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日計振> 「指定定期検査機関制度の推進」全国会議開く−制度の「手引き」を説明、事例資料も配付−新潟、愛知、宮城、広島の協会が事例発表
(社)日本計量振興協会(飯塚幸三会長)は、11月28日、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷で、「『指定定期検査機関制度の推進』に関する全国連絡会議」を開催した。地域の計量行政機関で導入が進みつつある「指定定期検査機関制度」について、同制度導入を検討している地域の団体(計量協会・計量士会)からの他県の状況・関連情報を知りたいという声に応えたもので、行政機関職員も含め102名が参加した。日計振が実施した「『指定定期検査機関制度の推進』に関するアンケート」の結果を報告したほか、事例発表として<(社)>新潟県計量協会が法人化への取り組み、すでに指定定期検査機関を運用している(社)宮城県計量協会、(社)愛知県計量協会、(社)広島県計量協会が活動状況を報告した。また、日計振が作成した「指定定期検査機関の手引き」を説明した。
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取引や証明行為に使用する質量計は2年に1回、計量行政機関による定期検査または計量士による代検査を受けなければならない(適正計量管理事業所を除く)。指定定期検査機関制度は、計量行政機関(都道府県、特定市)が、一定の基準を満たす機関を指定して計量行政機関がおこなう検査業務の全部または一部を行わせる制度である。
地方分権一括法の施行(2000年4月)以来、指定定期検査機関制度は注目されてきている。地方計量行政機関では、人口30万人以上の中核市、20万人以上の特例市など市町村への計量行政事務の権限委譲が進みつつある。これらの新しく計量法の特定市となった行政機関による同制度の活用が予想される。行政事務の整理、見直しの推進からも地方計量行政機関の同制度活用の傾向が見られる。多くの地域計量協会や計量士会でも会の主要な事業の一つとして制度活用を検討しているが問題点も多い。同制度に関する関心は高まっており、日計振のアンケート調査や、本協議会はこれらの会員の要望に応えようとするものである。
調査結果を説明
日計振の同制度に関するアンケートは2002年2〜3月に実施した。対象は47都道府県69団体で43都道府県53団体から回答があった。
地域計量団体の法人化と統合に関し、回答があった中で、統合済が26、検討中6、未定8である。法人化は、済18、準備中3、検討中9、未定14(調査当時)。指定の取得状況は、取得済11(日計振会員での数)、検討中11、未定31である。
新設の特定市等の定期検査実施状況を見ると市独自で定期検査を実施するのは約半数ある。指定機関を除き、すでに業務委託を受け、代検査等で検査を実施している団体が15〜16団体ほどある。
指定団体は2002年4月現在ではすべて社団法人で、9県7市16団体である。2003年度に民間企業の指定定期検査機関が業務を開始する(千葉市)。
問題点としてあげられているのが、@人材の確保、A財政面=採算面(自治体の支援の程度含む)、B運営面(法人化、団体統合、事務局体制)、C技術面、D設備の確保、E継続性、F代検査との関係、Gその他(税金の処理など)である。
日計振への要望として、各県の状況を知らせてほしい、活動中の団体の事例紹介、指定促進、財政補助等を国・自治体へ働きかけてほしい、指定の手引き等情報の提供、技術向上のための資料(マニュアル、ビデオ)の配付、法人化についての指導、などがでている。
事例発表の添付資料は詳細
日計振は、これらの要望に応えるために「指定定期検査機関の手引き」を作成するとともに、本協議会で、団体の法人化と、指定定期検査機関の活動状況の事例発表を実施し、質疑応答をした。
団体の法人化については(社)新潟県計量協会、指定定期検査機関の活動状況を、(社)宮城県計量協会、(社)愛知県計量協会、(社)広島県計量協会が発表した。
事例発表での添付資料は、申請のスケジュール、手続きの流れ、設備、体制、予算、活動状況、税務署との関係、運営上の問題点、なども含む詳細なもので、法律的な要件等を解説してある「手引き」と併せて利用すれば、指定定期検査機関を検討中の団体には参考になるものである。
各団体が共通して苦心しているのが、@自治体の財政支援を含む自立できる財政的な保証、A計量士、検査補助員の確保などの人的保証(技術力の確保含む)、B検査設備、車両、建物などの物的保証であり、自治体との折衝の要になっている。