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日本計量新報 2008年5月18日 (2724号)より掲載

私の履歴書 鍋島 綾雄  

日東イシダ(株)会長、(社)日本計量振興協会顧問、前(社)宮城県計量協会会長

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12 マージャンの思い出 2740号

 しかし、マージャンの付き合いが縁で仙台へ来るに際してはMさんに大変助けられた。

 亡くなった日東度量衡の社長の弟さんとMさんが友達だったので、遺族の方から日東の株を譲ってもらうに際してMさんが仲介の労を取ってくれ、お陰で交渉が極めて円満且つスムーズに成立した。

 釧路の千葉征良さんもマージャンが好きだった。私が行くと釧路支所長のNさん、市の検査所長のYさんが集まって来て千葉さん宅でマージャンが始まる。千葉さんの奥さんがとても面倒見のよい方で周りから「母さん、母さん」と大変慕われていて、私も大変お世話になった。釧路へ行くたびに千葉さん宅に泊めて頂いたが、ある冬の朝起きてみると布団カバーの襟元に私の寝息が凍り付いて霜のようになっているのにはびっくりした。

 当時、釧路〜函館間の急行列車は夜830分に出る『まりも』一本だけだった。それに乗り遅れると翌日の夜まで列車は無い。北海道の人はのんびりしたもので、もう一日泊まって行けという。

 あるとき時間ぎりぎりで釧路駅に行き、財布がないことに気がついた。切符は往復切符を買ってあるので汽車には乗れるがポケット中を探してやっと駅弁が一つ買えるくらいの小銭は出てきた。千葉さんのところへ引き返したのでは又一日延びてしまう、ままよと列車に飛び乗った。翌日の夕方青森に着くまで20時間、駅弁一つで我慢し、後は水ばかり飲んで飢えを凌いだ。青森の西衡器さんまで漸く辿り着いて訳を話して5000円をお借りし、夜中の11時半に目的地盛岡について旅館に泊まることが出来た。

 

(つづく)

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