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日本計量新報 2008年8月24日 (2737号)

金の切れ目は縁の切れ目で金のない団体には内輪もめが起きる

税収があがったためにその使い道に困り、どんな要求にも予算をつけて税のばらまきをしていた時代があった。
 しかし、税収があがらなくなると、これまで予算がついていた事業に予算がつかなくなり、その事業は小さくなるか止めになる。現在の国と地方公共団体の予算運営は、ばらまきが逆転して必要な事業にさえ予算がつけられなくなっている。国が儲けて地方公共団体に配当をしていた時代から、配当がないどころではなくその事業を止めろいう事態になっている。
 計量行政の予算が年度を追うごとに縮小しているため、ひどい地方公共団体になると、ハカリの定期検査実施の指定機関がその事業を運営できないほど予算を削って平気でいるところがある。指定機関になっている計量協会も責任を感ずることができない役員たちが多く、その役員のあいだで役職を争って内輪もめをしている状態である。役所から降りてきた事務局長は、予算がない仕事はできないし、そのような事態になった責任は自分にはないとばかりにさっさと退職してしまう。これでは職務放棄と同じである。「金の切れ目は縁の切れ目」という言葉を地でいくようなことが事実として発生してしまう。
 計量協会は計量検定所と表裏一体で活動してきた。検定所の運営費が予算削減で逼迫したため、いろんな名目でつけられていた「計量思想普及・啓発」関係の事業推進の財源を削りつづけている。計量器の検定証印関係の証紙販売などで1名ほどの事務局員の人件費がまかなえたのは昔のことで、メーカー検定が実施できる法体系になってからは、役所から舌りてくる事務局員の居場所はほとんどなくなってしまった。ある県ではその経費が削減されたために職員が自ら職を辞し、その県の計量関係企業の社長が代わって事務局の仕事をするようになった。別の県でも2カ年計画でこの種の予算をゼロにする。
 「金の切れ目は縁の切れ目」ではないが、穏やかな老人たちの集まりであると思われていた計量協会その他の計量関係団体であるが、事業費と十分な働き場の減少のために人間関係がぎすぎすしてきている。上手に歳をとる人ばかりではないのが世の中であり、疑心暗鬼の猜疑心ばかりが増幅して、取るに足らない些細なことを取り上げて人と組織を中傷し、それを周囲に宣伝する馬鹿がいる。
 老人の独り合点な恨み言による吹聴に踊らされて、同じ内容を記した怪文書を関係組織の重要人物たちに電子メールで発信しつづけた人がいて、組織を大きく動揺させるという事実が幾つかの団体であった。そのように暗躍した馬鹿者は、やがては自らその組織から離れなくてはならない事態になったし、根も葉もないことに同調した幾人かの馬鹿者も、その後重要な役職に就くことができないことは当然である。
 老醜をさらけだす前に上手く身を引くのは、人生のこつである。


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