日本列島ぶらり旅
魚津港と日本海の夕日
夏期特集(1)・フォトエッセイ
東京から魚津市にはひとっ飛び。日本列島を横切るためのルートの取り方は幾通りもあり、何を見ながら移動するかで好みで決めればいい。
関越道から北陸道を利用するか、中央道から長野道そして上信越道路と北陸道を利用する、または松本市から国道利用で糸魚川に抜ける、あるいは松本市から安房トンネルを抜けて神岡経由で富山に出る、さらに大町市から黒部ダム、立山をトローリーバスとロープウエイなどを使って立山町に出るなどだ。車を長野から富山に運ぶサービスもある。
朝早くに車を走らせると速ければ午前中に魚津市に着くし、夕方には宿にはいることができる。
富山湾沿いの氷見市、高岡市、射水市、富山市、滑川市、魚津市、黒部市、入善町、朝日町は海と山の幸に恵まれている。南側の山を仰げば北アルプスの山脈がそびえ立ち、目の前の北側は海である。富山湾には庄川、神通川、常願寺川、早月川、片貝川、黒部川、小川など何本もの川が流入して山の栄養素をたっぷりと運ぶ。ホタルイカ、白海老といった富山湾の名物は山からの贈り物であるのだ。5月の魚津港ではホタルイカ漁の観光船が出航する。午前2時の出港だから早起きして楽しむつもりでないと乗船できない。
魚津港の堤防に立つと向こうに夕日が沈む。夕日の方向は能登半島であるものの遠いので夕日は日本海に沈むように見える。振り返って反対の山側を見ると剣岳、立山などなど日本有数の北アルプスの山々が屹立して迫るのだからすごい。
日本海沿いには新潟から富山、石川、福井とそれぞれの県で工業立地をはかってきていて、富山県にはアルミや精密工業関係その他の有名企業がいくつもある。とはいうものの太平洋側の工業振興と比較すると規模ははるかに劣る。しかし京浜工業地帯と同じような形で北陸の地に工業ができたならば、海と山の幸をうたう今の富山県はなかったことだ。そのようななかで産業振興をはからなければならないから、人が生きていくということは難儀なことである。
富山県の人口は111万1602人(2005年10月、以下いずれも同年度)。市部が98万7834人、町村部が17万3768人である。市部では富山市42万1156人、高岡市16万7690人、氷見市5万4498人、魚津市4万6330人、砺波市4万9429人、射水市3万6512人、黒部市3万6543人、小矢部市3万3537人、滑川市3万4007人、南砺市5万8137人。富山県の人口は111万人程度で安定している。富山県の人口の社会移動は、全国の中でも極めて少ない。ただし県境を超えた移動では基調として流出超過を続けている。
一直線に魚津市に向かうと宿には午後3時には入ることができる。魚津は蜃気楼でも有名だ。埋設林もある。水族館もある。そしてホタルイカだ。魚津市の西隣は滑川市でここにはホタルイカの全てを集めた世界初の博物館「ほたるいかミュージアム」がある。水槽で泳ぐホタルイカを見ながら蛍のように青白く発光する姿を想像するのだ。
魚津港の堤防に立って日本海に沈む夕日を見る背後には、剣岳や立山など北アルプスの鋭鋒がそびえているのだから、そこにたたずんでいるだけで心のくすみが消えてしまう。
甲斐鐵太郎(旅行家)
|