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日本計量新報 2008年8月10日 (2736号)

日本列島ぶらり旅

夏の祭り気分が盛り上がる
富士山5合目の賑わい


夏の富士山は祭りだ。夏の間に富士登山をする人は20万人とも30万人ともいわれ、富士山5合目まで自家用車や観光バスででかける人を含めるともっと多くなる。

富士登山は吉田・河口湖口、須走口(本8合目で吉田・河口湖口と合流)、富士宮口、御殿場口のコースがあって5合目までは車で行く。混雑時期にはマイカー規制がかかるので、出かけるときは地元役所や交通機関に問い合わせて確認しなければ出直しを余儀なくされる。

標高2300メートル地点にある富士スバルラインの富士山5合目は休日はごった返しており、屋台で焼かれる焼きそばと売店のアイスクリームがよく売れる。空気がスカッと澄んでいて富士山頂を仰ぎ見ることができるこの場所は、晴れていると人を祭り気分にさせる。

富士山は外国人に人気のある観光地なので、登山者の1割ほどは外国人である。日本人でも小学3年生程度の年少者を連れた家族登山が目に付き、一家の主(あるじ)は「頑張れ、頑張れ」と声を出して高山病で苦しむ奥さんやへばっている子供を激励する。

7合目から8合目にかけての溶岩の急登を足の力の限りを尽くして登ると、その先はガタガタになっている。少し歩いては長く休むということになり、このへんで登頂を断念して引き返す人がいる。雨や風や寒さへの防御をしないで登頂を試みる人が少なくないので、頂上まで行くぞと思って出発した人の5割ほどは引き返すことになるという書き物もある。

吉田・河口湖口からは登りに6時間、下りに4時間であり、これに休憩時間を合わせた時間が富士登山となる。

7月20日の晴れた日に、私は午前7時に5合目を出発して午後8時にここに戻ってきた。踏ん張らず、頑張らず、空気の薄い場所で呼吸が苦しくならないようにそっとそっと登っていると、ガーッと先に行った外国人や家族連れといつの間にか抜きつ抜かれつの行程となっている。頑張らず、踏ん張らずに登るのが富士登山のこつであるようだ。

写真は吉田・河口湖口富士山5合目の賑わい。

(写真と文章は甲斐鐵太郎)


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