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2014現場の計測管理座談会

現場の計測管理の現状と課題 「これからの計測管理の進め方」

    
座談会出席者(敬称略・五十音順)
阿久津 光 三菱重工業(株) 誘導・エンジン品質保証部
阿知波 正之 (司会)阿知波計量士事務所 計量士
石川 昌人 三菱重工業(株) 航空機・宇宙品質保証部
伊藤 佳宏 伊藤計量士事務所 計量士
植手 稔 電気機器製造会社 計量士
小屋松 隆一 (株)UACJ 品質保証部試験課
中野 廣幸 中野計量士事務所 計量士
廣瀬 幸造 (一財)日本穀物検定協会 計量士
本庄 健一 名菱テクニカ(株) 計量士
松山 辰夫 松山計量士事務所 計量士
    
目次
1.校正担当者の人材育成はどうしているか 2.測定担当者の人材育成 3.異常の発見と人材育成
4.ISO10012規格の「計量確認」をどうすすめるか 5.計測管理の成果の見える化 6.ISO10012規格の導入の進め方
7.測定の不確かさの展開 8.まとめ  
                                       
校正担当者の人材育成はどうしているか
阿知波正之(司会) 現場の計測管理の座談会は今回で6回を数え、企業で計測管理に関わる皆さんから、計測管理の現状の課題とこれからの進め方を率直に語っていただきたいと思います。
 昨年の座談会では、人材の育成と計測管理の「見える化」を中心に討論を進めていただきました。今回はそれをさらに深め、人材育成・ISO10012の適用およびそれに関わる不確かさの適用など、具体的内容について発言をしていただければと思います。
 最初は、計測管理に関わる人材育成です。具体的には計測器の校正・検査作業をする校正担当者、その作業のマニュアルの作成を担当するスタッフとか技術者、さらには現場の測定をする担当者の育成などがあります。初めに、計測器の校正に関わる人材育成について発言をお願いします。

資格取得を奨励

阿久津光 先日、デンソーエムテック社と校正業務について交流しました。同社では校正担当者のなかに、国家技能検定機械検査特級の資格取得者が14名いて、人材育成として校正業務に従事した段階から機械検査の技能検定の2級、1級、特級と取得するよう指導していると聞き、感銘を受けました。
 電気計測器、圧力計とか、機械検査と直接関係ない担当者もいるが、物を正確に測るという基本的なことであるので、資格取得を奨励しているとの話でした。
 当社では資格取得を奨励しているものの、デンソーエムテック社ほどの活動をしていない感があります。校正の実務と1対1でマッチするものではなく、人を育てる考えでは少し回り道になるかも知れませんが、基本を押さえる意味でそのような教育のしかたもあり、取り入れていきたいと思います。
 計測器もどんどん進化して、直接的に測れるものが多くなってきて、基本的なことがおざなりになってきています。まずは、その基本的なことを押さえることが必要だと感じています。
阿知波正之(司会) 具体的な活動はありますか。
阿久津光 機械検査の担当者に加え、機械系の担当者に範囲を広げてみようと思います。電気系担当者に対しても、少し回り道でも適当な資格制度がないか模索し、目標を決めて勉強ができるようにしていきたいと考えています。

計測器の校正マニュアルを教本に

伊藤佳宏 新しい計測器が導入されると、校正担当者はその計測器の校正マニュアルをつくる必要があり、そのためには計測器の勉強をします。それを伝承するために、そのマニュアルを教本として指導しています。
石川昌人 具体的には、計測について指導と機械系の検査員に対しては機械検査の技能検定の取得を奨励していますが、任意であり必須とはなっていません。

技能検定を導入した経験がある

阿知波正之(司会) ISO17025の要求事項に要員の校正担当者の教育訓練があり、そのためできるだけ分かりやすい制度をつくろうとして、校正担当者にあてはまる制度がありませんでしたが、機械検査なら、機械的な測定なら近いため、2級、1級とレベルアップ導入を決めた経緯があります。また管理の面から計量士の取得を決めたことがあります。
小屋松隆一 その2級、1級、特級の区分はどこにあるのですか。
植手稔 それは国家技能検定の機械検査の制度ですね。
阿知波正之(司会) 技能検定には、現在、特級、1級、2級、3級に区分するもの、単一等級として等級を区分しないものがあり、受検資格として2級、1級、特級には経験年数が必要です。機械検査の場合、長さ測定の技能が要求されます。校正担当者に完全に適合するものではありませんが、機械検査は長さ測定の技能が要求されます。
廣瀬幸造 現在関わる事業所では長さ関係の測定はないが、日高計量士主催のワークショップに参加した限りでも、その実習で測定者の技量によりばらつきがでます。製造業においてはマニュアルにしたがってきちんとやっていると思っていましたが、そうではないのかと思いました。

