■2002年の貿易輸入額で中国がトップに=貿易黒字額は51.3%増、アジア中心に輸出伸びる=景気の先行きに強い不透明感 設備投資の低迷や米景気の不透明感背景に
財務省が1月27日に発表した2002年の貿易統計速報によると、輸入額で、現在の統計方式に切り替わった1961年以降、中国が初めて米国を上回り、地域別でトップになった。輸出額から輸入額を差し引いた貿易黒字額は、前年比51・3%増の9兆9306億6600万円となり、4年ぶりに増加に転じた。増加率は84年以来、18年ぶりの高い伸び。輸出が日本経済を支えている現状が裏付けられた。景気の先行きは各統計指標とも厳しい数字が出ており、27日開かれた日銀支店長会議でも厳しい状況にあるとの報告が相次いだ。
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輸入額で中国が米国を上回りトップになった。02年の中国からの輸入額は7兆7250億3100万円、米国は7兆2174億9900万円。中国からの輸入額が5075億3200万円上回り、61年以降で初めて最大の輸入相手国になった。輸出額は、中国が4兆9799億7100万円、米国が14兆8636億1200万円で開きがあるが、伸び率は米国が1・0%なのに対し、中国は32・3%である。
景気状況に関しては厳しいみかたが相次いでいる。日銀は1月23日発表の金融経済月報で「全体として下げ止まっているが、回復へ向けての不透明感が強い状態が続いている」と景気判断を2カ月連続で据え置いた。最終需要面について「設備投資はほぼ下げ止まっているものの、個人消費は弱めの動きを続けている」「国内需要に依然として回復の動きがみられない中で、輸出は横ばい圏内の動きを続けている」と前月とほぼ同様の判断を示した。「鉱工業生産は、横ばい圏内で推移している」と下方修正した。日銀支店長会議でも、各支店長から景気の現状について、輸出や生産の回復がもたらす経済全般への波及が鈍く「厳しい状況にある」との報告が相次いだ。
各種統計資料も厳しい数字を示している。02年自動車国内生産台数の好調、12月工作機械受注額の3ヶ月連続プラスなど、明るい材料もあるものの、経済産業省が1月29日発表した鉱工業生産動向(速報)によると、2002年の生産指数(1995年=100)は95・4と前年比1・4%低下した。01年に続くマイナスで、2年連続の下落は1992〜93年以来9年ぶり。同指数は95年基準を適用する93年以降では最低。
消費の低迷は続いており、経済産業省が発表した12月の商業販売統計速報によると、小売業販売額(全店ベース)は前年比マイナス3・4%の12兆7580億円で、前月に比べ、マイナス幅が拡大した。