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日本計量新報 2008年1月1日 (2705号第2部)

計量記者日本を撮る
九頭竜ダム 長野発電所の夏景色

太平洋側に注ぐ長良川の向こうに九頭竜川があって、この川は岐阜県と福井県の県境に源を発してこれが西に下って福井市街を経て三国港で日本海に注ぐ。九頭竜(くずりゅう)ダムは福井県大野市長野(旧大野郡和泉村)の地に、洪水調節・発電利用を目的として1957年(昭和32年)北陸電力株式会社と電源開発株式会社が競願する形で電源開発計画、鹿島建設が施工業者となって1962年(昭和37年)建設に着手され1968年(昭和43年)に完成した。総貯水容量 353,000,000平方メートル、有効貯水容量 223,000,000 平方メートルで認可出力は220,000kW。ダム湖の名は九頭竜湖、形式は傾斜土質遮水壁型ロックフィルダムであり堤高128.0 m 。日本には日本各地のダムを見て歩くのが大好きなダムファンがいて、電源開発が発行するカードを集めてよろこんでいる。河口から川を道沿いに遡(さかのぼ)りダムに至る旅は、水の流れと逆コースであるが、これがまた楽しいドライブになる。九頭竜ダム周辺は紅葉の名所であり、それは同時に夏を豊かな緑で彩ることになり、私が旅したのは7月中旬であった。九頭竜ダム建設にからんでは福田康夫首相と民主党小沢一郎代表の連立構想を裏で仕掛けた元総理と新聞社大物が水没家屋の補償交渉のための資金工作を水面下で行っていたとされ、これはまた保守政党の総裁選挙に端を発した汚職事件として摘発された。このことを描いたのが石川達三の小説『金環蝕』(きんかんしょく、1966年刊)であり山本薩夫監督のもとで映画化された(1975年公開、大映製作)。そのような歴史を知ってか知らずか水は清く澄み、若い世代の人々はその水に心を癒しているのである。(写真と文章は旅行家 甲斐鐵太郎)

 


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