自己啓発面から資格取得を推奨

本庄健一 私は46年の企業経験のうち39年間はものづくりの現場に関わり、その後6年間は計測器の校正業務に関わった経験から、ものづくりの現場では人材育成の手段として技能検定の取得を奨励していました。しかし、校正部門に移ったとき、それにふさわしい資格がありません。唯一あるとすれば計量士となりますが、一般の校正担当者には難しい資格です。
 従来、校正担当者に対しては校正する計測器の分野ごとに社内の認定制度が設けてあり評価していました。具体的には、校正の経験時間とサンプル品の校正結果を先輩の結果と比較して評価し、認定された者のみがその業務を担当していました。その資格は社外には通用しませんが、認定リストを職場に掲示して自分の仕事の範囲を広げる意識づけに活用しています。職場として機械検査の技能検定の資格を取っても仕事が増えるわけではありませんが、資格取得は自己啓発面から推奨しています。

社内で計測検定試験

植手稔 私の勤めている会社は、校正担当者の要件として社内での計測検定試験に合格する必要があります。長さ計・電気計・質量計・温度計の4種類で、それぞれ2級と1級があり、たとえば、長さ計の2級はノギス、ハイトゲージ、マイクロメータ、ダイヤルゲージで、1級になると三次元測定機、真円度測定機、投影機などがあります。
 また電気では指示計器、マルチメータ、オシロスコープ、低周波発振器などがありますが、実際の校正現場ではこれらの検定試験科目で勉強する計測器よりはるかに多くの種類の計測器の校正が必要です。
■レベルの差が大きい
 基本的な計測器校正資格制度としては整っていますが、個別のその他の多くの計測器については経験ある先輩からの指導により、マニュアルを整備し対応しているのが現状です。
 また、計測器を使用する製造現場で製品とか部品の検査(測定)担当者認定はその現場責任者が認定することになっており、現場責任者の力量の差を含め、ベテラン社員から請負社員までレベルの差が大きいと感じています。
■海外工場の測定が課題
 ただし、国内工場はまだましなほうで、海外工場の現場では驚くような検査(測定)をしていることを経験したこともあり、ものづくりの大半を海外に委ねている企業では、むしろそちらのほうが課題だと思います。

測定担当者の人材育成

阿知波正之(司会) 範囲を広げて測定に関わる測定者についての人材育成について述べて下さい。

現場の測定者の指導が不十分

伊藤佳宏 校正担当者ではないが計測器を使う現場の測定者の指導が不十分ではないでしょうか。製品の検査のための測定、物をつくるための製造における測定、設計のための試験とか開発、特にこのための計測は重要で、場合によっては新しい計測器を開発することもしなければならないこともあり、そのための計測技術の教育、人材育成が重要です。しかし、それが計測技術に特化しておこなわれているか不明です。その必要性は感じていますが、具体的活動は不明です。

適正計量管理主任者の活用を

石川昌人 計測器を使う側の教育の必要性を感じ、またその進め方に悩んでいます。たとえば、校正の期限切れをゼロにしたいが、達成できていません。どうすればなくすことができるか、管理の関係者と意見交換していますが、計測器を使用している人に理解してもらう以外になく、具体的な案としては、現場の適正計量管理主任者の活用を考えています。

測定基礎研修に期待

小屋松隆一 先日、(一社)日本計量振興協会の実施している測定基礎研修について、これからレベルアップが検討されているとのことを聞きました。非常によいことなのでうまく利用できないかと思っています。
 長さの測定は質量の測定と違って、何をもって正しいとするかが難しいのです。TS16949(自動車産業向けの品質マネジメントシステムの技術仕様)に関連するMSA(測定における誤差〔バラツキ〕を定量的に評価する方法)で評価しても、同一物を繰り返し測定したときの測定ばらつきは評価できますが、計測器だけで評価しようとすると、同じ値とならない。何をもって真値とするか難しいです。そのようなセミナーを開いてもらうと、標準がはっきりしてくるので、そこに合わせた形で社内的に取り組むことができるのではないかと期待しています。

大企業でも評価制度はないのか

廣瀬幸造 (一社)日本計量振興協会の中小企業を対象にした測定基礎研修においても初級、中級、上級とレベルアップしてほしいとの要求があり、大手企業ではそのような測定者の評価制度ができているのかと思っていましたが、できていないのですか。

工程の認定制度で評価

伊藤佳宏 測定の単独の認定制度ではなく。製造工程の特定工程認定制度のなかで、測定も評価されています。
 たとえば、工程で品質を作り込む熱処理だとか表面処理のように温度とか、時間とか、人も含まれる工程の場合、工程全体の認定のなかに計測がずいぶん入っていて、温度管理の場合、使う熱電対のトレーサビリティから始まり、硬さの測定まで、そこで測定する人は教育を受けて認定されています。測定単独ではないが製造工程に含まれており、それでよいかと思います。
植手稔 特殊工程以外の工程検査における認定はどうしていますか?
伊藤佳宏 工程検査の認定制度もあります。作業長がOJTの結果により、認定しています。

