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日本計量新報 2009年3月22日 (2766号)

産総研
温度の基準、不確かさ軽減へ

新たな国家標準に向けて前進

 温度の基準は?と尋ねられて「氷点を0℃、水の沸点を100℃」と思う人は、いまだに少なくないかもしれない。現在は国際温度目盛(ITS−90)が定められており、「水の三重点」の温度を基準としている。単位は「ケルビン(K)」。「水の三重点」とは、水が固体・液体・気体の三相が共存する熱平衡状態にある点。真空中に氷水を置いて放置した状態をイメージすればよい。水の三重点の温度は273・16K(0・01℃)と定められている。そして今、この温度が、(独)産業技術総合研究所(産総研)の研究により、さらに正確な値に書き換えられようとしている。

左から、「水の三重点セル」と水の状態線図」、丹波純氏


より確かな273・16K,(ケルビン)へ
温度の基準「水の三重点」の不確かさを低減

計測標準研究部門温度湿度科高温標準研究室室長(つくばセンター) 丹波純

温度の単位の定義

 かつて温度の基準は、「氷点を0℃、水の沸点を100℃」としていましたが、1954年以降は、より正確に定義できる「水の三重点」の温度が基準となっています。メートル条約のもとで決議された「国際単位系(SI)」において、温度(熱力学温度)の単位はケルビン(記号K)とすること、そしてケルビンは「水の三重点の熱力学温度の273・16分の1である」と定義されています。言い換えると、水の三重点の温度を 273・16 K(0・01℃)としているのです。
 この定義に基づいて、各国の国家計量機関は、図に示すような「水の三重点セル」を用いて、水の三重点の状態(固体、液体、気体の三相が共存する熱平衡状態)を作り、温度の基準を維持しています。
 ところでその「水」ですが、構成元素である水素と酸素には同位体(1H・2H・16O・17O・18O)が存在し、同位体組成が異なる水は、三重点の温度も異なってしまいます。しかし、温度の基準となっている「水の三重点」の「水」について、これまでは「天然に存在する同位体組成の水」としか定められておらず、明確な数値は与えられていませんでした。 (5面につづく)

日本計量新報 2009年3月22日 (2766号)

志木市 鉛なし水道メーターに
全給水世帯に取り付け完了

 埼玉県志木市は、有害な鉛を含まない水道メーターを全給水世帯に取り付けた。

同市で使用しているのは、(株)金門製作所の「エコメーター」。鉛を使用しない銅合金によるメーターで、水道法で規定されている飲料用水道水の鉛含有量基準(1リットル当たり0・01ミリグラム以下)を大幅クリア。外面塗装をしないことから、有機溶剤などの有害廃棄物も抑えられる。

2003年4月に水道法が改正され、飲料用水道水の鉛含有量基準が「1リットル当たり0・05ミリグラム以下」から「1リットル当たり0・01ミリグラム以下に改正された。

志木市水道部ではこれを見越し、2000(平成12)年のメーター交換分から順次「エコメーター」に切り換えてきた。

メーターの単価がやや割高のため、当初は導入する自治体が少なかったが、ここ数年は、安全安心を求める世相を反映し、鉛を含まないメーターが主流になってきている。

なお、同市では鉛なしメーター交換後も、各世帯のメーター使用料金の変更は考えていない。


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