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月例経済報告
−景気は、引き続き一部に持ち直しの動きがみられるものの、このところ弱含んでいる。−
先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、世界経済の先行き懸念や我が国の株価の低迷などにより、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。
月例経済報告
平成15年1月
総論
(我が国経済の基調判断)
景気は、引き続き一部に持ち直しの動きがみられるものの、このところ弱含んでいる。
先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、世界経済の先行き懸念や我が国の株価の低迷などにより、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。
(政策の基本的態度)
政府は、「改革加速のための総合対応策」を着実に実施している。また、12月19日に「平成15年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解したほか、「改革加速プログラム」に基づき編成することとした平成14年度補正予算を同月20日に、平成15年度一般会計予算(概算)を同月24日に閣議決定した。これらを一体として切れ目なく運用し、構造改革を更に加速することにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指す。
デフレ克服及び金融システム安定化に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を行う。
各論
1.消費・投資などの需要動向
2.企業活動と雇用情勢
3.物価と金融情勢
4.海外経済
注)
<個人消費>
消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成14年10月(速報値)季節調整済3ヶ月前比1.8%増の後、11月(速報値)は同1.8%増となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー
(http://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、10月季節調整済前月比2.3%減の後、11月(速報値)は同2.2%減(前年同月比2.0%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、11月(速報値)は季節調整済前月比0.5%減(前年同月比0.2%増)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、10月季調済前月比2.2%減の後、11月(速報値)は同2.2%増(前年同月比2.4%減)となった。また、百貨店販売額は、11月(速報値)は、前年同月比0.4%減(店舗調整後)(季節調整済前月比6.0%増(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、10月前年同月比2.7%減(店舗調整後)の後、11月は同0.8%減(店舗調整後)(季節調整済前月比5.0%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、11月前年同月比5.7%増の後、12月(速報値)は同0.3%増となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、10月前年同月比2.5%減の後、11月は同2.9%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、10月国内旅行が前年同月比0.3%増、海外旅行が同89.9%増の後、11月国内旅行が同8.1%減、海外旅行が同110.2%増となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、6月前期差0.9ポイント改善の後、9月同0.3ポイント改善となった。内閣府「月次消費動向調査」の消費者態度指数(東京都、原数値)は、11月前月差0.6ポイント改善の後、12月同2.1ポイント悪化した。
<設備投資>
平成14年7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比で2.0%減(前年同期比13.9%減)となっており、うち製造業では同4.8%減(同23.1%減)、非製造業では同0.8%減(同8.8%減)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で10月は1.5%減(前年同期比1.1%減)の後、11月は同1.2%減(同3.7%減)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成14年度設備投資計画は、製造業で前年度比10.7%減、非製造業で同4.3%減となっており、全産業では同6.8%減となっている。また、中小企業では製造業で同6.6%減、非製造業で同3.2%減となっており、全産業では同4.1%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、10月は前年同月比9.6%減の後、11月は同6.6%減となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で10月は4.1%減(同1.9%増)の後、11月は同0.2%減(同7.2%減)となっている。なお、平成14年10-12月期(見通し、9月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で6.5%減(前年同期比8.5%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で10月は24.3%増(同6.5%増)の後、11月は同28.4%減(同17.6%減)となっている。
<住宅建設>
国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成14年4-6月期は1.4%増、7-9月期は4.2%減、10月は6.8%増、11月は5.9%減となっており、うち共同建分譲住宅の着工(同)は、平成14年4-6月期は6.9%減、7-9月期は14.6%減、10月は30.5%増、11月は18.5%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成14年4-6月期は0.6%増、7-9月期は3.8%減、10月は6.5%増、11月は5.1%減となった。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114、6月117、8月114、10月115となった。
<公共投資>
平成14年度の国の一般会計予算(当初)をみると、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比10.7%減と規模を縮減しつつ、「平成14年度予算編成の基本方針」の重点7分野に重点化している。また、「改革加速プログラム」(12月12日決定)を受けて編成する平成14年度補正予算においては、構造改革推進型の公共投資に1.5兆円(事業規模で2.6兆円)などに災害対策費を含め計2.0兆円(事業規模で3.4兆円)の公共投資を計上するなどの予算措置を講じることとしている。なお、平成14年12月24日に閣議決定した平成15年度予算案においては、公共投資関係費について、前年度比3.7%減と規模を縮減し、都市の再生や地方の活性化など、「平成15年度予算編成の基本方針」の重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比10.1%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比11.1%減、10.6%減となっている。なお、平成15年度地方財政対策においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減とし、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で10月11.4%減の後、11月は1.0%増となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で10月7.2%増の後、11月は7.6%増となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で10月6.4%減の後、11月は8.6%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で9月4.7%減の後、10月は5.4%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で9月0.6%増の後、10月は2.6%減となった。
<輸出・輸入・国際収支>