制度の運用が難しい

阿知波正之(司会) 制度はあるが、その運用が難しいです。レベルを高くすると人材が確保できなくなります。
植手稔 人材が流動化して、検査員が日替わりで変わることもあり、本当に測定技能が身についているのか疑問が生じることがあります。

製造製品によりレベル要求も異なる

本庄健一 それはつくるものによります。航空機とか宇宙機器とか高度な製品と比べ電気機器の場合、対象範囲が広く、原子力関係のような厳しい条件の物からあまり厳しく管理する必要のない量産製品があり、つくっている製品の重要度により、関わる人材に対する要求も違います。使う計測器のレベルがあって測れればよいという程度の測定者でもよいこともあります。

異常の発見と人材育成

阿知波正之(司会) 測定の目的に対する、制度が異なる問題ではなく、必要とする人材の育成に関する現実の問題はどうですか。

異常が見つけられないことが問題

松山辰夫 検査員を認定する場合、マニュアルにしたがって検査作業をやらせてみて、「できれば合格」として認定するケースが見受けられます。ところが、その検査員は、作業を修得したが、何かトラブルがあったり、おかしいことを見つける能力を備えていません。そこが問題ではないでしょうか。
 測定していても異常が見つけられないのです。異常が見つけられなければ本当の測定者ではないと思います。マニュアルどおりに作業をすることはできるが、マニュアルをつくることができないし、マニュアルと違うイレギュラーの検知ができないことが問題だと思います。

すべてにマニュアルがあるわけではない

阿知波正之(司会) 昨今、工場の爆発、火災など社会的に大きな事故が起きており、そのようなときに「マニュアルがない」との報道を目にしますが、そのような滅多に起きない、異常事態に対して、そこまでマニュアルが整備されているとは思えません。
松山辰夫 それは基本的な知識ではなくて、決められたことを淡々とやるということで、認定作業が終っているからだと思います。

長い経験で身につくことは認定ではわからない

中野廣幸 検査で認定とは全く逆の経験をしたことがあります。以前勤務していた会社で、新製品の量産試作のときに、女性検査員がこれはおかしいという製品を僕が見てもおかしくなかったのです。検査員が「これはおかしいので開けてみて」というので分解してみたら、そのドアの蝶番が外れていました。これは認定制度とは別の長い経験から身につくもので、それは気の長いことだが、人材育成で重要なことです。いろいろな制度を導入してみるのですが、検査をすると検査員を測る物差しがないのです。

経験で身につく技能・感覚を、どのように伝承していくか

松山辰夫 おっしゃるとおりです。トラブルシューティングで、現場へいき、その現場で長く作業しているパートさんに何か変わったことがないかと聞くと、「これが少し前からおかしい」と教えられ、問題を解決した経験が何度もあります。机上で、データ解析しても原因がわからなかったことが、現場の作業者の経験によって解決できました。経験豊かな人が持っている技能・感覚を、教育でどのように伝承していくかが課題だと思います。

マニュアル化で異常事態を見逃すことも

阿知波正之(司会) マニュアル化が進んで、異常事態を見逃すことが起きているのでは。また、国際化が進み、海外ではそのような経験に基づく異常発見は期待できないのではないのではないでしょうか。計測器の校正においても異常を見逃すことはありませんか。

内容を理解する必要が

阿久津光 異常の見逃しではありませんが、マニュアルどおりの作業ができても、標準器をレベルアップしたとき、それを理解して十分使いこなせていないことがあります。そのようなことが起きないように技術者も、もっとしっかりしなければなりません。新しい計測器が増加してきて、その使い方とか機能を校正担当者が理解するのは難しくなってきています。技術者はその計測器の特徴とどのように測るのかを理解することが望まれます。それは生産技術者についても同じことが言え、工程の生産技術者がどのようにその計測器を使いどのように測ればよいかもっと理解する必要があると思います。
阿知波正之(司会) 新しい計測器についての校正技術はメーカー頼りなのですか。

デジタルはマニュアル頼り

小屋松隆一 新しい計測器は、アナログがデジタル化されているものが多いです。デジタルは2進数だが、アナログは色々なパターンがあって、経験しながら作業者が力量を上げていくことができます。その結果、デジタルはマニュアルに頼ることになって異常に気付かないのではないですか。
廣瀬幸造 はかりの場合は、メーカーが計量士に対しても情報を伝えなくなっています。

原理が理解できていない

中野廣幸 昔の計測器は見ればその原理が理解できたが今の計測器は手順だけ示されていて、たとえばバイアスがあればその値をインプットせよと指示されているだけで、なぜそうするのかがわかりません。計測の原理、しくみを理解していれば理解できるのだけれどもそれを省いてしまっています。
 昔は自分で検量線を引いて、補正したので、その原理が理解できました。今の計測器のようにそのバイアス分だけ入力すれば、作業は早いですが、一つ間違うと全部間違ってしまう危険があります。
阿知波正之(司会) 私が電気計測器の校正を担当していたとき、外資系の計測器には校正手順が詳しく書かれたサービスマニュアルが添付されていましたが、国内メーカーはサービスマニュアルを要求しても出しませんでした。現状でもそうですか。
阿久津光 現状でもその傾向は変わっていません。

