高周波インピーダンスの標準供給開始へ
2007年度第1回計量行政審議会計量標準部会開く
光減衰量、抵抗温度計、
振動加速度は供給範囲拡大
2007年度第1回計量行政審議会計量標準部会(今井秀孝部会長)が10月3日、経済産業省で開かれ、9月11日付で経済産業大臣から諮問があった計量標準の供給拡大などを決めた。承認されたのは電気(高周波)分野の高周波インピーダンスの標準供給の開始、光減衰量、抵抗温度計、振動加速度の供給範囲の拡大である。本部会の決定が計量行政審議会の決定となる。今後、国はこの内容を告示する。国際度量衡総会が本年11月にパリで開かれることから、田中充(独)産業技術総合研究所計測標準研究部門長が総会で審議される事項の概要を説明した。本会議の次回開催は2008年2月頃を予定している。
高周波インピーダンス
▽特定標準器=標準エアライン群であって、(独)産業技術総合研究所が保管するもの
▽校正等を行うもの=(独)産業技術総合研究所
▽校正の種類・範囲=減衰器、エアライン、ミスマッチライン又は終端器であって、周波数が0.1GHz以上33GHz以下の場合において、入射波と反射波の比又は入射波と透過波の比が1以下のもの
▽特定2次標準器の校正周期=1年
高周波インピーダンスは、電波信号を流す信号線の特性を表す基本的な量であり、通信分野や計測器産業において広く使用されている。携帯電話などに代表されるように通信やレーダーなどの分野で、機器の高周波化や高度化が進んでいる。それにともなって電磁環境の安全性確保の観点からも国内外の規制も強化されている。産業界から高周波インピーダンス標準の早急な確立と供給が要望されていた。産総研は、3.5mmコネクタによる高周波インピーダンス標準など、産業界が要求する高精度な標準供給が可能になったことから標準供給を開始することになった。
光減衰量
波長1310nmでの供給を開始
▽特定標準器=光減衰量測定装置であって、(独)産業技術総合研究所が保管するもの(既存)
▽校正等を行うもの=(独)産業技術総合研究所
▽校正の種類・範囲=光電検出器であって、波長が1550nm及び1310nm並びに電力が1mWの場合において、校正範囲が9dB以上90dB以下のもの
▽特定2次標準器の校正周期=1年
現在、長距離ファイバー伝送の基幹波長である1550nmで測定減衰量90dB以下の範囲で計量標準を供給している。最近は事業所間や家庭を対象とする中・近距離用光通信の利用が増加し、波長1310nmにおける光減衰量標準の需要が高まり、早急の供給開始が求められていた。これにより1310nmと1550nmの両波長での供給が可能になった。
抵抗温度計
アルゴン三重点温度(マイナス189・3442℃)での供給開始
▽特定標準器=温度定点群実現装置であって、(独)産業技術総合研究所が保管するもの(既存の装置にアルゴンの三重点を追加)
▽校正等を行うもの=(独)産業技術総合研究所
▽校正の種類・範囲=白金抵抗温度計であって特定標準器による校正が行われる温度がマイナス189℃、660℃又は962℃のもの
▽特定2次標準器の校正周期=1年
現在、抵抗温度計に対してマイナス50℃〜962℃の範囲で標準が、日本電気計器検定所と(独)産業技術総合研究所によって分担して供給されている。近年、食品産業、医療医薬品産業、エネルギー産業(液化天然ガス、エチレン、ジェット燃料)、臨床試験、半導体材料試験などの各産業で、生産管理・品質管理の観点からマイナス50℃以下マイナス196℃までの低温度領域で標準供給へのニーズが高まっている。マイナス196℃までトレーサビリティの保証された温度計測を拡大するために、産総研は1990年国際温度目盛の定義定点であるアルゴンの三重点温度マイナス189・3442℃での標準供給を開始する。
(次号以下へつづく)
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