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月例経済報告
−景気は、おおむね横ばいとなっているが、イラク情勢等から不透明感が増している。−
先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、イラク情勢等からくる不確実性の高まりや世界的な株価の低迷の中で、我が国の最終需要が下押しされる懸念が強まっている。
月例経済報告
平成15年3月
総論
(我が国経済の基調判断)
景気は、おおむね横ばいとなっているが、イラク情勢等から不透明感が増している。
先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、イラク情勢等からくる不確実性の高まりや世界的な株価の低迷の中で、我が国の最終需要が下押しされる懸念が強まっている。
(政策の基本的態度)
政府は、内外の金融・経済情勢等を注視しつつ、引き続き金融、税制、歳出及び規制の四本柱の構造改革を一体的かつ整合的に実行することにより、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図る。平成14年度補正予算を着実に実施するとともに、平成15年度予算及び税制改正法案等の関連法案の早期成立に努める。また、株式市場の適正な運営を確保する観点から、その厳格な監視など、所要の措置を講じた。
政府は、日本銀行と一体となって、金融危機を起こさせないよう万全を期すとともに、金融・資本市場の安定及びデフレ克服を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行う。
各論
1.消費・投資などの需要動向
2.企業活動と雇用情勢
3.物価と金融情勢
4.海外経済
注)
<個人消費>
消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成14年12月(速報値)季節調整済3ヶ月前比0.6%減の後、平成15年1月(速報値)は同1.6%減となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー
(http://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、12月季節調整済前月比2.3%減の後、1月(速報値)は同2.8%増(前年同月比1.5%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、1月(速報値)は季節調整済前月比2.2%増(前年同月比1.1%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、12月季調済前月比3.9%減の後、1月(速報値)は同3.2%増(前年同月比2.2%減)となった。また、百貨店販売額は、1月(速報値)は、前年同月比1.9%減(店舗調整後)(季節調整済前月比6.6%増(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、12月前年同月比4.2%減(店舗調整後)の後、1月は同2.4%減(店舗調整後)(季節調整済前月比4.9%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、1月前年同月比4.6%増の後、2月(速報値)は同5.1%増となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、12月前年同月比6.5%減の後、1月は同2.2%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、12月国内旅行が前年同月比3.4%減、海外旅行が同85.2%増の後、1月国内旅行が同6.1%減、海外旅行が同35.9%増となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、9月前期差0.3ポイント改善の後、12月同1.5ポイント悪化となった。内閣府「月次消費動向調査」の消費者態度指数(東京都、原数値)は、1月前月差0.1ポイント改善の後、2月同0.1ポイント改善した。
<設備投資>
平成14年10-12月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比で3.9%増(前年同期比1.8%減)となっており、うち製造業では同2.9%増(同10.8%減)、非製造業では同4.4%増(同2.4%増)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、12月は季節調整済前月比0.8%増(前年同月比2.8%減)の後、1月は同5.5%増(同3.9%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成14年度設備投資計画は、製造業で前年度比10.7%減、非製造業で同4.3%減となっており、全産業では同6.8%減となっている。また、中小企業では製造業で同6.6%減、非製造業で同3.2%減となっており、全産業では同4.1%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、12月は前年同月比1.6%減の後、1月は同7.3%減となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、12月は季節調整済前月比5.2%増(前年同月比0.3%減)の後、1月は同7.0%増(同18.8%増)となっている。なお、平成15年1-3月期(見通し、12月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で3.5%減(前年同期比2.2%増)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で12月は5.1%増(同5.9%減)の後、1月は同2.3%増(同6.0%減)となっている。
<住宅建設>
国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成14年4-6月期は0.4%増、7-9月期は3.3%減、10-12月期は1.0%減、平成15年1月は6.8%増となっており、うち共同建分譲住宅の着工(同)は、平成14年4-6月期は8.9%減、7-9月期は10.2%減、10-12月期は0.0%増、平成15年1月は9.5%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成14年4-6月期は0.2%減、7-9月期は3.2%減、10-12月期は1.1%減、平成15年1月は3.3%増となった。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114、6月117、8月114、10月115、12月111、平成15年は、2月110となった。
<公共投資>
平成14年度の国の一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、「改革推進公共投資」特別措置を含めた公共投資関連予算ベースでは15.9%減となっている。なお、平成15年度予算においては、公共投資関係費について、前年度比3.7%減と規模を縮減し、都市の再生や地方の活性化など、「平成15年度予算編成の基本方針」の重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比10.1%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比11.1%減、10.6%減となっている。なお、平成15年度地方財政対策においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減とし、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。また、時事通信社調査によれば、普通建設事業費は、都道府県で前年度比6.1%減、政令指定都市で同5.8%減、中核市で同8.9%減、その他の県庁所在市で同12.8%減となっており、これらを単純合計すると、前年度比6.4%減となっている(骨格予算、暫定予算を編成した地方公共団体を除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で12月7.2%増の後、1月は17.5%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で12月4.2%増の後、1月は20.1%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で12月3.2%減の後、1月は5.5%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で11月5.7%減の後、12月は7.5%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で11月1.3%減の後、12月は2.5%減となった。
<輸出・輸入・国際収支>
通通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で平成14年12月2.0%減の後、1月は0.5%減(前年同月比10.4%増)となった。また、前期比で7-9月期は0.4%増の後、10-12月期は2.1%増(前年同期比14.7%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で平成14年12月0.0%減の後、1月1.5%増(前年同月比9.4%増)となった。また、前期比で7-9月期3.4%増の後、10-12月期は0.6%増(前年同期比5.3%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、平成14年12月は4,495億円の後、1月は4,175億円、通関収支差(季節調整値)は、平成14年12月は7,854億円の後、1月は6,900億円となった。