校正作業者が自ら作成したマニュアルが受け継がれる

伊藤佳宏 私の所属する会社では、昔は校正部門に技術者が配分されていて、校正マニュアルを作成し、校正作業者に渡していましたが、しだいに製品製造部門に重点がおかれ校正部門に技術者はいなくなりました。そのため、校正作業者のうち熟練経験者がマニュアルを作成することになりました。
 そこで校正作業者が計測器メーカーと直接技術的な折衝を担当することになり、マニュアルも作成し、力がついてきました。したがって、そのマニュアルによって先輩から後輩へと伝承されています。

伝わるしくみになっているか

中野廣幸 それはすばらしいことですが、それを組織として評価して、そのしくみを経営資源の一つとして意識し確立していれば伝承されると思いますが、その個人が優秀だからできたとなると、伝わらないことになります。
伊藤佳宏 そのような、職場環境を醸成することによって校正担当者の力がついてくることもあります。

ISO10012規格の「計量確認」をどうすすめるか

阿知波正之(司会) 話題を進めて、ISO10012の適用について、要求事項のなかで、従来の計測管理では対応が難しい「計量確認」(測定機器がその意図した用途の要求事項に適合していることを確認するために必要な一連の操作〔校正と計量検証〕)はどのように進めたらよいのでしょうか。

計測器の使用者が主体で

伊藤佳宏 私は製品の検査、製造、品質保証、設計などで、計測器を使っている人が主体となってするのがよいと考えています。

校正のタイミングでやるのがよい

植手稔 私は計量確認は校正のタイミングでおこなうのがよいと思います。
伊藤佳宏 新製品を作って、初品確認の段階で、使った計測器が製品の保証に使えるか確認します。
植手稔 初品はよいとしても、校正のサイクルが始まるので、校正のタイミングでするのがよいと考えます。

校正と検証は別

伊藤佳宏 ISO10012規格の要求事項としては、校正と検証は別であり、たとえば社外校正されたものを自社製品の測定に使えるか検証することを要求しており、この規格の特徴であると考えます。

校正部門と使用部門が一緒に

植手稔 それをいつのタイミングでやるかとなると、最初は初品の段階とし、その後は校正の都度するのがよいのではないでしょうか。それをだれがやるかとなると校正部門と使用部門が一緒にやらないと難しいです。

社外校正の場合など難しい

伊藤佳宏 校正のタイミングと検証のタイミングを一緒にする要求はないので、校正の都度おこなう必要はありません。しかし、社外校正をした場合とか、校正を分社化した場合とかは、いつ、だれがやるかを決めるのかは現実には難しいですね。

校正のタイミングで計量確認

中野廣幸 校正の結果により器差や不確かさが明確になります。その器差や不確かさが大きくなった場合、その測定には使えないが別の測定には使えることもあるので校正のタイミングで計量確認をすることになります。
植手稔 校正の結果により、その計測器のスペックに適合しているか判定するときと、外れていても使える場合もあり、必要な処置をして使っている場合もあり、それが計量確認となるのではないですか。
 ISO10012規格を実際に運用していこうと思うと、計量確認は校正のタイミングでおこなうのが合理的です。

だれがやるか、明確にしなくては

伊藤佳宏 校正部門か使用部門かそれをだれがやるか、組織として明確にしなければなりません。規格はこれを要求しているが、具体的にどのようにするかは示していません。

計測管理部門が妥当ではないか

阿久津光 それを使用部門でおこなうのは難しいですね。確認の記録を残す必要があり、使用部門で個々の記録を残すのは、特に大きな組織となるとその取りまとめが非常に困難となるため、計測管理部門が対応するのが妥当ではないかと考えています。

小さな組織では配置困難

松山辰夫 組織が小さいと技術者も少なく、校正技術者とは別に計測管理技術者を配置するのは、難しいです。
植手稔 計測設計の段階でその計測器が使えるかどうかの計量確認されるが、そのときだけでよいですか。
松山辰夫 計測設計の段階で計測器の合格基準で計量確認されていれば、校正の段階で合格基準をクリアしていれば、再度、計量確認をする必要はありません。

用途確認が必要

阿久津光 その工程で使われていることが担保されていればよいが、その用途で使われていることの確認が必要ではないですか。

計測設計と定期校正の両方で推進するのがよい

植手稔 ISO10012の導入拡大を図っていくうえで、計量確認は計測器の導入段階での計測設計と、導入後の定期校正の結果検証の両方で推進するのがよいと思います。組織として計測管理部門と使用部門が協議して進める必要があります。

