逮捕されたのは、東証、名証1部上場の大手「愛知時計電機」(名古屋市、池田一社長)元営業副本部長五島政芳容疑者(61)、「リコーエレメックス」(名古屋市、中村高社長)計量・計測販売事業部長瀬川裕三(60)、「東洋計器」(長野県松本市、土田泰秀社長)取締役水器機統括本部長小池富康(60)、「高畑精工(旧高畑工業)」(東京都板橋区、高畑實社長)甲府工場長鶴田徹(58)の各容疑者。最大手で東証1部、大証1部上場の「金門製作所」(東京都板橋区、小野田晃夫社長)の池辺和成元水機器事業部長(59)も捜査対象になったが、健康状態が優れないため、任意での取り調べとなった。
公取委の告発によると、五島容疑者ら5社の受注業務責任者は、ほかの14社の責任者とともに、2001年7月19日に都が発注した、口径13o、20o、25
oの3種類の水道メーターの一般競争入札で、事前に受注する業者や落札価格を決めるなどの談合をした疑いがもたれている。
公取委は法人として大手4社と、4社および旧高畑工業の当時の関係幹部1人の計5人を告発している。(株)高畑工業は、2002年4月1日、高畑精工(株)に吸収合併され解散しているため告発の対象となっていない。
3度目の談合疑惑
都発注の水道メーターの入札をめぐっては、1992年に公取委から排除勧告を受けている。97年には公取委が25社34人を刑事告発、起訴され、有罪が確定している。
また、東京都は談合防止のため、97年に入札方式を指名競争入札方式から、原則として、一定の条件を付した、いわゆる制限付一般競争入札方式に改めていた。98年に東京都は独禁法に基づく損害賠償訴訟を当時の入札指名業者25社に対して起こし、02年10月、20億368万4000円で和解している。
今回の談合疑惑はこれらの排除勧告、刑事告発に続き3度目である。公取委は2月18日、19社を立ち入り検査していた。大手4社などは97年の告発後、メーターの落札価格が暴落したことから、採算の取れる価格に戻すため、談合を再開したとみられている。01年7月19日の入札では、口径20
oの落札価格が新品で3600円から3700円、修理済品で2000円から2070円ほどであった。
計量法上の特定計量器である水道メーターは検定の有効期間が8年であり、8年を経過したメーターは、新品または修理したメーターに交換される。
公取委の告発を受けた談合事件の摘発は、99年の防衛庁発注のジェット燃料談合以来、約4年ぶり。02年5月の同法改正で、法人への罰金を最高5億円に引き上げてからは初の摘発である。
愛知時計などがコメント
愛知時計電機は、前回の違反以後「独占禁止法マニュアルを整備し、教育・研修、報告・相談等を通じ徹底をはかって」きたが「告発を受けるに至ったことは、誠に遺憾であ」り、「この度の経営機構改革において、監査役会の下に社外専門家を加えた経営監査室を設置し、法令遵守に関する監視体制を一層強化し」たとし「捜査中という状況であり、今後の調査を見守りつつ、遵法体制の堅持を引き続き、はかってまいる所存」であるというコメントを発表した。
金門製作所は「誠に遺憾であり、事態を深刻に受け止め、かつ深く憂慮して」いるとし、捜査当局に協力して今後の推移を見守り、「今後、会社一丸となって、より一層のコンプライアンスの徹底をはかって」いくとしている。
【公正取引委員会による刑事告発】
独占禁止法には、排除勧告や課徴金納付命令など行政上の処分のほか、刑事罰が規定されており、公取委が悪質と判断した場合、違反者個人と企業を検事総長に告発する。最高刑は3年以下の懲役または500万円以下の罰金で、法人は5億円以下の罰金。
東京都が4社を指名停止に
水道メーターの談合疑惑での公正取引委員会の刑事告発と、東京地検特捜部の強制捜査を受け、東京都は7月2日付で、愛知時計電機(株)(愛知県)、(株)金門製作所(東京都板橋区)、リコーエレメックス(株)(愛知県)、東洋計器(株)(長野県)の4社を、東京都競争入札参加有資格者指名停止にした。
指名停止期間の終期は未定。愛知時計電機、金門製作所、東洋計器の3社は、工事関係、物品関係とも指名停止、リコーエレメックスは物品関係のみの指名停止である。理由は独占禁止法違反。
東京都の入札に参加するには、「競争入札参加資格審査」を受けて、「競争入札参加有資格者」になる必要がある。 日本試験機工業会(岡崎由雄会長)は、7月4日(金)、東京都新宿区牛込箪笥区民センターで「第5回力学量標準トレーサビリティ・ワークショップ」を開催する。今回のワークショップでは、力計及び一軸試験機、質量、硬さ試験機について、各校正認定事業者及び認定準備者が比較試験結果、校正と不確かさの実状を、また、(独)製品評価技術評価機構(NITE)の嶋岡智司氏がJSCCの近況を報告する。