歩きすることになりかねないが、このJIS B8456―1によりカタログに記載された指標等を信頼することができる。このJISの策定にあたっては、経済産業省の「新市場創造型標準化制度」が利用され、速やかな標準化が可能となった。また、JIS法が産業標準化法に改正になったことに伴いサービスがJISの対象となったが、JIS Y1001「サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項」という規格がその第一号として制定されている。 これらの標準化により認証基準に公的規格が活用されることが可能となり、利用者は製品選択が容易になりうる。さらに、国際的にいち早く製品化し実績を積むことによって、諸外国における市場の創出・拡大が容易になることが期待される。これが日本が主導して国際標準化を目指すメリットである。 国内での最初の生活支援ロボット認証はISO13482の成立とほぼ同時期に一般財団法人日本品質保証機構(以下JQA)によりおこなわれており、現在まで同規格の認証をJQAから受けた製品は、physical assistant robot(人間装着型)9件、mobile servant robot(移動作業型)6件、robotic device(ロボティックデバイス)1件の計16件に上る。第三者であるJQAが認証することにより、生活支援ロボットが国際規格による安全要求を満足していることが客観的に証明され、利用者などに対する安心と信頼性を高めることができる。 この最初の認証にあたっては、JQAは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「生活支援ロボット実用化プロジェクト」に参加し、生活支援ロボットを「いかにして認証するか」の検討を標準化と並行して進め、また必要な試験方法の確立(衝突試験、安定性試験等)に参加したと聞いている。 いかに標準化をおこなうかという立場からすれば、生活支援ロボットにはさまざまな種類があるため、どの種類のロボットに対しても適用できるようにするため、規格には具体的な数値で表された基準は入れづらく、機能や仕様の要求も困難である。一方、その規格を実際の製品に当てはめる立場では、生活支援ロボットの用途、目的、使用環境によりどの程度のリスクを許容できるかを個々に決定しなければならず、“リスクアセスメントにどのように取り組むか”というプロセスそのものが課題となる。 このプロセスをさきがけとしておこなうことにより、情報の蓄積が行われ先行者としてのメリットが享受できることになる。ここで、そのプロセスまで踏み込んで標準化すれば参入障壁は下がり、マーケットの速やかな拡大が期待できるが、その一方で先行者としてのメリットが維持できる保証はない。 これが標準化の光と影とも言え、新しい技術のマーケットの拡大に日本が標準化を含めて努力して成功したとしても、長い目で見ると技術的キャッチアップを受け市場のシェアを失うことも日本が今まで各分野で経験したことである。標準化の内容をどこにとどめるかの判断が極めて重要である。 ロボットの導入は技術的な問題に加えて、規制ルールの見直しも必要となりうる。介護の分野での介護保険対象機器の手続き、搭乗型移動支援ロボットに対する道路交通法などはその一例であり、そう簡単ではないことが想定される。
しかし、少子化による労働人口の減少やコロナにより起こった社会的な課題をピンチとすれば、チャンスに変えることができなければならない。ロボット認証がその実現に寄与することを願わないわけにはいかない。本稿についてはJQAの浅田純男氏に貴重なコメントをいただいた。お礼申し上げる。 次回はファインバブルに関する認証について述べることにする。