6月の製造業稼働率指数は3カ月ぶりに下落、7月の倒産件数は戦後最悪
内閣府が8月16日発表した景気動向指数(DI)の改定値によると、景気の現状を示す一致指数は、速報段階の77・8%が80%に上方修正され、景気判断の分かれ目である50%を5カ月連続で上回った。景気の先行きを示す先行指数も速報値の70%が72・7%に上方修正され6カ月連続で50%を上回った。一方、7月の企業倒産(負債1000万円以上)件数は1814件(前年同月比15・8%増)と、98年の1710件を上回り、7月としては戦後最悪を記録した。好材料も増えてきているが、先行きの不透明感は払拭されておらず楽観は許されない状況だ。
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V字回復は揺るがない
みずほ総合研究所は、8月15日に公表した「円高はどの程度心配なのか」と題するリポートで、為替変動が輸出数量に与える影響のタイムラグや交易条件と円高の関係を踏まえれば、現状の為替円高を受けても、2002年度製造業収益のV字回復は揺るがない、としている。
今年上半期の国際収支速報(8月12日)は、経常収支の黒字額は、前年同期比51・9%増の7兆9275億円となり、4半期ぶりに黒字幅を拡大した。輸出がアジア向けで増えている。
6月の鉱工業生産動向(8月14日、経産省)では、製造工業の稼働率指数は前月比1・0%低い93・7と、3カ月ぶりに下落している。ただし、4−6月をならしてみた稼働率は前期比+3・2%と上昇し、これで2四半期連続の上昇となった。生産能力指数は93・5と、前月比0・2%低下、89年9月以来、約13年ぶりの低水準になった。
全国401の商工会議所が実施した7月ヒアリングは、全産業合計の景況判断指数(前年同月比ベース)は、マイナス48・9となった。先行きの不透明感を訴える声が寄せられている。
8月30日発表の新方式による4〜6月期のGDP(国内総生産)が注目される。