岩田重雄博士がモンゴロイド共通の数詞取り扱い法を検出
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計量史研究家の岩田重雄氏(工学博士)は、モンゴロイドに特有の数の取り扱い方である倍加法を見つけだすことに成功した。モンゴロイドは数量を数えるための母音が他の母音に変わると数値が2倍になるという倍加法を用いるという特徴があり、これは他の人類にはない特有のものであるとことを検証した。
加法はモンゴル語に特有
岩田重雄氏はアフリカの諸言語、インド・ヨーロッパ語、モンゴル語を中心に、倍加法の痕跡をを調査したところ倍加法はモンゴル語に特有のものであることが見いだされたという。倍加法の方言の数は、マヤ語が8、ウト・アステック語が7、アメリカン・インディアン語が3、イヌイト語が1、古アジア語が1、日本語が1、朝鮮語が1、台湾語が1、メラネシア語が1、ミクロネシア語が5であった。数詞表現に倍加法が使用された地域は、北アメリカ大陸、東シベリア、朝鮮半島、日本列島および太平洋諸島である。
新人誕生と移動経路
人類史上でのモンゴロイドの発生の時期は、5〜7万年前と推定されている。人類進化の経路図は、化石、考古学的データ、遺伝学的データを基にして推論されている。新人は20万年前に東アフリカを出発した後、ネグロイドと別れてイスラエル付近で10万年前にコーカソイドを分岐し、東アジアで5〜7万年前にモンゴロイドが北(東シベリア、北アメリカ、南アメリカ)と、東(朝鮮、日本)と、南(ニューギニアを含む太平洋諸島)に分岐したというのが定説になっている。
東アジアに特有の文化の中心が
モンゴロイドは倍加法を共通して使用していることから、5〜7万年前に東アジアで北方、東方、南方等に分岐する以前に、倍加法を内容に含む数量の数え方を知っていたことになる。従って東アジアでは、5〜7万年前までに10までの基数詞(数詞のうち、数量を数えるときに用いられるもの)は成立していたと考えることができる。岩田重雄氏は、中国と東シベリアを含む東アジアの一部に特有の文化の中心があり、そこを通過して各方面に分岐したモンゴロイドは、1から10の基数詞を使用することになったものと推定している。 (つづく)