<生産・出荷・在庫>
1月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電気機械や一般機械等が増加したことから、前月比1.5%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、2月は輸送機械や鉄鋼等の減少により0.4%減の後、3月は電気機械や化学等の増加により0.6%増になると見込まれている。
1月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.8%増となった。また、1月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は100.3となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、12月(速報)前月比0.7%減となった。また、10-12月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同7-9月平均対比)をみると1.0%減となっている。
<企業>
財務省「法人企業統計季報」によると、10-12月期の経常利益は全産業で前年同期比22.7%増、製造業は72.7%増、非製造業は1.7%減となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、平成14年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比5.7%の増益、下期は同16.8%の増益、通期では前年比11.6%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」−「悪い」)をみると、大企業は2%ポイント改善して△11%ポイント、中小企業は3%ポイント改善して△35%ポイント、全規模合計では2%ポイント改善して△28%ポイントとなった。
<倒産>
企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、1月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,444件(前年同月比6.4%減)、負債総額は1兆2,192億円(同16.8%増)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,436件(同11.4%減)、負債総額は1兆2,189億円(同14.2%増)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、109件(同8.4%減)となっており、主な大型倒産としては、不動産業の松栄不動産(負債1,488億円)など(東京商工リサーチ調べ)。
<雇用情勢>
総務省「労働力調査」によると、1月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%ポイント上昇し、5.5%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差12万人増の368万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、非自発的な離職による者は、前月差6万人減の156万人、自発的な離職による者は、同8万人減の110万人、非労働力人口からの流入などを含むその他の者は同15万人増の75万人となった。
労働力調査によると、1月の雇用者数(季節調整値)は、男女計で12月前月比0.2%増の後、1月は同0.2%減の5,316万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、12月季節調整済前月比2.7%増の後、1月は同1.2%増(前年同月比12.3%増)となった。有効求人数は、12月同1.4%増の後、1月は同0.9%増(同10.7%増)となった。新規求職件数は、12月同0.3%減の後、1月は同0.5%増(同3.0%減)となった。有効求職者数は、12月同1.4%減の後、1月は同1.9%減(同5.4%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は12月1.02倍の後、1月1.02倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、12月0.59倍の後、1月0.60倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では12月季節調整済前月比0.8%増(前年同月比19.6%増)の後、1月は同2.6%増(同19.8%増)(速報値)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計では14年7-9月期の25%から10-12月期は23%となった。製造業では同33%から30%となった。製造業大企業(1,000人以上)では同40%から36%となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では12月季節調整済前月比0.2%減(前年同月比0.6%減)の後、1月は同0.4%増(同0.2%増)(速報値)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では1月前年同月比1.4%減(速報値)となった。
<物価>
日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成15年2月(速報値)は前月比1.1%の上昇(前年同月比6.2%の下落)、3ヶ月前比は0.1%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、2月(速報値)は前月比2.3%の上昇(前年同月比0.4%上昇)、3ヶ月前比は1.3%の上昇となった。また、国内企業物価は、2月(速報値)は前月比0.2%の上昇(前年同月比0.9%下落)、3ヶ月前比は保合いとなった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の1月の企業向けサービス価格は前年同月比0.7%の下落(前月比0.5%の下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、1月は前年同月比0.8%の下落(季節調整済前月比保合い)、11-1月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。一般サービスは、1月は前年同月比保合い、11-1月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、1月は前年同月比1.3%の下落、11-1月平均の前年同期比は1.4%の下落となった。公共料金は、1月は前年同月比0.7%の下落、11-1月平均の前年同期比は0.7%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、15年2月は前年同月比0.7%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落)、12-2月平均の前年同期比は0.7%の下落となった。
<金融>
無担保コールオーバーナイトレートは、2月は、0.001〜0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、2月は、0.09%台で推移した。10年物国債流通利回りは、2月は、0.7%台〜0.8%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、2月末には818ポイントとなった。日経平均株価は、2月末には8,363円となった。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、2月末は117.75円となった。対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、2月末は126.55円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、2月(速報)は前年同月比12.6%増となった。2月の日銀当座預金平均残高は20.1兆円となった。M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比2.0%増となった(2月速報)。広義流動性は、2月(速報)は前年同月比1.4%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、2月(速報)は前年同月比4.8%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.5%減)となった。2月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債型新株予約権付社債の発行は150億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、6,620億円(銀行起債の普通社債は500億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、1月は前月比で短期は0.064%ポイント上昇し、長期は0.098%ポイント上昇したことから、総合では0.077%ポイント上昇し1.692%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断は横ばい、金融機関の貸出態度は若干悪化している。
<景気ウォッチャー調査>
内閣府「景気ウォッチャー調査」の2月の現状判断DIは、前月を2.8ポイント上回り、38.3となった。先行き判断DIは、前月を0.8ポイント上回り、40.8となった。