日本計量新報 2009年2月22日 (2762号)2面掲載
安全・環境関連製品を開発・投入する
はかりは経済活動に必要な製品
−−クボタの今後の取り組みはどうなりますか。
はかりは、経済活動を支える基礎的な製品であり、決して不要となることの無い製品と考えています。
顧客が求める製品を供給
従来通り、お客様の声を聞き、お客様から求められる仕様の製品を、市場に供給していくことが唯一の方策と考えています。
はかり.netでお客様の声を反映
お客様の声を聞く仕組みの1つとして、クボタでは、「はかり.net」のサイトを立ち上げています。
「はかり.net」に登録いただいた会員の方々に対して、毎月、製品関連情報と共に、最新の技術動向や法規制の解説や改訂内容の説明等を配信させていただいています。
現在、会員数も5000名を超えており、好評を得ています。このサイトを通じて、多くのご意見をいただいており、お客様の要望を知る有益な情報源となっています。
このほかコールセンターやお葉書を通じてもお客様からご意見をいただいていますので、これらのお客様の声を、製品の改良や新製品の開発に活かしていきたいと思います。
新製品開発や海外でのサービス体制強化はかる
お客様の声として、安全・環境・品質といった目的のための設備投資の要望が増加してきており、これらの目的に沿った製品を開発し、市場に投入していくことを考えています。
また、お客様の海外進出に対応した、海外でのサービス体制の強化にも取り組んでいきます。現在、上海を拠点に中国で体制を構築していますが、さらに強化していくつもりです。
省エネと有害物質削減めざす
環境対応製品を開発
−−クボタの新製品・新技術を紹介してください
台秤KL−100NXシリーズは、「クボエコシリーズ」として、省エネ(アルカリ電池で2000時間=電池廃棄量の削減)、有害物質である鉛、カドミウム、水銀、六価クロム等の削減といった環境対応をテーマに開発を行いました。
今後の新製品についても、全て、同様の省エネと有害物質の削減を目指していく予定です。
0・1mmの黒点異物を検知
一昨年夏に、従来の樹脂の異物選別機をより高精度にグレードアップさせたプラトンUを発売させていただきました。
樹脂に混入する0・1mmの大きさの黒点異物や異色粒を高精度なラインセンサカメラと高速応答の排出機構の採用により、高性能な選別を実現しました。
従来の質量計測技術とは異なる技術ですが、より高度な技術に挑戦していきます。
この製品は、高品質を追求する日本企業のDNAに合致した製品と考えています。
防爆台秤を一新
昨年秋には、防爆台秤シリーズを一新しました。防爆地域で安全確保に加え、熟練技能者の減少による品質確保の要求が高まってきています。
本質安全防爆台秤には、計量データを保存し、非防爆地域に持ち運べるデータキャリアをオプション装備しました。品質管理の向上にも役立つと考えています。
また、電源も従来機種のマンガン電池6本から、アルカリ電池2本で使えるように変更し、環境への対応にも取り組んでいます。
耐圧防爆台秤もFC−EXシリーズをより高性能、高機能にモデルチェンジをし、品質向上に貢献できると考えています。
社会が必要としている製品を愚直に供給
利潤への欲望が引き起こすバブル経済
−−現在の経済状況をどうとらえていますか。
人間には、利潤に対する欲望があり、より楽をして多くの利潤を得たいという欲望がバブル経済を招きました。このような状況と、実際に社会が必要としているものを、知恵と汗を出して供給して利潤を得るといった通常の経済活動との乖離が大きくなりすぎて、バブル崩壊が起こっていると思います。
昔であれば侵略戦争に発展していたのではないかと思いますが、人間の利潤に対する欲望が無くならない限り、繰り返されるのではないかと考えます。
計量・計測機器の開発・供給が使命
通常の経済状況に戻るのに、1年で戻るのか、数年掛かるのかは不透明な状況ですが、われわれは、計量・計測機器を通じて、社会が必要としている製品を、知恵と汗を出して、開発・生産し、市場に供給することが使命であり、愚直に、これを推進していきます。
もちろん、市場環境の変化により、社会が求める製品の用途や仕様が変化することとはなりますが、これらを着実に製品に反映することに努めていきます。
適正計量の確保と国際整合性の実現に寄与
適正計量の実施確保に懸念
−−最近の計量計測をめぐる状況へのお考えを。
わたしは日本国内の計量行政の将来に、懸念を持っています。
日本では、戦後、各地の計量検定所、計量検査所などの計量担当部署を核として、「適正な計量の実施を確保」してきたと思います。
しかし、この数年、地方自治体の財政状況に格差が生じ、それに伴い、各地の計量検定所などの計量担当部署の対応力にも格差が生じてきていると感じています。
このままでは、近い将来、「適正な計量の実施を確保」することの状況に、地域によって、差が生じてくることが予想されます。
国際基準準拠の国内基準の整備を
また、国際基準との整合性の問題で、欧州を中心として、計量に関する規格、基準が整備されてきています。中国をはじめとする東南アジアの国々も、この国際基準に準拠した国内基準を整備しつつあります。
一方、日本では、従来からの規格や基準があり、東南アジアの諸国から日本を見れば、日本だけが独自のルールで対応している遅れた国になってしまうことが懸念されます。
計量業界の一員として、国内の適正な計量の確保と国際整合性の実現にも、寄与していきたいと考えています。
−−ありがとうございました。
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