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 2002年3月17日(2437号)


 ■計量行政審議会標準部会開かれる、長さと音圧レベルの特定副標準器を取り消す

 計量行政審議会計量標準部会(大園成夫部会長)が3月8日(金)午後、経済産業省で開かれ、計量法トレーサビリティ(JCSS)制度の特定標準器の指定及び校正等の実施と特定副標準器の指定の取り消し等について審議し決定した。本部会の決定は3月26日(火)開催の計量行政審議会に報告される。

 計量標準部会は、2月26日付の平沼赳夫経済産業大臣の計量行政審議会に対する諮問に基づき、標準物質の供給の追加、標準物質の供給の範囲の拡大、流量(気体小流量)の校正範囲の拡大、流量(気体流速)の校正範囲の拡大、電流等(高抵抗)の校正範囲の拡大、温度の校正範囲の拡大を決めた。

 また長さと音圧レベルの特定副標準器の取り消しを決めた。使用できなくなっていた抵抗の特定標準器(量子ホール効果抵抗測定装置)が修復され、不確かさが0・2ppmであることを報告した。9月から本装置での校正を開始する。

計量行政審議会計量標準部会(3月8日) 標準物質の追加及び拡大範囲は、有機標準ガス12種類、無機標準液2種類、有機標準液9種類。

 気体小流量は、これまで下限が0・05g/min以下の流量を標準供給するための標準移転用流量計がなかったが、それ以下の流量を標準供給できる技術が開発されたので0・005g/minまで拡大する。

 気体流速は、研究の進展に伴い、光学式流速計校正装置による校正が1・3m/s以上40m/s以下の範囲で、走行台車による校正が0・05m/s以上1・5m/s以下の範囲で可能となったことから、0・05m/s以上40m/s以下の範囲で標準供給を行うこととした。

 高抵抗は、従来の抵抗標準供給が1Ωから10kΩの範囲に限られていたが、高抵抗への範囲拡大の研究を行い、1MΩから1TΩまで拡大する。

 温度・熱電対は現在標準が供給されているマイナス40℃から660℃の温度範囲に加えて、より高温の660℃から1085℃の温度範囲へ校正範囲を拡大する。そのためには961・78℃及び1084・62℃の標準供給が必要である。961・78℃及び1084・62℃の標準供給を行うことで、認定事業者は、貴金属熱電対に対して660℃から1085℃の標準を持つことができ、同温度範囲における校正事業を開始することができる。

 長さ及び音圧レベルについては、指定校正機関である(財)日本品質保証機構が特定副標準器を用いて校正を行っている。しかし技術の進展で、(独)産業技術総合研究所が直接、特定標準器を用いて行うことにしたため、特定副標準器を取り消す。

 2002年3月17日(2437号)

 
■モンゴロイドの諸移動を計量史学会が論証

岩田重雄博士がモンゴロイド共通の数詞取り扱い法を検出
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計量史研究家の岩田重雄氏(工学博士)は、モンゴロイドに特有の数の取り扱い方である倍加法を見つけだすことに成功した。モンゴロイドは数量を数えるための母音が他の母音に変わると数値が2倍になるという倍加法を用いるという特徴があり、これは他の人類にはない特有のものであるとことを検証した。

加法はモンゴル語に特有
 岩田重雄氏はアフリカの諸言語、インド・ヨーロッパ語、モンゴル語を中心に、倍加法の痕跡をを調査したところ倍加法はモンゴル語に特有のものであることが見いだされたという。倍加法の方言の数は、マヤ語が8、ウト・アステック語が7、アメリカン・インディアン語が3、イヌイト語が1、古アジア語が1、日本語が1、朝鮮語が1、台湾語が1、メラネシア語が1、ミクロネシア語が5であった。数詞表現に倍加法が使用された地域は、北アメリカ大陸、東シベリア、朝鮮半島、日本列島および太平洋諸島である。

新人誕生と移動経路
 人類史上でのモンゴロイドの発生の時期は、5〜7万年前と推定されている。人類進化の経路図は、化石、考古学的データ、遺伝学的データを基にして推論されている。新人は20万年前に東アフリカを出発した後、ネグロイドと別れてイスラエル付近で10万年前にコーカソイドを分岐し、東アジアで5〜7万年前にモンゴロイドが北(東シベリア、北アメリカ、南アメリカ)と、東(朝鮮、日本)と、南(ニューギニアを含む太平洋諸島)に分岐したというのが定説になっている。

東アジアに特有の文化の中心が
 モンゴロイドは倍加法を共通して使用していることから、5〜7万年前に東アジアで北方、東方、南方等に分岐する以前に、倍加法を内容に含む数量の数え方を知っていたことになる。従って東アジアでは、5〜7万年前までに10までの基数詞(数詞のうち、数量を数えるときに用いられるもの)は成立していたと考えることができる。岩田重雄氏は、中国と東シベリアを含む東アジアの一部に特有の文化の中心があり、そこを通過して各方面に分岐したモンゴロイドは、1から10の基数詞を使用することになったものと推定している。      (つづく)

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