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新しい技術でマーケットを切り開く


古川 陽

(株)エーアンドデイ 代表取締役社長

vol.2

日本計量新報 2008年3月23日 (2716号)2面掲載

次世代の計測制御技術が見えてきた

説明する古川社長自動車関係の開発で、われわれは基礎技術、次世代の計測制御技術が見えてきたと感じています。
 当社の技術開発は、計量・計測から制御、そして解析からシミュレーションへという流れになっています。これを産業の高度化対応で車の開発ツールをつくってきました。今年はこの分野をぜひとも花咲かせたいと思っています。
 つまり、基礎的な計測・計量をベースにして、より高度な制御技術にすることにより、新しいマーケットを切り開いていくということです。生体情報、メディカル分野などへも応用できます。

開発技術を一般計量器へ拡張

この車関係で開発した技術をどこまで、一般的な計量器や試験機に拡張できるか、というのがもう一つの課題です。今年はこの方面で新製品を出していきます。
 われわれはツールメーカーですから、産業界へいかに良いツールを提供していくかということです。適合支援計測ソフトウェアを開発していますが、これも大きく見るとものづくりの世界です。メーカーの特徴を活かした方向をとっていきます。エー・アンド・デイという会社はものづくりの会社ですから、そこを基本にして、産業の高度化に対応したツールを提供していくのが使命だと考えています。
 計量・計測が基礎技術ですから、それを基盤技術としてその上に、たとえばはかり、メディカル、試験機、車の開発ツール、半導体などの分野の技術があります。これらはアプリケーションです。アプリケーションというのはマーケットですから、この基盤技術のうえにどのくらいアプリケーションを開発できるのか、どのくらいのマーケットに入っていけるのかということになります。

グローバルに対応できるかがカギ

もう一つのキーワードは、グローバルに対応できるかどうかということです。国内だけでビジネスが成り立つというだけではなくて、国際競争力がないとこれからは成長できません。
 もともと計量計測というのは地味な産業で、巨大なマーケットではありません。しかし、マーケット規模の割には高い技術力が要求されます。その面では、グローバルに生きていかざるを得ません。
 エー・アンド・デイは2007年に創立30周年を迎えました。アメリカの現地法人も25周年です。つまり、創業5年目で海外現地法人を設立したわけで、グローバルな視点は創立時より変わりありません。


次の成長曲線に乗る

基盤技術が見えてきた

エー・アンド・デイは1977年に創立しました。創立後13年間は会社の業績は順調でした。その後の13年間が新技術を開発するために苦しんだ時代です。そして、4年ほど前から基盤技術がある程度見えてきまして再成長が始まりました。

世の中にはS字カーブがある

世の中にはS字カーブというものがあり、最初は急成長する。それから成長が止まる時期があります。その後、再成長できるか、落ち込んでいくかに分かれるわけです。
 会社を見ていますと、ベンチャーで事業がうまく当たる会社と当たらない会社があります。エー・アンド・デイは、ベンチャーで始めて、メディカル関係とはかり・天びん関係の事業がうまくいき、そして成長カーブを描くことができました。しかし、次の新しい成長曲線にどう持っていけるかが重要です。
 一般的にいって、昭和20年代、30年代に成長してある程度の規模の会社になり、そこから脱皮できていない会社がけっこうあります。脱皮した会社は新しい成長曲線に乗れるわけです。
 計量計測器メーカーは売上が数百億円規模まではいけると思います。しかし、その次がないと成長できないと思います。

DSP技術応用の新製品開発

エー・アンド・デイは、ちょうど次の成長曲線に乗れるかどうかという位置にあります。センサー技術とDSP技術(高速デジタル信号処理技術)で、新しい成長曲線に乗るようにがんばっていきます。車、ロボット、航空宇宙関連のマーケットを開拓していきます。その他の分野でも、基盤技術を基に新製品を開発していきます。

−−既存分野はどうですか。

はかりの分野では、今はフィーダーなどで制御が重要になっています。ラインでの計量・制御、これなどももっと伸ばしいていきたいと思います。制御技術を持っているのがエー・アンド・デイの強みですから。DSP技術を組み込んで、一クラス違う制御ができます。制御・解析・シミュレーションというかたちで捉えている会社はまだまだ少ないですね。

そういうことをわかっていただくことも重要ですね。モデル制御というのは予測制御、シミュレーションですから。このあたりが理解されるとともに売上も上がってくると思います。

日本の企業は戦前からの歴史がある会社と、戦後に昭和30年頃までに設立された会社が圧倒的に多いのです。エー・アンド・デイは最後発の会社です。

したがって、あとで紹介します粘度計のように微量ではかることができるといった差別化した製品や特殊な分野からしか参入できないということがあります。これは後発メーカーのつらさです。

ある会社がいったんシェアをとると、後発企業がそれをひっくり返すことはかなり大変です。よほど新しい差別化商品を開発するなどしないとね。つまり、そういう差別化商品を開発していく必要があります。

流通の形態も変わりましたね。こういったことにも対応していきます。

血圧計も、単に血圧をはかるのではなくて、動脈硬化をより正しくはかる方向にいきます。そのためには血圧の分野でも解析・シミュレーションが必要になってきます。

−−血圧計はロシアで好調ですね。

ロシア市場は安定的に成長しています。


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