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10年先見据え、技術開発進める
宮下 茂

長野計器(株) 社長

vol.2

日本計量新報 2011年1月1日 (2852号)4-5面掲載

第2四半期決算で売上37・3%増

−−長野計器の業績はいかがでしょうか。

今年度は好調に推移しています。2011年度3月期の第2四半期決算では、当社グループの主要需要先である産業機械・プロセス業界への売上が順調に回復しています。
 特に、前期設備投資の抑制や在庫調整により低調だった半導体業界、建設機械業界や空圧機器業界の生産回復に伴う需要が増加して、売上は大幅に回復しました。売上高は194億7400万円(前年同期比37・3%増)となっています。
 営業利益は7億1800万円です。急激な円高の進行で1億7500万円の為替差損が出たため、経常利益は4億7900万円です。
 したがって今期は計画通り推移していますが、円高の進行などで先行きの不透明感が増しています。


宮下茂

新しい技術の開発を

そういう状況の中で、長野計器は、経営資源を集中して、5から10年先を見据えて、技術開発、製品開発を進めています。
 今後成長が著しく期待できるのは自動車産業、そして航空機関連です。自動車関連がなぜそうかといいますと、エンジンにしてもトランスミッションにしてもブレーキにしても、今までの延長線上にはない。すべて、機構・構造が変わります。
 それはグリーンイノベーション関連での二酸化炭素や窒素酸化物の削減であるとか、省燃費で、新しい技術・機構が要求されているからです。

一挙に電気自動車にはならない


今、電気自動車が話題になっています。いずれは電気自動車の時代が来るでしょうが、しかし、すぐにではありません。
 現在の電気自動車は、まだまだ高コストで価格も高いが、いくつかの問題点を克服し、量産化が進めば加速的に価格が安くなり本格的な普及に繋がると思います。
 電気自動車の課題のひとつとしては、1回の充電での走行距離が不十分なうえ、充電設備のインフラも未整備であることが挙げられ、軽量で高性能なバッテリーの開発が急務となります。自動車会社も、これまで膨大な金額を投資してきた化石燃料の自動車の生産ラインを、新しい電気自動車の生産ラインに切り替えなくてはならず、膨大な投資が必要になります。将来、電気自動車が本当に普及するためには、まず、これらの課題をクリアーする必要があると思います。

新しい技術が求められている


電気自動車への移行は、段階的に進んでいくでしょう。今しばらくは、化石燃料でありガソリンを使った自動車やディーゼル車、ハイブリッドカーが主役です。そうかと言って、先ほど述べたように、従来と同じ機構とは違って、二酸化炭素や窒素酸化物の削減や省燃費を実現するものでなくてはなりません。このための技術開発、製品開発が求められていいます。エンジンはもちろんのこと、トランスミッションやブレーキなども大きく変わっていくことでしょう。
 この変化に対応する開発を長野計器は最重要課題としています。自動車の信頼性や安全に関わる開発ですから、2年から3年はかかるでしょうが、将来にわたり大きな市場となるでありましょう。


企業の社会的責任果たす


−−長野計器は、長野県で行政の雇用対策に協力されていますね。

昨年の10月1日現在で、大卒者の就職内定率は57・6%と過去最低を記録しましたね。長野県では高卒者の内定率は昨年10月末で65・8%でした。深刻な状況です。
 深刻さは前年も同様でして、県からの要請もあり、2010年、長野計器は4月1日の入社式のわずか2日前に、5人の高卒者を採用しました。
 長野計器はこれを、企業の社会的責任(CSR)を果たす方針の一環であると位置づけています。採用した高卒の人たちは実に優秀です。
 私は、大卒者でも、早くに内定が決まった人たちよりも、内定がなかなか取れずに苦労して入ってきた人の方が優秀だと思っています。これだけの厳しい状況をくぐり抜けてきていますから、腹が据わっています。


−−読者へのメッセージをお願いします。

インターメジャーに5万6000名が来場


 (社)日本計量機器工業連合会会長として、一言申し上げます。当会が昨年11月に開催しました「INTERMESURE2010(第24回国際計量計測展)」に大勢の方が来場されました。今回は、「JIMS2010(第5回総合検査機器展)」と「センサエキスポジャパン2010」と共同で開催し、合計で5万6000人を超える方に来場いただきました。厚くお礼申し上げます。
 こういう先行きが不透明なときこそ、計量計測機器のメーカーの団体である計工連が力を発揮すべき時であると考えています。先程来述べています、グリーンイノベーションやライフイノベーションでの技術革新を大いに進めていきたいと思います。


100年先を見よ


 日本の進路に関して一言。与党、野党を問わず、100年先を考える政治家が現れてほしいですね。今は、日本のすべての制度が疲弊してきています。これらを根本から見直さなければならない時期に来ています。今までの延長線ではいけません。接ぎ木ではダメです。


出でよ佐久間象山


福無量

「100年の計」といえば、長野計器の発祥の地、長野県に「佐久間象山(さくましょうざん)」という偉人がいます。
 皆さん、名前はご存じでしょうが、松代藩士、幕末の兵学者・思想家で、洋学の第一人者です。文化8(1811)年の生まれですから、今年、生誕200年になります。
 長野県の酒造が造った「福無量(ふくむりょう)」というお酒のラベルに、佐久間象山の書が記されています。「福無量」は私が愛飲しているお酒です。
 象山の直筆で「酣中在真楽」と書いてあり、銘が添えられています。「酣中在真楽」とは「たけなわに真の楽しみあり」という意味です。
 象山は、老中となった松代藩主真田幸貫から海外事情の研究を命じられて、天保13(1842)年に「海防八策」を上書しています。元治元(1864)年には、幕府の命を受けて上洛して開国論を主張しましたが、尊皇攘夷派によって暗殺されました。
 昨年、NHKの大河ドラマ『龍馬伝』が評判を取ったのは、国民の間に「百年の計」をはかる政治家への待望があったからでしょう。私は「佐久間象山」はそうした人物の一人だったと、わが故郷の偉人を誇りに思っています。出でよ第2の佐久間象山です。


−−ありがとうございました。


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