■【計量標準100周年を祝い、式典・シンポジウムを開催】 歴史を振り返り計量標準の未来を示す −標準研究所の課題と国際協力でパネルディスカッション−
(独)産業技術総合研究所計量標準総合センター(NMIJ)は5月20日、東京都千代田区の経団連会館で「計量標準100周年記念式典・記念シンポジウム」を開催した。産総研や計量関連団体、企業の関係者、海外からのゲストなど多数参加して100周年を祝った。21日は、NMIJの計量標準施設の見学とセミナーが開かれた。計量標準は科学や産業の計量計測基盤として産業活動の発展に貢献してきており、講演・シンポジウムなどでは、100年の軌跡を振り返るとともに、時代の要請に応える新世代の計量標準のあり方について示された。
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小野晃計測標準研究部門部門長はあいさつで、100年の組織の変遷などを振り返りながら、今後の計量標準に求められるものとして、経済、貿易、産業に関する世界共通のインフラとしての計量標準の国際化の進展を指摘し、一方で、技術の進歩に対応した計量標準の高精度化への要求とともに、環境・安全・健康などへの関心の高まりで、幅広い分野で計量標準が求められるようになり、カバーする範囲が広がりつつあると述べた。日本が2010年までに物理標準、標準物質とも250を整備することを目標にしているとした。
講演会は、NMIJの小島勇夫氏、松本弘一氏が最新の研究成果を紹介した。招待講演の飯塚幸三(社)日本計量振興協会会長は計量の1世紀を振り返り、先人の誇るべき業績を紹介した。一般国民の理解と協力、学際協力などの重要性を強調した。長島昭慶応大学教授は科学技術における計量標準の役割を解明した。
昨年ノーベル化学賞を受賞した(株)島津製作所フェローの田中耕一氏が「ソフトレーザー脱離イオン化の起源と発展」と題して特別講演した。田中氏は、質量分析方法の概略、新発見へ至る過程など説明した。また、新発見がチームワークの勝利であることを強調し、創造性に必要な素質は誰もが持っており、楽しく、常識にとらわれず、こつこつとした積み重ねが大事だと述べた。
パネルディスカッションは、「計量標準研究所の役割」と題して、アメリカ・イギリス・オーストラリアから計量研究の第一人者を招いてパネルディスカッションした(田中充計測標準研究部門副部門長が進行役)。パネリストは、自国の計量標準研究所が果たしている役割を紹介し、国立標準研究所の果たす役割が大きいこと、国際協力の重要性、計量標準への新しい要請に応えることが大事であることなどを発言した。また、日本の果たす役割への期待も表明した。
(記念式典・祝賀会は次号以下) (関連記事AB面)