校正業務の分社化ではISO10012の導入が必要

阿知波正之(司会) 計測器の校正業務を分社化するとき、この計量確認の能力が低下するのではないかと悩みました。計測器の使い方の監査ができなくなるからです。その点からもISO10012の導入が必要だと思います。
伊藤佳宏 分社化すると経営上校正業務が重点となって、校正業務コストに重点がおかれ計量管理が手薄となることから、本体に戻した企業も数社あります。

計測管理技術者の人材育成が必要

植手稔 少し人材育成の話に戻りますが、校正担当者または校正技術者とは別に計測管理技術者の人材育成が必要で、校正結果を見て、スペックに適合しているかどうかの判定だけでは不十分で、市場での品質不具合の要因に計測の問題が隠れていないか推測する力をつけないといけません。社内での要因分析の結果、設計が悪い、しくみが悪いという結果に落ち着くことが多いですが、実は計測の問題が隠れていると私たちはそれとなく気付いて感じているのではないですか。

計測担当者が製品知識得るのは難しい

伊藤佳宏 計測管理部門は計測器の知識があっても、製品を測る知識が不十分で、測る物の品質をどのように保証しているかの知識が必要です。
 ただ、それをやるのはだれかということが難しいですね。計測の担当者が広く製品の知識を得るのは難しいです。

計量確認のコミュニケーションが必要

植手稔 それはそのとおりで、校正結果を使用部門に示し、計量確認のコミュニケーションを取ることが必要だと思います。

校正のつどでは実際対応が困難

石川昌人 校正のつどとなると実際対応が困難であり、設計で図面上に示された必要精度に対し、十分な精度を持つ計測器が使用されているものと考え、校正結果に対しては単にその計測器のスペックに適合しているかを判断しています。

計測器を使う部門が判断すべき

本庄健一 ものづくりの管理者から見ると、ものをつくるほうとすればその計測器で何を測定するかわかるが、校正部門ではその計測器がどのように使われているかわからないので、計測器のメーカーの示すスペックで判断しています。広義の計測管理として、その計測器でよいかの判断はその計測器を使う部門が判断すべきと思います。
阿知波正之(司会) 使う部門がそれほどレベルが高いのですか。その選択が最適かどうか評価はされているのですか。
本庄健一 計測管理というと範囲が広くなるが、それは校正部門の仕事ではなく使用部門の技術者の職務と考えます。

計測器の選定基準を作成した

阿知波正之(司会) 校正部門の仕事ではないが、計測管理としては重要であり、用途に対する選定基準を作成した経験があります。
植手稔 ISO10012に立ち返ると、用途に合った計測器を選定する要求があります。
阿知波正之(司会) 製品設計では設計審査がおこなわれるように、個々の計測器の選定はそれぞれの使用部門がおこなうにしても、その審査に相当する業務は必要だと思います。

計測管理部門がチェックしている

植手稔 私の勤めている会社の計測管理部門が計測器を導入するときに、何を測定するのか、どの程度の精度で管理するのか、計測器のスペックは対応しているか、精度比はどうかなどをチェックして最終承認するシステムになっています。

計測管理実施要領を全部門に適用

伊藤佳宏 所属する会社には、社内基準として計測管理実施要領があり、測定する製品の公差に対して計測器のスペックは1/10とか計測器の校正精度は1/4という規定が全部門に適用されています。

レビューを定常的に

阿久津光 そのような規定があり、厳しい要求があるときはレビューがあるが、できれば計量確認としてそのレビューが定常的におこなわれるとよいです。

計測管理の成果の見える化

計測の標準化で不確かさを改善

阿知波正之(司会) 計測管理の見える化として、計測管理の成果につながる活動として、先の計量確認のように評価と改善の活動が必要です。中央精機(株)の高井哲也さんが不確かさの改善事例として発表されている事例では、計測の標準化を進めることで不確かさを改善し、成果をあげた事例が示されています。
 たとえば測定の目的が同じだが、数種類の計測器が使われていて、測定結果に差が生じていたものを不確かさの小さい機種に標準化したとか、測定者により測定箇所とか読み取りの違いにより、不確かさが大きくなっていたものを、測定方法を統一・標準化して不確かさを改善し、その結果、対象の製品のばらつきを改善した例が示されています。計測器の種類を標準化した事例では、昔トヨタでダイヤルゲージを落としても壊れにくい機種に標準化した事例が紹介されていました。
■測定の標準化のほうが成果をあげやすい
 そのような事例を見ると、計測器の校正に比べ、測定の標準化のほうが成果をあげやすいのではないですか。そのような事例はありませんか。

トルクレンチでやってみたい

阿久津光 具体的にはトルクレンチをやってみたいと思います。どのような使い方をしたとき、どのように悪くなるのか解析し、明確にしたいです。
阿知波正之(司会) トルクレンチの問題は昔からあり、抜本的な構造改善が必要だと思いますが、新しい構造機能の改善は進んでいませんか。
阿久津光 電気式のトルクメータのものは不具合が少ないが、現状ではコストが高く、また、使い勝手の問題もあります。使用部門に対して適切な計測器を紹介できるようにしていきたいですね。
伊藤佳宏 トルクレンチは航空機業界では昭和の時代から同じ問題を抱えているので、期待したいと思います。

