日本経済が、わずかだが上向きつつある。内閣府が4月24日に発表した3月実施の法人企業動向調査によると、1〜3月期の景気判断指標(季節調整値)はマイナス37となり前回(昨年10〜12月期)から大幅に改善した。日銀は4月12日発表の4月の金融経済月報で、景気判断について「全体としてなお悪化を続けているが、そのテンポは幾分和らいできている」と指摘し、2カ月連続でやや上方修正した。政府の月例経済報告も2カ月連続で景気認識を上方修正している。
内閣府の法人企業動向調査の指標は、前期より景気が「上昇」と答えた企業割合から「下降」とする割合を引いた値。1〜3月期の景気判断指標(季節調整値)はマイナス37となり前回(昨年10〜12月期)より22ポイント改善した。8年ぶりの大幅改善で、内閣府は企業の景況感について前回の「下げ止まりの兆しが見られる」から「下げ止まりの動きが見られる」に上方修正した。
7〜9月期の予測では海外需要の好転期待を背景にマイナス2とほぼ横ばいにまで改善する見通しとなっている。業種別では99年7〜9月期以来10期ぶりに全業種で改善した。「精密機械」がマイナス24と45ポイント改善し、「農林漁業」「パルプ・紙」「非鉄金属」などはマイナス幅が大幅に縮小した。
設備投資は低迷
設備投資は01年度実績見込みが前年度比3・9%減で、2年ぶりに減少に転じる見通し。02年度当初計画も同9・1%減と過剰設備を背景に低迷が続くとみられている。
消費者態度指数が3四半期ぶり改善
内閣府経済社会総合研究所が4月23日に発表した3月の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数(季節調整値)は38・4で、昨年12月の前回調査に比べ1・5ポイントと、3四半期ぶりに改善した。同研究所は「厳しい状況が変化しつつある可能性を否定できない」と判断を上方修正した。
金融経済月報は2カ月連続で上方修正
日銀は4月の金融経済月報で、景気判断について、2カ月連続でやや上方修正した。輸出増加と在庫調整の進展で鉱工業生産が下げ止まりつつあるのが主因。日銀が同月報で景気判断を2カ月連続で上方修正したのは2000年6、7月以来。
財務省は4月16日に全国財務局長会議を開き、全国11地域の財務局長らが管内情勢を報告。全国の経済の総合判断を「厳しい状況が続いているものの、一部に下げ止まりの動きもみられる」とした。ただ、個人消費は多くの地域で依然として低調で、雇用情勢も全地域で厳しい状況が続いているとしている。
中小企業の景況感は横ばい4−6月は改善へ
中小企業庁が行った中小企業の景況調査速報によると、02年1−3月期の中小企業の業況判断DI(「好転」−「悪化」、前年同期比)はマイナス50・0となり、前期(マイナス50・0)と横ばいになった。4−6月期はマイナス44・1と改善する見込みである。
同庁調査室は、中小企業の景況感について、悪化スピードは弱まってきているが、日銀の3月短観などでも中小企業の景況感は悪く、下げ止まりと判断するには尚早、としている。