〈〈〈夏季特集〉〉〉
2000年8月6日(2364号)■栃木県を流れる那珂川の大瀬観光やな
「水を見ると落ち着く」という人がいます。小川の水よりも、広々とした景色が広がる大河や大きな湖あるいは大海原に広がる水の風景は確かに、人の心を和ませ落ち着かせるような気がします。写真は栃木県茂木町を流れる那珂川の大瀬観光梁(やな)付近の流れです。梁はブルドーザーを川に入れて土砂を押しのけて作ります。そうして作られた梁の簀の子の上での水遊びは楽しいですし、梁の流れてきて簀の子の上をはねたりくねったりしている鮎やウナギや鯉やウグイや蟹などを捕まえるときにははしゃいでしまいます。梁に流れ落ちる川の生き物を見ておりますと、川それ自身の生命力を強く感じます。川が生きているからこそ生き物がいるのでありましょう。梁での漁は非常に面白いものでありますが、梁に導かれる水路を大きく取ってしまいますと、下流に下って産卵する鮎を根こそぎ捕獲しかねません。梁で採れる鮎の量が多すぎて、市場に出すと値崩れするから、採れた鮎を穴を掘って埋めてしまったという、まことしやかな話が聞こえてきます。落ち鮎のシーズンになりますと、梁で採れる鮎の量は半端ではありません。那珂川は天然遡上鮎の川ですから恵みが大きいのです。那珂川はカヌーでの川下りが可能な数少ない川の一つです。所々に急瀬はありますが大体は緩やかな流れですから、栃木県の黒磯付近を出発点にして茨城県の御前山村付近まで楽しいカヌー・リバー・ツーリングができます。カヌーの上で居眠りなどしてしまいますと、梁の罠にはまって鮎と同じように簀の子の上に打ち上げられてしまいます。カヌーでも上の全部開いたカナディアンカヌーは流れの急な川には向きません。急瀬では直ぐ転倒してしまうし、艇の回収も大変です。その点、ポリエチレン製のカヤックは小回りが利くなどすべての面で楽です。組み立て式のファルトボートも悪くありません。(よ)