突然気温が上昇する時期に注意
高齢者や乳幼児のいる家庭はこまめな温度チェックを
従来、熱中症は、高温環境下での労働や運動などで多発していた。
しかし、ヒートアイランド現象や温暖化の影響による熱ストレスの増大もあって、最近では日常生活においても発生が増加している。
また、熱中症は、真夏の猛暑日ばかりに発生するわけではないことに注意を要する。
近年では約5千人にのぼる年も
熱中症とは、高温環境下で体温の調節機能が低下するなどして、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ発症する障害の総称で、最悪の場合は死に至る可能性もある。
国立環境研究所の調べでは、熱中症患者が出る5月1日から9月30日の間、全国主要都市で救急車によって搬送された熱中症患者の数を見ると、04年は1787名、05年は2691名、06年は2805名、07年は5102名、08年は4934名。09年は2824人と大幅に減少しているが、夏の前半が冷夏だったためである。ただし、09年も急に気温が高くなった日には、熱中症の救急搬送者が増加している。
暑さに慣れない時期や屋内にも注意
熱中症は、梅雨の合間に突然気温が上昇した日や梅雨明けの蒸し暑い日など体が暑さに慣れていないときにも起こりやすいことが確認されている。
また、屋外だけでなく、屋内で発症する場合も。室内での家事、飲酒、店番などでも発症している。
熱中症は、非常に暑い環境下でのみ発生するわけではない。
温度計や指数計で熱中症を防止
熱中症は、注意すれば必ず防げるものである。暑い日中は外出を避けて、日陰の風通しの良いところで過ごす。水分はこまめに補給する。
特に、高齢者や乳幼児に注意が必要。体温調節機能が低下している、または未発達なためである。高齢者や乳幼児のいる家庭では部屋に温度計を設置し、こまめに部屋の温度をチェックする。
最近では、熱中症予防の目安である「WBGT指数」を手軽にデジタル表示する指数計が、求めやすい価格帯で各社から発売されている。仕事などで、日中の屋外や屋内でも高温、多湿な環境下で作業しなければならない場合、また学校行事やスポーツなどを行う場合、目安となる「WBGT指数」を簡単に測ることができる指数計を用いて熱中症の防止に努めることが望ましい。
WBGT指数とは、Wet Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略で、ISO7243/JIS Z8504で規定されている作業者の熱ストレス(暑熱環境)の評価に使用される指数。湿球温度、黒球温度(輻射熱)、乾球温度からの算出される、体感温度のひとつである。
|