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月例経済報告
−景気は、持ち直しに向けた動きがみられる。−
先行きについては、企業部門が持ち直している中で、アメリカ経済等の回復に伴って、景気は持ち直すことが見込まれる。一方、今後の株価・長期金利や海外経済などの動向には留意する必要がある。
先月からの主要変更点(PDF形式)
月例経済報告
平成15年9月
総論
(我が国経済の基調判断)
景気は、持ち直しに向けた動きがみられる。
先行きについては、企業部門が持ち直している中で、アメリカ経済等の回復に伴って、景気は持ち直すことが見込まれる。一方、今後の株価・長期金利や海外経済などの動向には留意する必要がある。
(政策の基本的態度)
政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」の早期具体化により、構造改革の一層の強化を図る。
政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定及びデフレ克服を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行う。
各論
1.消費・投資などの需要動向
平成15年4-6月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間在庫品増加、公的固定資本形成がマイナスに寄与した一方、民間企業設備、民間最終消費支出、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)がプラスに寄与したことなどから、前期比で1.0%増(年率3.9%増)となった。また、名目GDPの成長率は、前期比で0.3%増となった。
2.企業活動と雇用情勢
3.物価と金融情勢
4.海外経済
注)
<個人消費>
消費総合指数(内閣府試算値)は、6月(速報値)季節調整済前月比1.0%増の後、7月(速報値)は同1.0%減となった。消費総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(http://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
家計調査の全世帯実質消費支出は、6月季節調整済前月比5.0%増の後、7月(速報値)は同5.7%減(前年同月比3.9%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、7月(速報値)は季節調整済前月比4.6%減(前年同月比3.2%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、6月季調済前月比0.5%減の後、7月(速報値)は同2.5%減(前年同月比3.0%減)となった。また、百貨店販売額は、7月(速報値)は、前年同月比1.9%減(店舗調整後)(季節調整済前月比5.3%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、6月前年同月比2.9%減(店舗調整後)の後、7月は同5.0%減(店舗調整後)(季節調整済前月比5.8%減(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、7月前年同月比0.7%減の後、8月(速報値)は同5.8%減となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、6月前年同月比3.6%減の後、7月は同11.3%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、6月国内旅行が前年同月比4.8%増、海外旅行が同59.3%減の後、7月国内旅行が同2.6%増、海外旅行が同44.2%減となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、3月前期差2.0ポイント悪化の後、6月同1.2ポイント改善となった。内閣府「月次消費動向調査」の消費者態度指数(東京都、原数値)は、7月前月差1.3ポイント改善の後、8月同1.8ポイント改善した。
<設備投資>
平成15年4-6月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比5.3%増(前年同期比6.4%増)となっており、うち製造業では同4.5%増(同3.8%増)、非製造業では同5.6%増(同7.7%増)となっている。
平成15年4-6月期の大中堅企業の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」(実績見込)でみると、季節調整済前期比で7.1%減(前年同期比5.2%増)となっており、うち製造業では同2.3%減(同4.4%減)、非製造業では同7.4%減(同9.8%増)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、6月(確報値)は季節調整済前月比5.4%増(前年同月比6.5%増)の後、7月(速報値)は同4.0%減(同0.4%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成15年度設備投資計画は、製造業で前年度比11.5%増、非製造業で同1.0%増となっており、全産業では同4.9%増となっている。また、中小企業では製造業で同13.0%減、非製造業で同12.9%減となっており、全産業では同13.0%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、6月(確報値)は前年同月比4.0%増の後、7月(速報値)は同6.6%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、6月は季節調整済前月比2.4%増(前年同月比12.1%増)の後、7月は同3.1%減(同6.1%増)となっている。なお、平成15年7-9月期(見通し、6月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比2.2%増(前年同期比11.9%増)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物の着工床面積をみると、6月は季節調整済前月比4.7%増の後、7月は同5.2%減となっている。
<住宅建設>
国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成14年7-9月期は3.3%減、10-12月期は1.0%減、平成15年1-3月期は1.8%増、4-6月期は4.8%増、6月は8.7%増、7月は8.6%減となっており、うち共同建分譲住宅の着工(同)は、平成14年7-9月期は10.2%減、10-12月期は0.0%増、平成15年1-3月期は2.3%増、4-6月期は0.4%増、6月は7.9%増、7月は1.0%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成14年7-9月期は3.2%減、10-12月期は1.1%減、平成15年1-3月期は1.1%減、4-6月期は5.9%増、6月は12.6%増、7月は10.1%減となった。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114、6月117、8月114、10月115、12月111、平成15年は、2月110、4月108、6月120となった。
<公共投資>
平成15年度の国の一般会計予算(当初予算)をみると、公共投資関係費は、前年度比3.7%減と規模を縮減し、都市の再生や地方の活性化など、「平成15年度予算編成の基本方針」の重点4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、平成15年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比5.5%減とし、計画的な抑制と重点的な配分を行うとしている。また、時事通信社調査によれば、普通建設事業費は、都道府県で前年度比6.1%減、政令指定都市で同5.8%減、中核市で同8.9%減、その他の県庁所在市で同12.8%減となっており、これらを単純合計すると、前年度比6.4%減となっている(骨格予算、暫定予算を編成した地方公共団体を除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で6月2.8%減の後、7月は20.4%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で6月26.6%増の後、7月は26.0%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で6月10.2%減の後、7月は5.1%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で5月12.0%減の後、6月は11.6%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で5月16.5%減の後、6月は7.9%増となった。
<輸出・輸入・国際収支>
通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で6月は3.8%減の後、7月4.4%増(前年同月比3.7%増)となった。また、前期比で1-3月期は0.1%増の後、4-6月期は0.9%増(前年同期比2.8%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で6月は1.3%増の後、7月5.2%増(前年同月比4.6%増)となった。また、前期比で1-3月期は0.2%減の後、4-6月期は4.5%増(前年同期比8.4%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、平成15年6月は6,013億円の後、7月は7,142億円、通関収支差(季節調整値)は、平成15年6月は7,274億円の後、7月は7,509億円となった。
