2001年2月11日(2388号)

■大量生産品の検定の主流は指定製造事業者に−66社80工場122件を指定(1月16日現在)

 自社検査による基準適合証印を付すことで検定に代える指定製造事業者の指定が、1月16日現在で66社80工場122件になった。大量生産に適する計量器の検定では指定製造事業者制度を利用する事例が多くなってきている。外国企業の指定が10社10工場12件ある。指定事業者制度は、1993年の計量法の全面改正で創設された制度。取引や証明行為に使用する計量器(特定計量器)は検定に合格する必要がある。従来は国による検定のみであったが、申請事業所の品質管理能力が審査され、基準を満たした者について、自社の自主検査で基準に適合するものに基準適合証印を付して検定に代えることができる。

 本制度の指定を受けた製造事業者を「指定製造事業者」、外国製造事業者を「指定外国製造事業者」といい、指定された事業所で製造する特定計量器の検定が免除される。検定制度の大きな変更である。

 指定製造事業者は製造事業の区分にしたがって、工場または事業場ごとに指定される。

 本制度は国、都道府県が実施する検定を免除する制度なので、検定への信頼が損なわれないようにするため、指定の基準を満たす品質管理能力が要求されている。品質管理の方法等について都道府県知事か日本電気計器検定所の検査を受けなければならない。JQA等の指定検定機関の調査を受けることもできる。品質管理に関する事項、基準は品質システムの規格であるISO9000シリーズの手法を活用している。

 指定製造事業者は基準適合義務を負っており、
@性能に関する技術上の基準適合性、器差の適合性、
A検査義務・検査記録作成・保存義務、
がある。
 指定は、該当する工場の製造器種の変更等により当初の指定状況から増減があるが、全体では増えてきている。

 国内事業者の事業区分による指定の内訳は、質量計第1類16件、血圧計第1類8件、抵抗体温計2件、温水メーター2件、積算熱量計1件、ガスメーター第1類13件、ガスメーター第2類14件、圧力計第2類1件、騒音計2件、水道メーター第1類16件、水道メーター第2類15件、自動車等給油メーター4件、濃度計第1類2件、小型車載燃料油メーター1件、大型車載燃料油メーター3件、微流量燃料油メーター1件、最大需要電力量計等6件、振動レベル計1件、定置燃料油メーター等2件、で合計56社71工場(事業場)110件。

 外国事業者は、血圧計第1類3件、抵抗体温計3件、質量第1類4件、自動車等給油メーター1件、水道メーター第1類1件、で合計10社10工場(事業場)12件。国別では中華人民共和国6件、大韓民国3件、シンガポール1件、オーストラリア1件、インドネシア1件。


■(株)田中衡機工業所第2工場が指定製造事業者に

 1903年(明治36年)創業の、顧客の信頼が厚いはかりの有力メーカーである(株)田中衡機工業所(田中正佐久社長、本社・新潟県三条市南新保6−47)の第2工場(新潟県南蒲原郡栄町大字福島新田字浦島丙2318−1)が、1月16日付で、指定製造事業者になった。新潟県で初めての指定製造事業者である。

 指定番号は021501.事業の区分は質量計第1類。事業区分の質量計第1類は、非自動はかりのうち、検出部が電気式のものを製造する事業である。

 同社は、平成12年1月から、指定製造事業者の指定取得へ向けて本格的に動き始めた。短納期化の実現という顧客満足度の向上や、産業廃棄物関連の大型計量器の需要拡大に備え指定製造事業者の指定取得を最優先とする方針が出され、指定に向けて動きだしたのである。

 管理責任者の専従任命と各部門長からなる指定推進のプロジェクトチームを編成し、日常業務と平行して社内規定、規格の作成、整備を実施し4月末には完成、運用を開始し、問題点の掌握と解決に取り組んだ。

 ISO9000シリーズの要求事項と指定製造事業者への要求事項である計量法関係の理解運用に全力を注ぎ、2000年7月末に指定検定機関の(財)日本品質保証機構(JQA)の予備審査、9月末に本審査を受審した。是正処置を実施し品質システムを仕上げていき11月21日付で指定検定機関であるJQAから調査結果報告書の送付を受けた。

 申請書類に調査結果報告書を添付し11月29日付で新潟県計量検定所へ申請。経済産業省の判定委員会の審査の結果、2001年1月16日付で指定製造事業者に指定。1月25日、新潟県計量検定所で指定書の交付。

 同社は、1999年からISO9000シリーズ規格のへの対応に取り組み、システムの構築推進と、現在の業務のフローチャートの作成や、現存する規定、規格類の調査を行い品質文書作成の材料としている。これが指定製造事業者として指定を受ける大きな力となっている。

 同社は「全社を上げて対応することができ、今後の品質管理活動を推進する上で大きな自信になった。品質方針の『お客様の立場に立って価値ある製品を提供する』を合い言葉に一丸となって品質向上を目指し、多様化する顧客の二ーズに対応できる生産活動に邁進する」と意欲的だ。

(株)田中衡機工業所

【設立】 明治36年12月
【資本金】 四千五百万円
【役員】 ▽代表取締役社長田中正佐久
▽同専務田中悌司
【営業品目】 ▽デジタル台秤
▽トラックスケール
▽ホッパースケール等各種産業用計量機
【連絡先】 ▽本社=Tel0256−35−1251
▽第2工場=Tel0256−45−2204
▽東京支店=Tel03−3263−4531

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