計測管理は計測器校正だけという考えが根強い

植手稔 計測管理の成果が見えにくいです。現場での計測の改善はだれがやっているのか、やる人がいるのか、計測管理部門でそれをやっているかというと、やっていません。
 計測管理部門は校正コストは見えるので、内部よりその校正コスト削減を要求されるが、改善効果は小さいです。本当は現場を含めた外への改善活動が必要ですがそれはやっていないし、それができる体制にもなっていません。経営者も担当者も、計測管理は計測器校正だけをやっていればよいとする考え方が根強く、実はもったいないのです。今後、計測管理はそのような分野でもっと活躍できるのではないでしょうか。

見える化は目標管理

中野廣幸 見える化というと目標管理だと思います。企業内の目標管理を例にとって、先ほどの人材育成でいえば、校正担当者が取得すべき資格を取ったことを、取ったと表示すれば見える化となります。トルクレンチのメーカー別の不良の発生状況を表示すれば見える化になります。校正期限切れでもそれを示せば見える化になります。なぜかといえば、それは目標があるからで、それは目標管理です。
■目標を立てることでマネジメントになる
 目標を立てることにより、マネジメントとして認められます。つまり目標の達成状況が経営層に認められ、人的資源マネジメントとしても人材評価の尺度が明確になり、公正な評価につながります。このサイクルを回すことが見える化になるのです。

管理者や技術者の発想力が必要

本庄健一 計測器の校正期限切れについて、過去年間数十件あったが事業所の所長がトップで各関係部課長が出席する品質会議で、計測管理の一環として、校正期限切れを出した部署を発表するようにしたところ、それまで使用責任者に何度も計測器の校正提出依頼をしてもでてこなかったものが、途端に計測器の校正期限切れがゼロになりました。組織のトップを通じた活動の成果が大きく、その後計測器の定期検査期限切れゼロが維持されています。
 その次の活動として、計測器の検査納期を短縮する活動を進めてきましたが、校正の担当者は組織を通して改善することまで思いつかず活動がされていません。管理者や技術者の発想力が必要だと感じました。
伊藤佳宏 それはマネジメントの問題で、ISO10012では5.1項計量機能で要求しています。

ISO10012や不確かさは、現場レベルでは知られていない

本庄健一 現状では、ISO10012に対して意識は低いし、ましてや不確かさについて、計測器の使用現場レベルではほとんど知られていません。輸出のため、UL規格(アメリカ保険業者安全試験所〔Underwriters Laboratories Inc.:UL〕が策定する製品安全規格)を取るとか、一部の製品の品質保証部門はJCSS校正と不確かさを知っているが、そのほかの一般製品を扱っている多くの部門はまだ不確かさの概念はほとんど持っていません。

目的や成果の説明が不十分

阿知波正之(司会) どうも一般的にはJCSS校正とか不確かさの取り組み方が違うではないかと思います。規制があるからJCSS校正をするというのは聞かれますが、その規制はどういう目的からでてきたか、また、JCSS校正はどんな成果があるかが、十分説明されないので、なかなか広がらないのです。
 校正のQCD(品質〔Quality〕、コスト〔Cost〕、納期〔Delivery〕)のうちコストはよく見えます。またDについても、先にあったように納期を短縮すれば必ず成果が得られるが、Qの成果がよくわからないのです。
■不確かさの導入目的が間違っている
 測定の不確かさについてもその導入の目的が間違っているように思います。測定の不確かさは測定結果のばらつきであり、ばらつきの改善ができれば必ず成果があります。また、逆説的に言えば、それが、なぜ問題にならないかといいますと、多くの場合は普通に測定していれば不確かさの影響が小さいからともいえます。

計測器がよくなり不確かさを意識しない

本庄健一 最近使っている計測器がものすごくよくなってきており、電気計測器についても30〜40年前に使っていた0.5級計器でその不確かさがコンマ数パーセントとすると不確かさが問題になりますが、現在は桁違いによい計測器が安く手に入り、必要な精度よりも1桁も2桁もよいものを使っていますので、不確かさがあまり問題にならず不確かさを意識しなくてもすんでいます。

新たな提案ができる

小屋松隆一 それは裏を返せば、こんなに精度よく測れるようになったのでもっとよいものができるとか、もっと安くできるとの提案もできるのではないでしょうか。
松山辰夫 現実にそのような方向になっていると思います。ところが計測技術の進歩が評価されていません。検査工程は付加価値を生まない工程として成果への貢献度が正当に評価されない風土があるような気がします。

