ライチョウ(雷鳥)(1) |
夏の北アルプスおよび南アルプスに足を運びますとライチョウ(雷鳥)が奮闘をねぎらってくれます。ライチョウ(雷鳥)は人が近づいても逃げることがなく、同じところに長いことじっとしていることが多いものです。追いかけると最後の瞬間には逃げますが、人が棒切れをもって撃ちに行ったら餌食になってしまうはずです。黎明期のアルプス登山のころ、あるいは岩魚釣りに奥深く分け入った人にライチョウは捉えられて食べられたという記述も残されております。ライチョウ(雷鳥)ほど人を疑わない野鳥はありません。その無垢な心に人は感動するのです。昼は主にハイマツなどの下に潜んでおり、朝夕や霧が立ち込めるようなときに登山路の近くに姿を現すということになっております。ライチョウはハトを一回りか二回り大きくした身体です。野鳥は人が危害さえ加えなければライチョウ(らいちょう)のように人の傍にやってくるものなのです。
夏の山ではライチョウ(雷鳥・らいちょう)の母親は雛をつれたおります。北アルプスと南アルプスでは4〜5日の尾根歩きをしますと決まってライチョウが歓迎してくれます。長い間、山に入っているとライチョウは特別な条件下でなくとも目にすることができます。とはいうもののある夏の剣岳登山ではライチョウをみることができませんでした。巡り合わせの関係から特定の野鳥にを見ようとして出かける場合には絶対に出会えるという保証はありません。
ライチョウ(雷鳥)は特別天然記念物に指定されている野鳥です。天然記念物だから「偉い」ということは何もありません。日本犬でも秋田犬、甲斐犬、紀州犬、四国犬、北海道犬が国の天然記念物に指定されております。信州の川上村には川上犬という犬がいて県から天然記念物に指定されております。本州にいるライチョウはニホンライチョウ(日本雷鳥)でして、ニホンライチョウの生息数は、3000羽ほどととされております。北アルプスの立山の室堂には立山自然保護センターが設立されちて、ここに所属するナチュラリストがいて、観光シーズンには室堂平周辺を案内してくれます。室堂周辺を知り尽くしたこの人たちはライチョウが何時の時間にどこに出てくるかということをよく知っております。一人で室堂周辺を散策するよりもナチュラリストの出動の時間にあわせると楽しい室堂周辺の野鳥観察ができます。ライチョウ(雷鳥)ともこのようにした方がはるかに効率よく出会うことができす。
ライチョウの富山県および立山での生息数(推定生息数)の調査記録を次の項目に掲載しておきましたが、立山では平成8年に334羽が確認され、平成13年の調査では167羽でした。
日本に棲息しているライチョウ(雷鳥)は3000羽ほどということになっておりますが、北アルプスや南アルプスの稜線歩きをしているとよく姿をみますからもっと多くいても良さそうに思えるのですが、良い場所には多くのライチョウがいるということなのでしょう。ライチョウは氷河期の生き残りの典型ともいえる野鳥です。現代を健気に生きているライチョウを見ると、ライチョウが棲息する自然の状態を今より後退させてはならないと思うのが普通でしょう。中国から日本に移り住んだコジュケイはライチョウに似ています。コジュケイは裏のヤブや林や山に棲んでおりますが、ライチョウは本州では標高2000m(2400mという記述を多く見かけます)以上の高山にしか棲めません。室堂平の散策路に姿を現したライチョウ(雷鳥)のことを聞きつけてアッという間に30人ほどの人が集まてしまいました。ライチョウを知らないご婦人がニワトリがいると叫んだというのは本当の話です。ライチョウを苦労せずに見たければアルペンルートを使って室堂に行って下さい。
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