通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で10月5.0%増の後、11月は4.9%増(前年同月比18.2%増)となった。また、前期比で4-6月期7.3%増の後、7-9月期は1.5%減(前年同期比11.9%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で10月2.0%減の後、11月0.4%増(前年同月比5.4%増)となった。また、前期比で4-6月期2.1%増の後、7-9月期は5.4%増(前年同期比7.8%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、10月は6,084億円の後、11月は5,341億円となり、通関収支差(季節調整値)は、10月8,965億円の後、11月は10,507億円となった。
<生産・出荷・在庫>
11月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電気機械や輸送機械等が減少したことから、前月比2.2%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で12月は電気機械や輸送機械等の増加により0.3%増の後、平成15年1月は電気機械や輸送機械等の増加により1.2%増になると見込まれている。
11月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比2.5%減となった。また、11月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は98.6となっている。
10月の第3次産業活動指数(季節調整値、速報)は、卸売・小売業,飲食店、サービス業が減少した結果、前月比0.2%減となった。
<企業>
財務省「法人企業統計季報」によると、7-9月期の経常利益は全産業で前年同期比20.5%増、製造業は48.8%増、非製造業は7.5%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、平成14年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比5.7%の増益、下期は同16.8%の増益、通期では前年比11.6%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」−「悪い」)をみると、大企業は2%ポイント改善して△11%ポイント、中小企業は3%ポイント改善して△35%ポイント、全規模合計では2%ポイント改善して△28%ポイントとなった。
<倒産>
企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、11月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,435件(前年同月比20.8%減)、負債総額は5,704億円(同69.5%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,433件(同22.6%減)、負債総額は5,756億円(同69.4%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、80件(同42.0%減)となっており、主な大型倒産としては、東証1部上場の中堅ゼネコンの古久根建設(負債429億円)など(東京商工リサーチ調べ)。
<雇用情勢>
総務省「労働力調査」によると、11月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%ポイント低下し、5.3%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差14万人減の356万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、非自発的な離職による者は、前月差3万人増の163万人となった。自発的離職による者は、前月差13万人減の111万人となった。
労働力調査によると、11月の雇用者数(季節調整値)は、男女計で10月前月比0.6%減の後、11月は同0.2%増の5,314万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、10月季節調整済前月比4.2%増の後、11月は同4.0%減(前年同月比7.0%増)となった。有効求人数は、10月同1.2%増の後、11月は同0.1%減(同6.9%増)となった。新規求職件数は、10月同1.5%減の後、11月は同2.9%減(同1.1%減)となった。有効求職者数は、10月同0.2%減の後、11月は同1.2%減(同1.1%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は10月0.98倍の後、11月0.97倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、10月0.56倍の後、11月0.57倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では10月季節調整済前月比0.6%減(前年同月比14.2%増)の後、11月は同1.6%増(同18.9%増)となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では10月季節調整済前月比0.5%増(前年同月比0.6%減)の後、11月は同同水準(同0.6%減)となった。
<物価>
日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベース)は、11月は前月比1.5%の下落(前年同月比保合い)、9-11月平均の3ヶ月前比(6-8月平均対比、以下同じ)は1.0%の上昇となった。輸入物価(円ベース)は、11月は前月比1.2%の下落(前年同月比5.7%上昇)、9-11月平均の3ヶ月前比は3.6%の上昇となった。また、国内卸売物価は、11月は前月比0.1%の上昇(前年同月比0.3%下落)、3ヶ月前比は保合いとなった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の11月の企業向けサービス価格は前年同月比0.8%の下落(前月比0.1%下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、11月は前年同月比0.8%の下落(季節調整済前月比0.1%上昇)、9-11月平均の前年同期比は0.9%の下落となった。一般サービスは、11月は前年同月比保合い、9-11月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、11月は前年同月比1.5%の下落、9-11月平均の前年同期比は1.7%の下落となった。公共料金は、11月は前年同月比0.8%の下落、9-11月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、12月は前年同月比0.7%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落)、10-12月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。
<金融>
無担保コールオーバーナイトレートは、12月は、0.001〜0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、12月は、0.07%台〜0.09%台で推移した。10年物国債流通利回りは、12月は、0.8%台〜0.9%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、12月末には843ポイントとなった。日経平均株価は、12月末には8,578円となった。
広義流動性は、12月(速報)は前年同月比1.2%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、12月(速報)は前年同月比4.6%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.3%減)となった。12月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が550億円となった。
また、国内公募事業債の起債実績は、10,968億円(銀行起債の普通社債は無し)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、11月は前月比で短期は0.004%ポイント低下し、長期は0.208%ポイント低下したことから、総合では0.072%ポイント低下し1.537%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断は横ばい、金融機関の貸出態度は若干悪化している。
<景気ウォッチャー調査>
内閣府「景気ウォッチャー調査」の11月の現状判断DIは、前月を1.4ポイント下回り、36.7となった。先行き判断DIは、前月を1.8ポイント下回り、38.0となった。