不確かさは使い方が影響する

中野廣幸 計測器がよくなくなっていますが、不確かさは計測器だけではなく使い方が影響します。たとえば、薬局へ行くと、目量0.01gとか極端な場合0・001gまで測れるはかり(天びん)がありますが、使っている状態は、はかりが傾いて置かれていたり、粉薬で汚れており、レンジは0.1gで使われていたりします。
■不必要な高精度はかりが使われていることも
 現場で求められているのは高精度ではなく、環境に対するロバスト性であるのに不必要な精度のはかりが使用されている場合があります。校正は高精度のはかりとして実施され、高い校正費用がかかっているだけでなく定期検査で不合格となる可能性も高くなります。

不確かさでコスト削減できる

松山辰夫 高精度のはかりとなると測定の待ち時間がでてきて、その分人件費のロスもでます。不確かさがわかっていれば、計量確認によって計量器の適正な精度の判断ができ、トータルコストの削減につながります。

ISO10012規格の導入の進め方

阿知波正之(司会) ISO10012の導入の課題について述べて下さい。

顧客満足につながる

伊藤佳宏 ISO9000シリーズに比べれば、はるかに計測管理の意義があります。なぜならば、計測管理により品質・コストの優れた製品づくりで、顧客満足につながるからです。

必要かとの声もある

阿久津光 今まで、きちんと物ができていて、それなりに利益をあげ、顧客の満足が得られているのに、さらに新しい規格で厳しい管理が必要かとの声もあります。

普及にはトップダウンが必要

植手稔 ISO10012の普及にはやはりトップダウンが必要で、そのためにはトップに計測の重要性を意識してもらわなければなりませんが、特効薬はなく、結局、今できることを地道に積み上げていくことになります。

ISO10012が未導入での不具合事例も

阿知波正之(司会) ISO10012のシステムができていないために起きた不具合の事例も集める必要もありますね。

計測管理部門や校正部門の人がネックに

中野廣幸 トップの理解は得られても、一番反対勢力になるように思われるのは意外にも計測管理部門とか校正部門の人ともいえます。実際に校正をやっている人で、校正の仕事をやっているのに仕事が増えると思っている人がネックになるように思います。

生産技術と計量管理の連携のしくみ必要

松山辰夫 先に計量確認の段階で議論したことに関連しますが、だれが、いつ、計量確認するかです。生産技術部門と計量管理部門とうまく連携されていれば問題がありませんが、実は、部門間に溝があり、連携が悪いのです。連携をよくするしくみをつくらないと、お互いが抵抗勢力になってしまいます。

計測管理未整備企業での導入のほうが容易

阿知波正之(司会) ISO9000の導入でもありましたが、余分な仕事が増えるという抵抗があります。現在計測管理の制度が整備されていない企業でシステムを導入するほうが抵抗も少ないし、成果があがるのではないでしょうか。

具体的に展開される段階にある

植手稔 親会社の計量管理規程には測定プロセスの設計、計量確認、測定の不確かさなど、ISO10012のなかの重要なキーワードが導入されました。傘下の各事業場の計量士が1年以上にわたり審議して最上位の全社規定として制定されました。また具体的な導入を意識した測定プロセスの設計とか計量確認、不確かさなど詳しく解説したテクニカルマニュアルが整備され、いよいよこれから各事業所にISO10012が具体的に展開される段階です。
■計測の視点で横断的レビューする人材の育成が必要
 今後、確実にそれを進めるには、傘下の各事業場のトップおよび計測管理担当者の理解とモチベーションが必要で、実施事例を積み上げることになります。組織の面では設計、生産技術、品質保証などの部門を横断的に計測の視点でレビューできる人材の育成が必要だと思います。それに一番近い存在は計測管理部門の人だと思うので、その人の意識が変わらないと進まないですね。

計測管理への押しつけはダメ

中野廣幸 ISO10012は計測管理だからといって、計測管理部門に押し付けてはいけません。

測定の不確かさの展開

測定の不確かさを改善すると必ず成果が

阿知波正之(司会) ISO10012にも関連がある測定の不確かさについて、(一社)日本計量振興協会の機関誌で毎号紹介していますが、なかなか広がりません。中央精機(株)の高井哲哉さんの事例では現場の測定の不確かさを改善すると必ず製品の品質の向上、コストダウンなど目に見える成果があがっています。つまり測定のばらつきを改善したら必ず成果があがります。そのためにはまず不確かさを求めてみましょうということで簡易化が進められています。不確かさの展開について述べて下さい。

データのなかには不確かさ

中野廣幸 不確かさを説明するとき、データのなかには不確かさがあり、工程のばらつきはもっと小さいかもしれないのに不確かさが大きくしていることを忘れないでねと説明していますが、皆さん、データが示されるとそれに不確かさが影響していることを知りません。

現場の測定の不確かさは問題になる

阿知波正之(司会) 計測器の不確かさより測定の不確かさが重要なのですが、これも校正部門の人は不確かさが比較的小さく、また、その影響も気がつきませんが、現場の測定の不確かさは多くの要因があり、問題になっていることがあります。
伊藤佳宏 生産技術関係の人はわかっているのではないですか。

