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日本計量新報 2007年10月28日 (2697号)

2007年度関東甲信越地区計量協会・計量士会連絡協議会
10月18日甲府市で開かれる

経済産業省計量行政室の岡村雄治室長が計量法改正については
国会に改正案を提出しないこと明らかに
質量計の定期検査を実施する指定定期検査機関の運営は
経費面で非常に困難を抱えながら続行している

関東甲信越地域の計量協会と計量士会などのブロック会議「平成19年度関東甲信越地区計量協会・計量士会連絡協議会」が、2007年10月18日午後、甲府市の甲府富士屋ホテルを会場に、関係者181名が参加して開かれた。この会議は関東甲信越地域の計量協会と計量士会(計量士部会等)の連絡と協調のために各都県が持ち回り主催し開かれている。協議会には指定定期検査機関運営上の経済的困難、自治体の計量行政能力の弱体化などの議題が提案され、時間が不足するほどの議論が交わされた。同協議会には計量行政など関係行政機関の担当者が来賓として出席しており、この日来賓として挨拶をした経済産業省計量行政室の岡村雄治室長は計量法改正の動きに触れて、この間計量行政審議会などを通じて審議してきた計量法改正については国会に改正案を提出しないことを説明、同時に政省令の改正などで対応できることは審議会の議論の内容に沿って改正していくことを明らかにした。岡村雄治室長からは同じ説明が10月4日札幌市で開かれた東北・北海道計量大会の席上でなされている。計量法が規定する計量行政審議会の地位は経済産業省に対しての独立性を低めており、検定の周期などかなりの部分を政省令などの改正で対応できるようになっている。この5月にも電子式電力計の一部の検定周期の延長が決まったが、かつてはこうした案件は計量行政審議会に付託されてから結論を出していたものである。計量行政の在り方に対して経済産業省の随意性が高まっているのが現在の計量行政であり、計量行政審議会の位置づけが変わってきていることから計量行政審議会に対してかつての考え方を変えなくてはならない。


提案議題の一つとして神奈川県計量協会からは、同会が指定を受けて質量計(はかり)の定期検査を実施している指定定期検査機関を運営する上での財政上の窮状が提案された。指定当初と違って県からの財政・人員等の支援体制が大きく後退している現状が報告され、指定定期検査機関の運営費用が協会の財政を圧迫していることを伺わせた。

指定定期検査機関制度は計量法上の業務の主体である県や特定市が質量計(はかり)の定期検査を法人や民間会社を指定してこれらの組織に検査業務をさせることができる仕組みであり、この制度が制定されたのち各地の地方公共団体でこの制度が利用されている。

はかりの定期検査の手数料は、これを実施する費用に対して総合的にはるかに少ないようになっている。これは行政機関が実施する定期検査手数料が、住民福祉の観点から民間事業による営業とは別の決め方をされていることによる。採算性のある手数料に値上げしたくても選挙対応のことなどがあるため各会派入り乱れて構成されている議会を通すことはほとんど困難だといわれている。かりに手数料を少し値上げしても地方公共団体の財政逼迫状況は値上げ分だけ実質の補助が減るだけということになる。

計量行政における質量計(はかり)の定期検査の実施体制は、それに見合う行政組織を維持することを放棄している状況があり、実際に地方公共団体が計量行政職員が削減されたために計量法が規定する定期検査が真っ当に実施されない状況がいくつも見られるようになっている。

このような状況にあって指定定期検査機関制度を利用していない地方公共団体は指定が全国的な流れであることから、他に倣って計量協会あるいは民間会社を指定してはかりの定期検査の実施体制を敷こうと考えている。指定定期検査機関を利用するとこれと連動して計量行政機関の組織は人員の削減、組織機構の縮小を行っており、この過程で定期検査以外の検定業務を実施する能力を失う状況になっている。

国民生活の基盤を支えてきた日本の計量行政が機関委任事務から自治事務に変えられてから(このことも計量行政審議会に諮問されないで決まっている)から、行政機能が極度に劣化・後退しており、この傾向に歯止めがかかるめどは全くない。(協議会議題と提案理由は本紙2694号4面に掲載済み)


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