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特集・ストップ過積載(2)

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安全な輸送環境を実現する計量計測機器

過積載が重大事故につながる

タイヤ脱落、車両横転などの重大事故は、設計不良、ボルト欠損、タイヤのパンク、締め付けトルクのばらつき、日常点検の怠り等、様々なレベルの要因が複合的に重なって引き起こされることが多い。制動能力の低下やハンドルの操作性悪化などを招く過積載は、そうした要因の中でも特に重要なものの一つである。

事例1
過積載のトラック、タイヤ脱落 対向車線のバス運転手死亡

タイヤ脱落による悲惨な事故

2008年4月11日午前、静岡県牧之原市の東名高速道路で、大型トラックのタイヤが脱落して中央分離帯を越え、対向車線の観光バスを直撃。タイヤはフロントガラスを突き破って車内に入り、運転手が顔や胸を強く打って死亡したほか、乗っていた女性6人と男性1人が切り傷、打撲などの軽傷を負って病院に搬送された。バスは約60メートル走行して停止した。

 事故は、過積載、ボルト欠損、タイヤのパンク等様々な要因が複合的に重なった結果発生したと見られている。

脱落したタイヤのボルトは、8本全てが折れていた。うち2本の破断面は錆びており、以前から折れていた可能性が高い。外れたタイヤに並んで内側に取り付けられていたタイヤの空気が抜け、パンクした状態になっていたことも判明した。

過積載でボルト破断が早まる

トラックは、最大積載量の1.5倍弱の廃プラスチックを積載していた。過積載が繰り返されたことで地面に対して水平に取り付けられているボルトに規定以上の力が加わり、事故原因となったボルト破断を早めたという可能性も指摘されている。

積み荷の産業廃棄物はトンやキロなどの重量ではなく、立方メートル単位で取引し、積載していたと見られ、積み荷の重量管理がずさんだったことを物語っている。

計量所を持たない中小企業

静岡新聞社の報道によれば、静岡県内の産廃業者の多くは15人以下の中小企業。運行管理者の設置義務が壁になり、営業用の緑ナンバーを取得する業者はごく僅かである。

積み荷に関しても、中間処理業者の4割は自前の計量所を持っていない。一部では、積載の際に計量しているかどうかも不明だという。

過積載をはじめとした「はかる」ことへの意識向上が課題である。

点検の怠りが事故を招く

また、事故を起こした大型トラックの使用者は、法令で定められた3カ月毎の点検を行っていなかったとの情報が得られている。

この事故を踏まえ、国土交通省は4月14日、大型トラックやバスの使用者に対し、タイヤのボルトが正しく締められているか点検するよう求める緊急の文書を出し、日常的な点検の実施を呼びかけた。

全日本トラック協会や日本バス協会など関係団体に送ったほか、国交省のホームページにも掲載している(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/09/090414_.html)。

事例2
過積載の大型トレーラー横転 20歳の女性歩行者が死亡

2006年7月31日午前、静岡県静岡市清水区内の国道1号バイパスで過積載の大型トレーラーが横転し、20歳の女性歩行者が下敷きになって死亡。運転者は業務上過失致死罪に問われ、静岡地裁は懲役2年6カ月の実刑を命じた。

 事故では、15km/h以下の徐行が適切な交差点に運転者が倍以上の速度で進入したため危険運転致死罪の適用も検討されたが、地検は「速度超過が原因なのは間違いないが、故意性の立証は困難」として適用を見送った。

 地裁は、トレーラーが過積載状態だったこと、横転しない速度の限界を超えて右折を行っていたという検察側の主張を採用し、その上で「被告は職業運転手であり、重量物を積んだトレーラーが減速せずに曲がろうとすれば横転の危険性があるということ常識として承知していたはずだ」と指摘。「それでも減速しなかったなど、基本的な注意義務を怠った責任は重い」として懲役2年6カ月の実刑を命じた。

 なお、清水署は過積載を容認したとして被告の勤務先を書類送検した。

事例3
タイヤ脱落事故 最大積載量の2倍以上積む

2004年4月12日午前、産業廃棄物処理会社「富山物産」のトレーラーが新潟県刈羽村十日市の国道116号を走行中、タイヤ2本が脱落した。

左側5列のタイヤ(それぞれ110センチ、重さ約100キロ)のうち、後ろから2列目の2本が相次いで外れたが、運転手は事故に気付かず、約30キロ離れた分水町まで走り続けた。同町笈ヶ島では別のタイヤ1本もパンクした。

脱落は、タイヤを取り付けるボルト8本が全て折れたことが直接の原因。トレーラーの最大積載量は22トンだが、同社役員が2倍以上の約48トンの鉄くずを積むように指示していた。新潟県警は、日常的に過積載を繰り返したため、ボルトの締め付けが徐々に緩んで折れたと見ている。一方、国土交通省北陸信越運輸局はこの事故に関して、過積載のほか、ナットの締め過ぎも原因と分析している。

この事故を受け、県警交通指導課と燕署は、過積載運転を容認したとして、富山物産社長を道路交通法違反の疑いで逮捕した。

同社長は、2004年3〜4月、同社の運転手3人が最大積載量を平均で約5、6割超えた鉄くずを積み、上越市から燕市まで23回運転するのを認めた疑いが持たれていた。「過積載は知っていたが、注意はしていた」と供述している。

 

 

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