高精度の計測器導入で防げると誤解

阿知波正之(司会) 測定のばらつきは経験的に感じているので、先にでてきたように高精度の計測器を導入すれば防げると思って、必要以上の高精度の計測器が導入されることにもなります。

不確かさを活用し問題解決

伊藤佳宏 所属している会社で、設計部門の試作試験装置を製作するとき、その試験装置の精度を評価する方法について相談を受けました。装置の精度の積み上げをすると装置の部品製作にとんでもない精度が必要になるということです。そこで、不確かさを活用し、Bタイプは矩形分布、Aタイプのデータの活用等検討会をしました。その結果、装置の製作費のコストダウンや装置の試験精度について顧客の認証を問題なく受けることができ感謝されました。
■若手の技術者は関心が高い
 設計部門担当技術者は不確かさについて関心があり、その後も不確かさの外部の研修を受たり、社内展開しています。若手の技術者は理解が早く、関心が高いです。
植手稔 生産現場では工程能力を見ており関連があります。

工程能力が低いときこそ測定の不確かさを見よ

阿知波正之(司会) そこが重要で、工程能力が高ければ見る必要がないですが、工程能力が低いときこそ測定の不確かさを見る必要があるのです。

測定のばらつきを疑え

松山辰夫 工程能力が不十分だから、もっと品質のよい物をつくれといわれてきましたが、製品のばらつきより、測定のばらつきを疑ってみる必要があります。

ターゲットを絞って見る必要

阿知波正之(司会) 私の経験からも工程能力不足の場合に絞って、その測定の不確かさを調べると10%を超える不具合がありました。やみくもに問題のない測定を調べても意味がありません。ターゲットを絞って測定の不確かさを見る必要があります。

測定の不確かさを小さくすればよくなる

中野廣幸 工程能力が悪い場合、測定の不確かさが大きいと工程の改善のしようがありません。測定の不確かさを小さくするだけで、工程能力がよくなります。その上で工程を改善するのです。

商品量目でも不確かさが影響

阿知波正之(司会) 商品量目についても不確かさが影響します。ある意味、表記量に対して不確かさを管理しているともいえます。詰込工程の管理の場合はいかがですか。

メーカーの管理レベルは高い

松山辰夫 スーパーで先日、立入検査があり、そこに立ち会ったのですが、お菓子メーカーの定量詰込商品のサンプリングテストでは、さすがと感心させられました。商品量目の管理レベルが高く、どの商品も+0.2gで揃っていました。

ばらつきの大きさから計量管理レベルが見える

阿知波正之(司会) 商品量目を調べてみると、そのばらつきの大きさから、そのメーカーの計量管理のレベルが見えてきます。

乾燥の不確かさを見込んでいた

中野廣幸 不確かさの概念で、高山の高山陣屋に米の俵があり、看板があって、そこには「重さを量った後で、ちょっと足せ」とあります。つまり、乾燥の不確かさを見込んでおり、そうしないと合格しないのです。昔からそのような概念がありました。年貢で取るのでしっかり不足なく取る決まりになっており、さすがに昔から税金は取りはぐれがないと感心させられます。

海外での測定指導を強化する必要が

小屋松隆一 生産技術では測定の不確かさの概念はなく、結果、規格を厳しくする方向に向かうことが多いです。特に製品がうまくできない海外ではその傾向が強く、今後は海外での測定の指導を強化する必要があります。

作り込みの測定の不確かさの最適化を

松山辰夫 要は作り込みの測定の不確かさが重要で、作り込みの測定の不確かさがよくないと商品の歩留が上がりません。作り込みの測定の不確かさの最適化によって、安いコストで、よいものが得られることになると思います。

補正とばらつきを分離しなければ

伊藤佳宏 誤差と不確かさを混同している点もあり、補正できるものを補正しなければ不確かさが大きくなります、補正とばらつきを分離しなければなりません。
■ばらつきの改善は技術的処置が必要
阿知波正之(司会) 品質工学でも言われていることですが、平均値の修正である補正は難しくありません。しかし、ばらつきの改善は技術的処置が必要です。そのような見方で見ると改善の糸口が見つかるように思います。

まとめ

マクロ視点も忘れてはならない

阿知波正之(司会) 本日は長時間にわたり討論をありがとうございました。2014年度の品質工学研究発表大会のメインテーマは「マクロ視点での問題解決からの脱却」でした。これは課題解決から、評価法の研究そして評価を不要とする技術開発をめざすとあり、これを計測管理にあてはめれば、個々の測定・検査をしなくよいものづくりとか商品量目管理をめざすことであり、そのようなマクロ視点も忘れてはならないと思いました。
 今回の内容がこれからの計測管理の活動の一助になれば幸いです。
(おわり)

計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事>2014現場の計量管理座談会
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