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食品製造現場で活躍する温度計測機器

特集記事 製品紹介

冷凍から加熱まで
過酷な環境下の使用に

梅雨の時期を迎え、連日蒸し暑い日が続くと、食中毒の発生を抑えるため、調理中の食品にちゃんと火が通っているか、適切に保管されているかなど、食品を扱う事業者は注意を要する。
 最近は、食品の鮮度を長く保つためのチルド輸送などが確立し、全国のコンビニやスーパー、一般の商店で、いつでも美味しい食品が買えるようになった。
 食中毒を防ぐため、また、新鮮な食品を提供するために欠かせないのは、「温度」をしっかり管理することである。
 食品製造の現場で必要とされる温度域は、下はマイナス50℃くらいから、上は200℃ちかくまでと幅広い。これは特殊な例ではなく、たとえば鮮度を保つために極低温で瞬間冷凍した食品を解凍して油で揚げるといった、ごく普通に見られる光景である。
 0℃を挟んで250℃もある温度差を、人間の勘だけにたよって管理・制御することは不可能であり、現代の食品の管理手法にも適合しない。現在はフードチェーンで食品安全のトレーサビリティシステムが導入されており、安全の担保となる温度管理を疎かにはできない。だれもが精度良く簡単に正確な結果が得られる温度計を使うことが望ましい。

さまざまな性能を持つ食品向け温度計

食品製造現場に求められる機能は、温度計としての基本性能、精度のほかに、サニタリー性を保つための高い防水性、防塵性や、固い床などに誤って落としたり、多少乱暴に扱っても壊れない堅牢性、鍋やフライヤーなどの高熱な機器、業務用冷凍庫内の極低温環境でも平気な耐熱性、また、忙しい調理現場などで作業の妨げにならない操作性の良さなど。さらに、それぞれの性能が高い次元で実現されることが要求される。

シーンに合わせた温度計測機器を

生物的ハザードの原因である微生物の死滅や増殖防止のための管理手段として加熱温度、冷却・冷凍温度の管理があり、現場では、さまざまな温度計・装置が活躍している。
 加熱装置、冷却・冷凍装置自体に組み込まれている温度コントローラ、作業者が携帯して、必要なときに測温作業ができるポータブルタイプ、そのほかコンベア上を流れる食品や、トラックの荷台、コンテナ、運搬ケース等の温度管理まで可能にする最適な温度計測機器が揃っている。

加熱工程での温度測定

細菌等の発生を防止・除去できる温度と加熱時間を、管理基準として設定する。ただし、商品である以上はおいしさも確保しなくてはならない。確保可能な管理基準内で実現できる温度を適正加熱温度と呼んでいる。
 レトルト食品などの加工食品には、製造工程のなかで、加熱工程後の食品を充填包装後に再度殺菌のため加熱する「二次加熱」の工程がある。加熱工程では、温度の変化を逐一記録する自記式温度計や温度データロガーが採用される。食品内部の温度を測定するためには、鋭い針状のプローブを持つ中心温度計、非接触で表面温度を確認できる放射温度計などが利用されている。

冷蔵・冷凍分野でも活躍

温度計は、低温の温度管理にも欠かせない。中でも高精度な測定機器を用いた温度管理が必要な現場として、氷温食品の製造や低温物流などがある。

■氷温食品

「氷温食品」とは、0度からものが凍り始める氷結点までの「未氷結温度域」で貯蔵や加工を行う食品のこと。水は0℃で凍り始めるが、ほとんどの食品は0℃で凍らず、それぞれに固有の氷結点を持つ。凍る一歩手前の温度を保つことで、(1)呼吸代謝が抑制されて鮮度保持が可能となる、(2)0℃以下のストレスにさらされることで、細胞の事故防御機能が作用し、アミノ酸等のうまみ成分を含む不凍液が蓄えられて熟成が進む、(3)低温により有害微生物が減少し衛生状態を良好にできる、などの効果がある。
 近年「氷温食品」は、加工食品から米や野菜、果物、魚にいたるまで品目を急増させており、商品開発も急速に進んでいる。
 製造、開発工程では、凍る一歩手前の温度を厳密に保つことが必要であるため、高精度な温度測定機器を用いて温度を管理している。

■低温物流

食品の輸送・保管でも温度管理は重要である。低温化により品質を維持する目的で行われる物流を特に「低温物流」という。低温域の温度帯は、冷凍・冷蔵・低温に大別され、さらに商品群により細かく分かれる(下図参照)。

冷凍マグロなどは、倉庫業法でいうF3級(注)以下という区分でマイナス40℃以下である。同様にアイスクリームはマイナス25℃以下、調理冷凍食品類はマイナス18℃以下である。乳製品・練り製品・食肉などは特に温度管理が難しいとされるチルド帯(マイナス5℃からプラス5℃)で管理されている。

食品の鮮度を保つため、食品に適した温度管理が徹底されている。

(注)営業冷蔵倉庫の保管温度帯を示す等級。

 

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