多くの食品現場で活躍
手軽に測定できて水洗いも可能
食品から医療、工業目的まで
糖度計は、光の屈折の原理を応用した屈折計の一種である。
屈折計は、光の屈折率をもとに糖度目盛りや食塩濃度目盛といったさまざまな目盛が刻まれ、使用目的や使用分野によって「糖度計」や「濃度計」というように名称が変わる。
屈折計自体は、食品測定・油脂測定を始め、製薬・臨床実験などの医療現場や、石油製品・化学製品原料・処理用薬品といった工業目的まで、幅広い分野で活用されている。
糖度計は食品の糖度を測定
屈折計の中でも、糖度計は、主に食品の糖度を測定するための計量器である。
糖度とは「甘さ」であり、たとえば果汁100%の中に糖分が何%含まれているかを表わす数値である。百分率なので単位は%となる。果物の甘さでは「度」と表すこともある。
糖度計の測定表示値は、ブリックス(Brix)で表示される。これも単位は%であり、果物の糖度の表示には「度」という表示も用いられる。
糖度計導入のメリット
糖度計を使用することによって、個人の味覚だけに頼らず、客観的に「甘さ」を知ることができる。糖度は食品のおいしさを決定する重要な要素であるため、糖度計で甘さを計ることによって、品質の安定を維持することができる。
また、誰が測定しても同じ値が得られるため、個人誤差がなくなるというメリットもある。
幅広い分野に貢献
糖度計で測定できる食品は多岐に渡る(図A)。そのため、果実栽培、養蜂、食品製造、果物店、製菓店、保健所の栄養指導など、使用現場も幅広い。
たとえば、製菓店では、商品の味を常に一定に維持したり、材料の甘さを測ってトータルな甘さを演出するために糖度計を役立てている。また、店頭に並ぶ果物や野菜の甘さを数値で表示する果物店も増えている。
誰でも測定できる簡便さが魅力
分析作業には熟練した技や長年の経験が必要なものもあるが、糖度計の使い方は簡単なものが多い。特に反射式(デジタル屈折計)は、使い方を覚えれば誰が計っても同じレベルの分析ができるのも魅力のひとつ。
多くのデジタル糖度計が、(1)試料を1〜2滴プリズムに滴下し、(2)測定ボタンを押すだけで計ることができる(図B)。
アナログ式屈折計は、電池の消耗を気にすることなく、いつでも計りたいときに素早く計れるのが特長。自動温度補正を採用した機器もあり、熱いままのつゆやスープの濃度を簡単に計ることができる。
食品を製造する現場で使用することが多いため、
(1)測定時間が早い
(2)見やすい表示部
(3)水で丸洗いできる防水設計
(4)左右どちらの手でも操作可能
といった特長を備えるものが多い。
糖度計の原理
光の屈折を応用
湯のみに水を入れて、箸をその中に挿入してみると、箸の先は曲がって見える。次に湯のみの中に濃い砂糖水を入れてみると、箸の先は水のときよりも更に曲がって見える。これが光の屈折という現象である。
糖度計(屈折計)は、この光の屈折という現象を応用した測定器で、物質の密度が高くなると(例えば水に糖分がとけ込んでいる状態)、その屈折率も比率的に上昇するという原理に基づいている。
糖度計(屈折計)には、透過式(アナログ屈折計)と反射式(デジタル屈折計)の2方式がある。
▲ (図1)透過式 ▲(図2)反射式
■透過式
アナログ屈折計をモデルに説明する(図1)。
<CODE NUMTYPE=SG NUM=8328>プリズムは試料液よりもはるかに大きな屈折率をもっており、このプリズムと試料液との界面で起こる屈折現象を利用して測定が行なわれる。
<CODE NUMTYPE=SG NUM=828B>薄いサンプルのときは、プリズムとの屈折率差が大きいので屈折率は大きくなる(A)。
<CODE NUMTYPE=SG NUM=9C2F>濃いサンプルのときは、プリズムとの屈折差が小さいので屈折率は小さくなる(B)。
■反射式
デジタル屈折計をモデルに説明する(図2)。
プリズムの左下から入射した光Aは界面で屈折してサンプル側へ抜ける。同じく光Bは界面で屈折してプリズム面に沿い右へ進む。そしてBよりも入射角が大きい光Cはサンプル側に屈折できずプリズムの右下に全反射していく。
したがって、図2においてB' 線を境に明暗の境界線が生じる。この境界線の反射角の大きさはサンプルの屈折率に比例するので、センサーで明暗の境界線の位置を捕えて屈折率に変換している。
|