<生産・出荷・在庫>
7月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電子部品・デバイス、パルプ・紙・紙加工品等が増加したことから、前月比0.5%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、8月は電子部品・デバイスや輸送機械等の増加により2.0%増の後、9月も電子部品・デバイスや輸送機械等の増加により1.5%増になると見込まれている。
7月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比1.4%増となった。また、7月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は99.5となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、6月(速報)前月比1.2%増となった。また、4-6月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同1-3月平均対比)をみると0.8%増となっている。
<企業>
財務省「法人企業統計季報」によると、4-6月期の経常利益は全産業で前年同期比13.6%増、製造業は36.3%増、非製造業は1.6%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、平成14年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比7.0%の増益、下期は同24.7%の増益、通期では前年比16.4%の増益、平成15年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比4.6%の増益、下期は同13.2%の増益、通期では前年比9.5%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査、業況水準について「良い」−「悪い」)をみると、大企業は3%ポイント改善して△9%ポイント、中小企業は1%ポイント改善して△32%ポイント、全規模合計では前回と変わらず△26%ポイントとなった。
<倒産>
企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、7月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,377件(前年同月比19.8%減)、負債総額は6,980億円(同39.9%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,384件(同23.7%減)、負債総額は7,008億円(同41.8%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、87件(同36.0%減)となっており、主な大型倒産としては、不動産売買業の山一土地(負債833億円)など(東京商工リサーチ調べ)。
<雇用情勢>
総務省「労働力調査」によると、7月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月と同水準の5.3%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差4万人減の352万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、非自発的な離職による者は、前月差1万人減の157万人、自発的な離職による者は、同4万人減の107万人となった。
労働力調査によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で6月前月比0.3%増の後、7月は同0.2%増の5,368万人となった。
労働力調査によると、失業期間1年以上の完全失業者数は4-6月平均127万人となった。完全失業者全体に占める失業期間1年以上の者の割合は4-6月平均34.3%となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、6月季節調整済前月比4.1%増の後、7月は同0.3%減(前年同月比9.8%増)となった。有効求人数は、6月同2.2%増の後、7月は同1.7%増(同10.2%増)となった。新規求職件数は、6月同7.8%増の後、7月は同8.6%減(同4.6%減)となった。有効求職者数は、6月同2.5%増の後、7月は同1.0%減(同5.1%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は6月0.96倍の後、7月1.04倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、6月0.61倍の後、7月0.62倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では6月季節調整済前月比1.1%減(前年同月比8.3%増)の後、7月は同1.8%増(同7.2%増)(速報値)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計では1-3月期の22%から4-6月期は22%となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では6月季節調整済前月比0.5%減(前年同月比0.2%増)の後、7月は同0.1%増(同0.1%増)(速報値)となった。特別に支払われた給与は、事業所規模5人以上では7月前年同月比6.2%減(速報値)となった。
<物価>
日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成15年8月(速報値)は前月比0.2%の下落(前年同月比0.6%の上昇)、3ヶ月前比は0.1%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、8月(速報値)は前月比0.6%の上昇(前年同月比3.4%の上昇)、3ヶ月前比は1.9%の上昇となった。また、国内企業物価は、8月(速報値)は前月比保合い(前年同月比0.6%下落)、3ヶ月前比は0.2%の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の7月の企業向けサービス価格は前年同月比0.6%の下落(前月比保合い)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、7月は前年同月比0.2%の下落(季節調整済前月比0.2%の上昇)、5-7月平均の前年同期比は0.4%の下落となった。一般サービスは、7月は前年同月比0.1%の上昇、5-7月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、7月は前年同月比1.1%の下落、5-7月平均の前年同期比は1.2%の下落となった。公共料金は、7月は前年同月比1.4%の上昇、5-7月平均の前年同期比は1.0%の上昇となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、8月は前年同月比0.3%の下落(季節調整済前月比0.1%の上昇)、6-8月平均の前年同期比は0.4%の下落となった。
<金融>
無担保コールオーバーナイトレートは、8月は、0.001〜0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、8月は、0.08%台で推移した。10年物国債流通利回りは、8月は、0.8%台〜1.4%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、8月末は1,002ポイントとなった。日経平均株価は、8月末は10,343円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、8月末は117.05円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、8月末は127.78円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、8月(速報)は前年同月比20.5%増となった。8月の日銀当座預金平均残高は29.3兆円となった。M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比2.0%増となった(8月速報)。広義流動性は、8月(速報)は前年同月比1.1%増(簡易保険福祉事業団保有金融資産の日本郵政公社への承継による影響を除くと3.3%増)となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、8月(速報)は前年同月比5.2%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.9%減)となった。8月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債型新株予約権付社債の発行はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、7,110億円(銀行起債の普通社債は1,700億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、7月は前月比で短期は0.100%ポイント上昇し、長期は0.078%ポイント上昇したことから、総合では0.093%ポイント上昇し1.704%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、資金繰り判断および金融機関の貸出態度は改善している。
<景気ウォッチャー調査>
内閣府「景気ウォッチャー調査」の8月の現状判断DIは、前月を1.5ポイント上回り、46.4となった。先行き判断DIは、前月を2.1ポイント上回り、48.9となった。